小説『深夜プラス1』  書籍関係

[書籍紹介]

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イギリスの作家ギャビン・ライアルが1965年に発表した
ハードボイルド冒険小説。
菊池光訳ではなく、
2016年の鈴木恵による新訳版で読んだ。

ルイス・ケインは第二次世界大戦中に
レジスタンスを支えるために
フランスに送られた工作員だが、
役目を終え十数年を経た今は
金持ち相手のビジネス・エージェント(揉事解決人)として
生計を立てている。

そのケインに地下活動の同志で
今は弁護士であるメルランから依頼が舞い込む。
ロンドン在住の大富豪・マガンハルトは
ある事情のため、
リヒテンシュタインまで行く必要があるが
婦女暴行で訴えられてフランス警察から指名手配されており、
普通の方法では大陸に入れないのだ。
さらに何者かに命を狙われているという。

ケインは護衛を兼ねたドライバー役を引き受け、
旅に同行するガンマンには
ハーヴィー・ラヴェルが付いて行くことになった。
アメリカのシークレット・サービス出身で
ヨーロッパでもナンバー3の技量の持ち主だが、
実はアルコール中毒で、
殺しの技術は飲んでいないときしか使えない。
人を殺す罪悪感とガンマンとしての重圧は
ハーヴィーを酒に向かわせていた。
ケインはハーヴィーに仕事の間だけは飲まないと約束させた。

ケインは指定された場所で車を受け取るが、
運んで来た運転手は車内で殺されていた。

ケインは、フランス西岸のブルターニュで
密入国してきたマガンハルトと
秘書のヘレン・ジャーマンと合流。
車で目的地を目指す。

旅の途中で、
マガンハルトがリヒティンシュタインに急ぐわけは、
ギャレロンという正体不明の敵の罠にかかり、
あと36時間以内、
すなわち明晩の24時1分過ぎまでに
リヒテンシュタインの指定場所に着かなければ
企業の所有権を喪失し、
経済的にも破滅するのだと分かる。

翌日、殺し屋の襲撃にあった彼らは、
敵の中にヨーロッパでもナンバー1とナンバー2といわれるガンマン、
ベルナールとアランがいることを知る。
二人ともレジスタンスの暴力班であったが、
銃を捨てて生きることが出来ず、
ついには殺し屋となった経歴の持ち主だった。

先行きが暗くなる中で、
ロヴェルは約束を破り酒を飲んでしまう。

こうして、旅を続ける中、
ケインが「キャントン」という名前で
レジスタンスをしていた前歴が明らかになり、
警察の包囲網から逃れるために、
昔の人々との再会と交流が始まる。
その中には、ケインのかつての恋人、
今は伯爵夫人で未亡人となっているジネット・マリスもいた。
フェイ将軍という情報屋の車を借りた一行は、
スイスを経由して、リヒティンシュタイン国境に近づくが、
そこに敵が待っていた。
相手がこちらの手札を完全に読んでいるのだ。
裏切り者は誰か。
突破できるのか。
そして、ギャレロンの正体は・・・。

実に面白い。
まず、登場人物がみな魅力的で、
人間ドラマとしても読ませる。
レジスタンスの「キャントン」から抜け出せない
ケインの憂鬱が色を付ける。
ハーヴィーはアル中から抜け出せるかのサスペンスもある。
何より全体を包むユーモアがある。
そして、命の危機にさらされても
自分の生き方を曲げない男たちの姿が胸を打つ。

早川書房の『ミステリマガジン』で行われたアンケートを基に、
1991年9月に発行された
書籍『ミステリ・ハンドブック』で発表された人気投票の集計結果では、
本作がスリラー部門の第1位
他に8つのジャンルを含めた
海外ミステリベスト100で第2位の人気を獲得している。

翌年の『ミステリマガジン』で行われたアンケートを基に、
1992年10月に発行された
書籍『冒険・スパイ小説ハンドブック』で発表された人気投票の集計結果では、
ハーヴィー・ラヴェルが
好きな脇役部門の第1位を獲得し、
好きな主人公部門でもルイス・ケインが第5位にランクイン。
作品自体も冒険小説部門における第2位
他に3つのジャンルを含めた総合ベスト100で第7位の人気を獲得している。
                                        



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