2005/11/29
「建築構造技術者協会会長の談話」
(社)日本建築構造技術者協会
会 長 大 越 俊 男
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今回発覚した構造計算書偽造事件は、構造設計者の信用に関わる重大な事件であり、大変遺憾に思います。いかにも妥当な設計内容であるかのごとく見せかけたもので、恥ずべき行為をなしたものであると考えます。同じ業種に携わるものとして憤りすら感じます。
(社)日本建築構造技術者協会は、我が国で唯一の建築構造設計監理を専門に携わる者の協会です。姉歯氏は当協会会員ではないことを、まず、ご報告します。
建築物の構造設計・監理とは、自然災害の多い日本の建築物に居住するあるいは働く環境のうち、基本的な部分である構造体の安全・安心を確保することが役割です。会員は一級建築士資格を有し、構造設計・監理に精通している者が会員であり、厳格な筆記試験と面接によって選考された者に「建築構造士」の自主認定資格を与えています。
そのため、一般社会のコンセンサスとなっている建築の法令を遵守することは勿論のこと、自然現象やあらゆる構造材料の特性に日頃理解を深めることなどを通じて、将来を見据えた建築構造の安全と安心を社会に提供すべく、構造設計・監理に取り組んでいる技術者の集まりです。
その目的のために、協会会員独自に倫理規定、建築構造設計規範、建築構造設計指針を設けて、社会への貢献と信頼が得られるように精進しています。
この事件を機に、改めて当協会は、今まで培った建築構造設計・監理者の社会や建築主に対する良心と倫理観を堅持するとともに、次世代へ向けて良質な建築物を残すという基本的使命を再喚起していきたいと考えております。
注) 会員資格 : 一級建築士またはそれと同等以上の知識・能力を有すると理事会が認めたもので、建築構造の設計・監理の実務経験が7年以上あり、正会員の紹介を受けた方、または、建築構造士資格認定試験に合格した方
建築構造士 : 豊富な経験と深い識見から生まれる的確な技術力と判断力により、構造計画の立案から構造の設計図書まで統括し、構造の監理業務も併せて行い得る者に対して、当協会の責任においてその技量を判定して与える資格である。
建築構造士の登録更新とCPD(継続的職能研鑚):
建築構造士資格の有効期間は5年間で、期限前に登録の更新手続きをする必要がある。過去5年間のCPD記録を提出し、所要の研鑚を行っていることを証明しなければならない。
建築構造士のCPDの目的は、以下の3点とする。
1. 建築構造士としての資質と技量の維持向上を図る。
2. 時代とともに発展し変化する技術や社会環境に対応する。
3. 建築構造士としての日常的な活動によって、職能に関係した技術の維持向上を図る。
http://www.jsca.or.jp/vol2/23news_release/jsca20051122.html

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