落語小説『後家殺し』  書籍関係

[書籍紹介]

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山本一力による「読む落語」第2弾。
「小説現代」と「STORY BOX」に掲載された作品をまとめたもの。

古典落語を小説化したものだが、
山本一力一流の人物造型、風景描写、生活情景で
相当膨らましてある。
前作の「芝浜」に比べ、
あまり有名な落語でないものを選出。


子別れ

腕のいい大工の熊五郎が、
吉原遊びのあげく離縁。
女房のおとくと亀吉と別れて
年季の明けたおそめと暮らすが、
あいそづかしをされ、一人になってやっと目が醒める。

元の腕利きの大工に戻った熊五郎だが、
復縁するには敷居が高い。
材木選びのために木場に行く途中、
亀吉に遭った熊五郎は、
大きくなった亀吉に小遣いを与え、
うなぎを食べさすことを約束する。

その話を亀吉から聞いたおとくは、
うなぎ屋に乗り込むが・・・

下げの「かすがい」については、説明が必要か。

柳家小三治の「子別れ」(上・下)を聞きたい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/sFtsV8X3tnM                             


景清

鏨(たがね)彫り物師の定九郎は眼病を患い、失明した。
職人で目が見えないのは致命傷。
一時は按摩修行もしたが、
やはり彫り物をしたいと医者にかかり、
医者に見離されると、神仏にすがる。
圓通寺の日朝さんに願をかけるが、
満願日に一緒に祈願に来ていた婦人と過ちを冒す。
心を入れ替えて、平家の景清ゆかりの上野の清水寺に
再び願をかけるが・・・

桂文楽の「景清」を聴きたい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/uLjQ65H2TaU


後家殺し

この演目を私は知らなかった。
YouTubeでも圓生、松之助くらいしか出てこないから、
あまり演る人は少ないようだ。
松之助に至っては「一番面白くない落語」とさえ言っている。
それもそのはず、ちょっと陰惨な話。

研ぎ宿「研ぎ常」の親方常吉が主人公。
山本編では、
父親の研ぎ師の死去を契機に起こった職人たちの反乱を
見事な手腕で裁き、
質屋の伊勢屋に助けてもらい、
義太夫に染まる、までをたっぷり膨らます。
元々声のよかった常吉はみるみる腕を上げる。
伊勢屋の主人が海難事故で亡くなり、
その供養の義太夫の会で語ったことから、
伊勢屋の後家・おく乃といい仲になるが、
讒言による嫉妬でおく乃に手をかけてしまう。
そのお裁きの場で、常吉は・・・

三遊亭圓生の「後家殺し」を聴きたい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/GOxrGuRsbEQ


火事息子

質屋の伊勢屋藤右衛門の跡取り息子・藤三郎が
火消しになって勘当されるが、
伊勢屋の近所で火事があり、
助太刀に立ち寄った藤三郎が
蔵のつなぎ目の目塗りを手伝ったことで、
父母と和解する話。
山本編では、藤三郎のお七夜祝いを始めとする
従兄弟の札差・伊勢屋四郎左衛門との確執を描いて
膨らましている。

古今亭志ん生の「火事息子」を聴きたい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/_Vh0vPsn26I?t=271


柳田格之進

浪人・柳田格之進が
近所に住む万屋源兵衛と碁会所で知り合い、
やがて源兵衛宅に行って碁をうつようになる。
しかし、五十両の金を盗んだ嫌疑を番頭の徳兵衛にかけられて、
娘は吉原に身を売って五十両を工面する。
その際、もし金が出てきたらどうすると問われ、
徳兵衛は気軽に手前の首と主人源兵衛の首を差し上げますという。
格之進は姿を消し、
わけを聞いた源兵衛は徳兵衛を然り、
格之進を探すが行方が分からない。
やがて、金が鴨居上の額縁の裏から出て来、
源兵衛は再び格之進の行方を探すがみつからない。
ある日、道で徳兵衛は帰参のなった格之進と遭遇するが・・・

この話、「中村仲蔵」と並んで、私の好きな演し物。
高座では飛ばされている
格之進の浪々の経緯が膨らまされている。

古今亭志ん朝の「柳田格之進」を聴きたい方は、↓をクリック。

https://youtu.be/-iHniM5s-W0?t=20


どの作品も、
高座にかかる場面の前を膨らませ、
厚みを加えている。




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