映画『シェイクスピアの庭』  映画関係

[映画紹介]

クリックすると元のサイズで表示します

レビューに、
「観るんであれば、シェイクスピアの家族関係を
頭に入れとくことは必須条件」
というのがあったので、
最低限のことは調べて出かけた。

ウィリアム・シェイクスピアの父、
ジョン・シェイクスピアは皮手袋商人として成功し、
町長に選ばれたこともある市会議員だった。
8人の子どもがおり、
ウィリアム(以下、シェイクスピアと表記)は3番目で次男。
父はウェイクスピアの生まれた頃には裕福であったが、
羊毛の闇市場に関わった咎で起訴され、市長職を失った。
このことは、映画の中で影を落とす。

18歳の時、8歳年上のアン・ハサウェイ
(女優のアン・ハサウェイとは別人。
 当たり前だが、念のため。
 ただ、ハサウェイ家の両親が
 アンと命名したのは、シェイクスピアを意識したと思われる。
 アンの母親は舞台女優だから。)
と結婚、3人の子どもをもうけた。
長女はスザンナ、次女はジュディスで、
息子のハムネットはジュディスと双生児で、
11歳の時に夭逝している。

映画は、グローブ座の火事で筆を断ったシェイクスピアが、
1613年、20年ぶりに、
生まれ故郷のストラトフォード=アポン=エイヴォンに
帰郷するところから始まり、
シェイクスピアの晩年の3年間を描く。

送金はしていたものの、
20年間放置していた妻と娘たちとの間には深い溝があり、
シェイクスピアはその相剋に心を砕く。
次女ジュディスの恋人のトマス・クワイニーの「婚前交渉」問題
(マーガレット・ホイーラーという女性が私生児を産み、
 その父親がクワイニーであると主張して
 まもなく母子ともども死亡した事件。
 これは実話。)
でも頭を悩まされ、
シェイクスピアは自分の遺産のうち
ジュディスへ渡る分がクワイニーに行かないよう遺言書を修正した。

しかし、何よりも17年前に亡くなったハムネットへの想いが強く、
ハムネットを悼んで、庭を造成し始める。

クリックすると元のサイズで表示します

シェイクスピアは、
まだ幼いハムネットの詩作の才能に惚れ込んでいたので、
落胆と悲嘆は尋常ではなかった。
また、疫病で死んだというハムネットの死因に疑いを持ち、
驚愕の事実が知らされる。
(これは、全て脚本家の創作。念のため)

というわけで、
大作家の晩年は、
家庭問題で悩む、失意の人ということになる。
(しつこいようだが、創作です。
 さぞかし沙翁、お墓の下で苦笑していることでしょう)

妻のアンと次女のジュディスが文盲
読み書きが出来なかったことは初めて知った。
当時、女性には教育が必要とされず、
学校にも行かなかったのだ。
だから、アンは結婚許可書の署名欄にバツ印をつけたという。
それが最後になって生きて来る。
当時は男尊女卑で、
女の幸福は結婚して、
誰か男性の所有物になることだった、という。

歴史に残る大作家が
49歳という若さで何故筆を折ったのか、
という謎に迫る本作。
こういうシェイクスピアの晩年が
事実と思われては困るが、
一つのドラマとしては、興味津々で観た。

シェイクスピアは監督のケネス・ブラナーが演ずる。

クリックすると元のサイズで表示します

まるで別人。

クリックすると元のサイズで表示します

アンはジュディ・デンチ
シェイスクピアのパトロンであり、
多くの詩を捧げたサウサンプトン伯爵ヘンリー・リズリーを、
イアン・マッケランが演ずる。

ケネス・ブラナーの演出は、
イギリスの田園風景を美しく描くが、
人物の描写は演劇的で、
ロングショットが多く、
登場人物の心理に迫るには、もどかしい。

クリックすると元のサイズで表示します

1616年4月23日にシェイクスピアは52歳で没した。
引退してから、わずか3年。
死因は腐ったニシンから伝染した感染症であるとされている。

52歳といえば、まだまだ創作意欲は衰えていないはず。
私見だが、シェイクスピアは、
あのままいけば、やがて
ロンドンの劇界に復帰したと思われる。
つまり、早すぎた死
それにしても、
何だって腐ったニシンなんか食べたのか。

なお、長女スザンナは医師のジョン・ホールと結婚し、
娘エリザベス・ホールがシェイクスピア家の最後の1人となった。
だから、シェイクスピア直系の子孫は存在しない。
(一説には、ウィリアム・ダヴェナントという
 婚外で生まれた落胤がいるともされるが、
 その血筋も18世紀の初めで途絶えている。)

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/MtTnU06L-y8

渋谷のル・シネマで上映中。

ストラトフォード=アポン=エイヴォンの
シェイクスピアの生家を訪れた時のブログは、↓をクリック。

シェイクスピアの生家訪問

タグ: 映画



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ