映画『英雄の証明』  映画関係

[映画紹介]

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2011年の「別離」でベルリン国際映画祭にて3冠に輝き、
2016年の「セールスマン」でカンヌ国際映画祭の男優賞、脚本賞を受賞。
この2作品でアカデミー賞外国語映画賞を制した
アスガー・ファルハディ監督によるイラン映画

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看板職人のラヒムは借金を返せなかった罪で投獄されている。
婚約者が、金貨が入ったバッグを拾い、
休暇を利用して婚約者と会ったラヒムは、
金貨をお金に換えて借金の返済に充てようとするが、
十分な金額にはならず、
罪悪感も芽生えて、
金貨を落とし主に返そうと決意する。
街角にポスターを貼ると、
落とし主が現れて、
姉が預かっていた金貨は、その人物に戻すことができた。

するとその善行は、
新聞やテレビで報じられ、
“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられてしまい、
チャリティー団体が表彰し、
寄付金も集まり、就職先まで決まる。

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ところが、SNSを介して、作り話だという噂が広まり、
就職話も寄付金も暗礁に乗り上げ、
一転して、今度は“詐欺師”という評判が立ってしまう。
姉がうっかり落とし主の住所も氏名も聞いておらず、
受け取りもなかったからだ。
ラヒムは落とし主の足取りを追跡するが、
どこの誰とも分からない落とし主の消息は知れない。

婚約者を落とし主に仕立てたりするが、すぐに嘘はばれる。
更に、金を用立ててくれた元嫁の兄に対して
暴力事件まで起こしてしまう・・・

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ラヒムが善意の拾い主であることは、
映画の観客には明らかなのだが、
ラヒムの小さな嘘やわずかな隠蔽が、
後で大きな問題となって返って来る様を
じっと見せられることになる。
ラヒムを取り巻く婚約者や吃音の息子、姉、
チャリティー団体の幹部や刑務所の所長たちの
それぞれの事情が錯綜して、
事態は予期せぬ結果に至っていく。

婚約者には、それを明らかに出来ない理由があり、
落とし主にも、夫に秘密、という事情がある。
そして、借金の相手も、
実は、ラヒムが事業を起こすために高利貸しから借金し、
その保証人だったために、元妻の兄が
金をかき集め、娘の持参金まで注ぎ込んで、
高利貸しの借金を返済していたことが明かされる。
「まるで俺が悪いみたいだ」
という彼の慨嘆は納得できる。
しかも、元妻との関係は最悪ときている。

このあたり、「別離」や「セールスマン」の監督らしく、
市井の人間の小さな出来事が
いろいろな事情がからんで、
大きな事件に拡大していく様がていねいに描かれる。

カルチャーショックとして驚かされたのは、
金貨を拾ったのに、警察に届けるという発想が全くないこと。
おそらく警察が信用されていないに違いない。
また、借金を返さないからといって、
刑務所に入れられるのもびっくりだし、
服役囚に休暇が許される、というのも、驚きの一つだ。
更に、金を積めば、死刑囚さえ免除されるとは。
世界は広く、文化は多様だ。

もとはと言えば、
落とし主の住所も名前も聞いていない
姉のミスなのだが、
それも、一種の文化なのだろう。

ラヒムを演ずるアミール・ジャディディがいい。

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5段階評価の「4.5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/Ie5CaOi06L0 
                                                                 シネスイッチ銀座で上映中。

「別離」の紹介ブログは、↓をクリック。

映画「別離」 

「セールスマン」の紹介ブログは、↓をクリック。
                                                                                                                    映画「セールスマン」


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