短編集『余寒の雪』  書籍関係

本日、2回目のワクチンを接種。
効果が確実になるあと2週間を耐えれば、
晴れて解放となります。

ところで、ワクチン接種に対し、
いくら医師に支払われるか、御存知か。
1回のワクチン注射で、2070円が支払われるという。
時間外なら2800円、休日だと4200円になる。
最高では1回の注射で7200円支給されたという。
いくら専門技術とはいえ、
1分もかからない接種にかかる費用としては、
どうなの、と複雑な思いになる。
それなのに、日本医師会非協力的だという。
東京医師会の場合、5月4日の時点で、
接種に協力したのは全体の22%だという。
ワクチン接種が遅れたのも、
医師会が治験についてごねたからだ。
それに比べ、大規模接種における
自衛隊医官と看護官に支給されるのは、
1日(1日!)3000円かか1620円だという。
日本医師会、反省しろ。


ここのところ、宮部みゆきと宇江佐真理の小説の紹介が多い、
と思われる方もいると思うが、
図書館本も新刊も、ハズレが多く、
日本の出版界、どうなっているんだ、と思っているところへ、
親戚筋から両著者の文庫本が50冊ほど送られて来た。
宮部みゆきはほとんど読んだと思っていたが、
読み落としの作品も存外に多く、
宇江佐真理に至っては初読み。
というわけで、
積み重ねた本を上から順に読んでいるところ。
全ての本を紹介しているわけではないが、
しばらくはお付き合い下さい。


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宇江佐真理の初期短編集。
紫陽花・あさきゆめみし・藤尾の局・梅匂う・
出奔・蝦夷松前藩異聞・余寒の雪

の7篇を収録。

中で「紫陽花」が特にいい。

江戸の大きな呉服店・近江屋の内儀、お直は、
元を正せば、吉原の振袖新造だった。
妻を亡くした20歳年上の半兵衛に見受けされ、10年。
今は内儀としての地位をゆるぎないものにし、
お直の過去をとやかく言う者は誰もいない。

そんなお直を一人の男が訪ねてきた。
吉原の客引きだった房吉だ。
吉原時代懇意だった梅ヶ枝が亡くなり、
明日投げ込み寺に運ぶという。
お直は、大店の内儀に収まった自分と、
ついに吉原を抜け出せなかった梅ヶ枝の運命の違いを思う。
お棺が出る時見送りたいというお直に
やさしい夫の半兵衛は付き合うといい、
宿を取ってくれた。
そして早朝、梅ヶ枝の出棺の時が来た・・・

江戸時代の遊女の成功者と失敗者の対比に、
人生の幸運不運を描く好短編。

「あさきゆめみし」は、
江戸で一時期流行った女浄瑠璃(むすめじょうるり)を巡る一篇。
染物屋・つばめ屋の長男・正太郎が、
竹本京駒という16歳の浄瑠璃語りに夢中になる。
今で言えば「追っかけ」だが、
江戸時代にも同じような風俗があったのが面白い。
客席での応援合戦も今と同じ。
ある出来事をきっかけに、
正太郎は夢が醒めたようになり、
女浄瑠璃もご禁制で跡形もなく消え失せる。

「梅匂う」は、
見世物小屋の女怪力の大滝太夫に夢中になった小間物屋の店主の話。
「あさきゆめみし」と似ているが、
歳が行っているだけ、様相が異なり、
大滝太夫の造形も哀愁が伴う。
最後のくだりがほっとさせる。

「藤尾の局」は元大奥勤めで、今は両替商の内儀の話。
「出奔」「蝦夷松前藩異聞」は、
著者の故郷、函館の
松前藩についての話。
3作とも、著者の作品としては違和感が残る作品。

表題作「余寒の雪」は、
伊達藩の女剣士の話。
知佐は幼少の頃から剣術の修行に励み、
男剣士と互角の腕前を持っている。
髪も男髷に結い、男装の生活だ。
将来は別式女(べっしきめ)として奉公する夢を持っている。
別式女とは、御殿女中に武芸を指南する女剣士。
しかし、そうすると、一生独身ということになり、
両親は気を揉んで、当たり前に人の妻となって子をなし、
女の幸せを掴んでもらいたいと思っていた。
その知佐が叔父夫婦と共に江戸に上ることになった。
実はそれは策略で、
北町奉行所の同心、鶴見表四郎の後妻に入ることになっていた。
騙されたと知った知佐は拒絶するが、
故郷に戻ってしまった叔父夫婦の後を女一人で追うのは危険と、
表四郎の家に留め置かれる。
そして、表四郎と息子の松之丞と生活する中、
知佐の中に変化が生まれる・・・

表四郎、松之丞の造形がすぐれ、
ラストの読後感はすこぶるいい。

中山義秀文学賞(白河市と中山義秀記念文学館の共催で行われる、
日本の歴史小説・時代小説を対象とした文学賞)を受賞。





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