ドイツの話は一段落したのですが、こぼれ話をひとつ。
友人Aがドイツに来た目的のひとつが
ベルリン・フィルのジルベスターコンサート。
世界的オーケストラであるベルリン・フィルが大晦日にやるコンサートで、その模様は世界に衛星中継されるというクラシック・ファンには垂涎ものです。
クラシック好きのAは、年末年始にベルリンに行くと決まった後は、何とかジルベスターコンサートに行こうといろいろ調べて手配を試みました。
しかし、やはり超人気のコンサート、Aの努力もむなしく一向にチケットが手に入る様子はありません。
ところが、Aの熱意が通じたのでしょうか・・・・。
私たちが宿泊予約をした
ベルリンの例のホテルに、日本語のわかるコンシェルジェさんがいて、Aは何度か直接そのホテルに電話をし(電話代どれくらいかかったんだろう・・・・)
ついにコンシェルジェさんから
「確約はできないけど、いろいろ手配してみるから。」
と約束してもらったんです。

ただ、私達が到着する予定日はそのコンシェルジェさんは休みなので、もしチケットが取れたら他のスタッフに預けておくから、とのことでした。
で、
あの体験の後、大晦日の明け方にホテルに辿り着いた私達。
午後にはとりあえず復活したので、ホテルのコンシェルジェさんのコーナーに向かいました。
そこにいたのは、大柄のニコニコした男性のコンシェルジェさん。
例のコンシェルジェさんは女性なので、違う方です。
ここから、カタコトの英語での会話が始まります。
A「ベルリン・フィルのジルベスターコンサートに行きたいのだけれど、
チケットはありますか?」
コ「ちょっと待ってて」
コンシェルジェさん、ニコニコしながら奥に消えたかと思うと、2枚のチケットを持ってきました。
やった、あるじゃん!
ところが。
A「これはいくらですか?」
コ「
300マルクです」
え、300マルク・・・・・。
当時の日本円で
約22500円です。
に、2万円超えるの・・・・

。
Aが聞きます。
「もっと安いのはないのか?」
コ「ない。でも、
ファンタスティックな夜を約束する」
そりゃあ、2万円払ったら、ファンタスティックだろうともよ。
Aが私の方を向きました。
「ねえ。せっかく来たから私、行こうと思うの。ともぢは無理しなくてもいいよ。」
「え、私もせっかくだから、是非行きたいよ。」
もう、こんな機会は二度とないかもしれません。
私は2万円払って、
ファンタスティックな夜を過ごすことにしました。
で、夕方、タクシーを拾って、ベルリンフィルのコンサートホールまで行った私達。
一応、両名ともワンピースを持ってきていたので、そんなにラフな格好ではなかったのですが、20000円という
ファンタスティックな値段(しつこい)になんだか胸騒ぎがします。
そして、タクシーはホールに到着し、私たちは、チケットに書いてある入り口から入ろうとしたところ、係員が「え?」って顔をしたのを見てしまいました。
ちゃんと通してくれましたが。
そして、中に入ると・・・・・。
そう、おそらく、
特等席。
だって、周りに座っている御婦人の中にはちゃんと、ドレス着てる方がいたんです。
(そんな人ばかりじゃなかったけど)
おそらく、一般的に若く見られる日本人。
係員も「なんでこんなヒヨッコが・・・・」と思ったに違いありません。
でも、でも、私たちがこの席種を選んだ訳じゃないやい。
しょうがないじゃん。
コンサート自体は頻繁にクラシックに行かない私にも夢見心地の気分を味あわせてくれました。
(あ、お好きな方のために記しておくと、指揮者はアバドでした。)
なんだろう、美しいハーモニーに全身つつまれて、ふわっとした気分になるってああいうことをいうんだなあという感じ。
確かに、
ファンタスティックな夜でした、はい。
でも、この模様って、全世界に中継されたんだよなあ・・・・。
あの席だし、映ったかも。
「何であんなところにへらへらした日本人がいるんだよ〜!」
って思われたかな・・・・・。
でも、何度も言います。
好きでそんないい席に座った訳じゃないんです、ううう。
こうして、今までで一番ファンタスティックな大晦日は過ぎていったのでした・・・・。

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