短編集『コロナと潜水服』  書籍関係

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奥田英朗による、ちょっと不思議な話6篇。
「小説宝石」に掲載された作品を収録。                 

海の家

小説家の村上浩二は、妻の不倫が原因で、
一時的に家を出ることにした。
避難先に選んだのは、
葉山の御用邸近くの古民家。
秋には取り壊しが決まっている家なので、
期間限定で安く借りられたのだ。
死んだようになっていた家だったが、
村上が庭の草刈りや壊れたところの修理をしているうちに、
生き生きと蘇ってきた。
しかし、誰もいないはずの場所から子供の足音が聞こえ、
その古民家には、
7歳で亡くなった小さな子どもの霊が住み着いているらしい。
やがて浩二は、その子に命を救われることになる・・・

相続税の問題で、
取り壊さざるを得ない一帯の
古き良きものが失われていく悲しみを描く一篇。

ファイトクラブ

家電メーカーに勤める邦彦は、
希望退職に応じなかったため、
「追い出し部屋」へ異動になった。
工場の警備の仕事だ。
しかし、警備会社も入っており、
とりたててやることがない。
同じように早期退職に応じなかったために
ここに島流しにあった4人の同僚も、
会社の仕打ちに耐えながら、
定年までの時間をすごしていた。
物置で昔会社にボクシング部があった頃の
装備を発見した邦彦たちは
勤務時間が終った後、
仲間らとボクシングの真似事をしていたところ、
嘱託社員だという男が現れ、
指導をしていくようになった。
コンテナの陰から現れ、
終ると、いつの間にかいなくなっている不思議な男。
その男の指導で邦彦たちの技量はどんどん上がった。
そして、ある事件がきっかけで、
その正体が分かる時が来る。

占い師

フリーアナウンサーの麻衣子は、
プロ野球選手の恋人・勇樹がいる。
プロポーズを待っていたが、思うような展開にはならない。
成績が上がり、人気が出て来ると、
他の女たちが群がるようになり、
取られるのではないかと心配になる。
女社長に紹介された占い師に会いに行くと、
その若い占い師は、麻衣子の心理を見抜いてしまう。
そして、成績が下がるように呪文をかけると、
恋人はスランプに陥り、周囲から女の姿が消える。
しかし、心配になって、また占い師に会い、
成績が上がるように祈ると、
オールスターで本塁打を3本打って、復活する。
しかし、また、周囲に女が群がり・・・

という中で、麻衣子は、自分が勇樹に何を求めていたかという、
自分自身の真実の姿に目覚めることになる。
そして、その占い師の正体は・・・

コロナと潜水服

会社員の康彦は、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務になった。
5歳の息子と過ごすうち、
息子が不思議な力を持っていることに気が付いた。
コロナ感染の危険をあらかじめ察知するのだ。
偶然かと思っていたが、何回も繰り返すうちに、
本当ではないかと思えるようになる。
しかし、康彦は、感染者と接触し、自分の体調もおかしくなる。
そこで、妻が防護服代わりに見つけてきたのが、
古い潜水服で、それを着た康彦は
周囲の注目を浴びて・・・

パンダに乗って

広告会社社長の直樹は、会社経営の節目に、
自分へのご褒美として初代フィアット・パンダの購入を決意。
昔からあこがれていた車種だが、
さすがに中古は希少だ。
ようやく新潟の販売店で見つけ、
休みを取って引き取りに行く。
しかし、自宅へ戻ろうとしているのに、
カーナビの案内に従うと、
次々に奇妙な場所に連れて行かれる。
それは若くして亡くなったパンダの持ち主の
思い出を辿る旅だった。
そして、最後に行き着いたのは・・・

5篇のうち3篇が
想いを残して亡くなった人の想念が描かれる。
そして、全てがハートフルなエンディングで、
読後感はすこぶるいい。

コロナの時代、
奥田英朗の小説を追ってみるのもいいかもしれない。




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