小説『レッドネック』  書籍関係

[書籍紹介]

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広告代理店に勤める矢吹蛍子は、
上司の指示で、ある人物に会うためにバンクーバーにでかける。
新しいプロジェクトのキーパーソンだというが、
プロジェクトの内容については、極秘として教えてくれない。
大学の講師だという若い男・ケビン坂田は、
傲岸不遜な態度で、50億円の報酬に
更に10億円の上乗せを要求した。
ケビンの仕事はデータサイエンティストだという。

日本にやってきたケビンは、
高田馬場に事務所を構え、
優秀な学生を助手にして、
コンピューター相手に作業を行う。
しかし、蛍子には、相変わらず、
プロジェクトの内容は守秘義務として教えてくれなかった。
ケビンが教えてくれたのは、
「レッドネック」という、プロジェクトの名前だけ。
レッドネックとは、アメリカの低所得の白人層を現す言葉で、
アメリカ南部では多くの白人労働者が野外の仕事に従事し、
炎天下で紫外線を浴びるので
首筋が赤く日焼けするところから、そういう呼称が生まれた。
侮蔑的すぎるとして、放送禁止用語になっているという。

やがて、蛍子は、ケビンの指示で、
疾風舎という音楽グループと
中古車売買の会社カーサーチを提携させ、
ライブ配信をする事業を起こし、成功させる。

これと並行して、
マンガ家のアシスタントを解雇された青年や
介護職とデブ専のスナックで働くシングルマザーや
野球選手の夢を捨てきれないでいる運送業の青年
などの日常が描かれる。
みんな雇用環境が悪く、生活に疲れ、金がない
共通項は疾風舎の「舎弟」と呼ばれる
ファンクラブの会員であること。

ケビンの事務所に、アパレル通販の革命児・澤内耕太が現れ、
ケビンとは旧知の中だという。
株式上場時に5000億円の資金を得た澤内と組んで、
ケビンは何か計画しているらしい。

やがて、次の東京都知事選に
アイドルの勇也が立候補することになり、
疾風舎のSNSを使って、何か情報発信がされているようだ。
蛍子は疑問を感じていると、
山城というジャーナリストが接触してきて、
ケビンらがしようとしている計画を暴露する。

それは、SNSを使った情報操作で、
次の都知事選挙を引っかき回し、
勇也を当選させることだと分かる。
新風舎のライブ配信も、
その情報取得の手段だったのだ。
特に、先にあげた舎弟たちのような
低所得層のファンクラブを悪用し、
個人情報を収集した上で、
SNSの発信を通じて、勇也への支援体制を作り上げたのだ。

更に、アメリカの大統領選挙で、
スペンサーという、当初泡沫候補と思われていた男が、
SNSの情報操作で、当選した手口が明らかにされ、
それにケビンが関わっていたことも判明する。
しかも、そのターゲットが低所得の白人労働者、
まさにレッドネックだったのだ。

ケビンの過去を詮索した蛍子は、
10日間の休暇を強制的に取らされ、
ケビンの過去にかかわる、沖縄の島を訪れるが・・・

という、ミステリー仕立てのサスペンス。
作者は相場英雄

パソコンで、ある商品を検索すると、
しばらくの間、その商品の広告が画面に現れる、
などという経験は誰でもあると思うが、
それは、情報が吸収され、
集められているからだそうだ。
データサイエンシストが、
ネット上の膨大なビッグデータを収集、分析し、
より効果的な宣伝に活用するのだという。

そういう巨大な陰謀が判明する話だが、
その目的が情報捜査で、素人の歌手を都知事に就任させ、
ケビンのクライアントであるカジノ会社に有利に働くようにさせる、
などという種あかしは少々チープな印象だ。

今、ネットが生活の必需品となり、
そこでの情報がダダ流れだが、
そういうとを背景に、
ありそうかな、と思わせるサスペンスの一篇。

スペンサー大統領はトランプ大統領、
大池都知事は小池百合子知事、
澤内はZOZOTOWNの前澤友作、
デリ・イーツはウーバー・イーツを彷彿させる。




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