映画『居眠り磐音』  映画関係

[映画紹介]

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佐伯泰英による時代小説の初映画化
原作は全51巻に及ぶ作品。
文庫書き下ろしで2002年から2016年にかけて刊行され、
累計発行部数2千万部を超えるベストセラー。
2007年から2017年にかけて
山本耕史主演でテレビドラマ化されている。

豊後関前藩(架空)の
坂崎磐音(いわね)と小林琴平、河井慎之輔の三人は、
幼馴染みであると共に、
直心影流の佐々木道場で腕を競い合う修行仲間だった。
3年の江戸詰を終えて国に帰る三人は、
共に藩政改革を志す夢を抱いていた。
また、磐音は琴平の妹・奈緒との祝言を
帰国後直ちに行う予定だった。

しかし、その3人を凶事が襲う。
慎之輔が妻の舞(琴平の妹)が不貞を犯したとの讒言を信じ、
家に帰るなり、斬り捨ててしまったのだ。
妹を殺されて錯乱した琴平が慎之輔を斬り、
家老の宍戸文六の強引な裁決により、
琴平に上意討ちの刺客が向けられる。
やむにやまれず上意討ちの一翼を担った磐音は、
琴平と対決するが、心ならずも幼馴染みを斬ってしまった。
磐音は藩を去り、婚約者の奈緒は行方知れずになってしまう。

江戸で浪人として生活することになった磐音は、
昼はうなぎ割き、夜は両替商の用心棒として働き始める。
そして、田沼意次の発行した南鐐二朱銀の両替比率を巡る
両替商同志の争いに巻き込まれていく・・・

事情により藩を離れた侍が
江戸で浪人生活を送る、というのは、よくあるパターン。
ま、それはいいとして、慎之輔が諫言によって妻を疑い、
斬ってしまう、という展開はあまりに短慮過ぎないか。
オセロじゃあるまいし。かんざしがオセロのハンカチか。
その後、琴平が慎之輔を斬り、
磐音が琴平を斬るという展開も無理やりで、
間抜けにさえ思える。
上意討ちに加担した磐音に咎はないのだから、
脱藩する理由はないし、
奈緒を放りっぱなしというのも無責任ではないか。

両替屋の用心棒になってからの
両替比率を巡る話は、
へーえ、そんなことがあったのか、と知識が増えた思い。
その時、磐音が描いた策略は、磐音の優秀さを伺わせていい。

しかし、奈緒との、ああいう形での再会は、
いくらなんでも無理筋で、誇張が過ぎる。
あの境遇の中で磐音に手紙を書く、
というのも奈緒のひとりよがりで、
磐音が知らない形で、
奈緒の今を描く方が哀切だった気がする。

また、「居眠り剣法」なるものが生かされていない。

と、まあ、不満はあるが、
全体的にはていねいな作りで、
時代劇としては水準の出来。

5段階評価の「3.5」

では、なぜ「3.5」しかつけられないかというと、
主演男優の演技に問題があるからだ。

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磐音は、藩の中老の嫡男として、
藩の未来を嘱望されていた立場。
その同志でもある竹馬の友を
仕方ない経緯とはいえ、殺害してしまった。
その呵責から藩から抜け出し、
輝かしい未来を喪失、
許婚者と離ればなれになり、
江戸で用心棒稼業で糊口をしのいでいる身。
その鬱屈、孤独、悔恨、哀しみ
松坂桃李の中からは何一つ立ち上がって来ない。
なぜか。
表情の演技が出来ていないからだ。
松坂桃李の表情は一つしかない。
これでは、男の哀愁が表現出来るはずもない。
それを補う演出上の工夫も不足している。

だから、虫の息の有楽斎が末期のいやがらせに言う
「あんたはこの先も人を斬る・・・何人も、何十人も。
そのたびに思い出すんや・・・
竹馬の友を斬った手触りを。
地獄やでえ・・・」
という言葉に対して、
「・・・地獄であることなど、もとより承知じゃ。
友のおらぬ世で、
愛しい女に二度と会えぬ世で、
生きてゆくなど、死ぬよりも酷ぞ!
だが、それがしは選んだのだ。
生きることを。
ごく当たり前の、穏やかな、人々の暮らし──
われとわが友が、永遠に喪うたもの。
それが脅かされることあらば、
断じて見過ごしはせぬ。
それが地獄の道でも──生きて進む」
という重要な台詞が、何も響かない。

映画が「人間」を描くものである以上、
主役の持っている陰影が表現できなければ、
映画はただのストーリーを追うだけのものになってしまう。

「日本のいちばん長い日」で、
松坂桃李は若い参謀を演じて、
その時も本ブログで
「通り一遍の演技」と書いたが、
本作でも磐音を演ずるには、
やや荷が重かったようだ。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/0pqomw9Rqnw

拡大上映中。

先着入場者に対して、↓の文庫判シナリオが配付されている。

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なお、佐伯泰英は著作累計6千万部を売る作家だそうだが、
藤沢周平に親しんだ者にとっては、
やや物足りなく、
1冊読んだだけで終った。





2019/5/22  22:06

投稿者:自由人

ご不快な気持ちを与えてしまったなら、ごめんなさい。
それでは、最初の2巻を読んでみます。
「酔どれ小藤次」の方は、
浦安の図書館には、ないようです。

2019/5/22  8:50

投稿者:居眠りファンより

1巻だけでなく、51巻読破してみて
いただけないでしょうか?
本当の素晴らしさがわかりますよ。
だまされたと思って図書館で借りて
読んで下さい。
あと、酔どれ小藤次も 間違いありません。
感動しますよ。
宜しくお願いします。

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