・・・店に入ると、とたんにオイルとタイヤのゴムのニオイで胸が高揚してきた。
この種の人間には不愉快なもので無く、自然と笑みがこぼれてしまう、いわば、故郷の匂いだからだ。
「オートバイ」の魅力については、今更語らなくともおわかりであろう。
1台1台に個性があり、それぞれに魅力がある。
用途に応じて様々な人間が集う、いわば都会のオアシス。
僕は僕で、目ざとく自身のカテゴリーを見つけ、一目散に向かった。
本来「クラシックバイク」が好き・・・な小生だが、発売以来気になっている「輩」がいる。
それが画像で取り上げた「川崎重工」製のオートバイである。
その昔、僕の生まれて間もない頃、「W」シリーズという物が発売されていた。
その弟分として継承された由緒ある血統書付きのサラブレッド、それがこの「W-650」。
流れるような滑らかな芸術的ともいえる曲線美。そのフォルムから奏でられる2気筒の胸を突き上げるような叫び。
まさに、理想であり完璧な仕事としか言いようが無い。
僕はなぜか、最近の「ガン○ム」のような、未来的、機能的なバイクには触手が伸びない。
心と身体が「ノスタルジック」なものを、常に求めているのだろうか!?
どちらかというと、男のほうが女性よりも、そういった傾向があるように思う。
ところで、昔の恋人の写真を、いまだに持っているあなた!?
もしかすると、君こそが私と同じ「ノスタルジア」の原石であるかもしれない。 (完)

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