映画『ローマの休日』  映画関係

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1953年のアメリカ映画。
おそらく永遠に語り継がれる名作

小国でありながら、
ヨーロッパ最古の王室の王位継承者であるアン王女は、

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欧州各国を親善旅行で訪れ、
ローマでも公務を無難にこなしていたが、
過密なスケジュールと自由のない生活に、
ついにヒステリーを起こす。
その夜、密かに宮殿を抜けだした王女は、
直前に打たれた鎮静剤が効いてきて、
路傍のベンチでうたた寝してしまう。
そこに通りかかったのが、
アメリカ人新聞記者のジョー・ブラッドレーで、
王女であることも知らずに、
仕方なく自分のアパートに泊める。

翌日の昼になって、
王女が病床に伏せたという話に
彼女の素性に気づいたジョーは、
王女の秘密のローマ体験という大スクープをものにしようと、
職業を偽って近づく。
カメラマンのアーヴィングも呼び寄せ、
ローマの名所を案内しつつ、
スクープ写真を密かに撮影する。

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しかし、その間に二人は惹き会う関係になっていき・・・

という誰でも知っているストーリー。
それを面白く輝かしく見せるのは、
ウィリアム・ワイラー監督の職人芸と
アンを演ずるオードリー・ヘプバーンの魅力だということは、
今更言うまでもない。
全てのカットでオードリーが輝いている。
彼女を主役に起用したことで
この作品は奇跡的な成功を収めたとも言える。

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この作品で最初に候補に挙がっていたのは
エリザベス・テイラーとケーリー・グラントであったという。
だとしたら、どんな映画になっていたか。
しかし、監督のフランク・キャプラが高額の製作費を要求したため、
スタジオはキャプラを降板させ、
代わりにウィリアム・ワイラーに。
ヒロイン候補にはジーン・シモンズの名前も挙がっていたが、
ワイラーは
「主役はスターである必要はない。
アメリカ訛りのない、
王女の風格のある女性が欲しい」
として主役を自由にキャスティングできることを条件に、
監督を引き受けた。
そしてヒロイン探しのために、ロンドンに行き、
何人かの志願者に会っている。
当時、オードリーは数本の映画に出ていたものの、
映画界では無名に近い存在だったが、
スクリーン・テストのフィルムを見たワイラーが
ヒロインに抜擢することを決めた。
緊張気味にフィルムに収まっていた彼女がテスト終了を告げられて、
破顔した時の笑顔がとびきり良くて魅了されたとワイラーは後に語っている。

↓この笑顔。

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「彼女(ヘプバーン)は
私がアン王女役に求めていた魅力、
無邪気さ、才能をすべて備えていた。
さらに彼女にはユーモアがあった。
すっかり彼女に魅了された我々は『この娘だ!』と叫んだよ」
と振り返っている。

製作当初のフィルムでは、
主演男優グレゴリー・ペックの名前が作品タイトルの上に表示され、
ヘプバーンの名前はより小さな文字で、
ペックの名前の下に置かれていた。
しかし、ペックがワイラーに
「変えるべきだ。
彼女は僕とは比べ物にならないような大スターになる」
として、ヘプバーンの名前を、
作品タイトルが表示される前に、
ペックの名前と同じ大きな文字で表示することを提案したという。
グレゴリー・ペック、男だねえ。

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映画を魅力的にしたのは、
ローマの名所の数々で、
スペイン広場をはじめ、
トレヴィの泉、パンテオン、サンタンジェロ城などが
目を楽しませてくれる。
中でも、真実の口は、この映画のおかげで
どれほど沢山の観光客が訪れただろう。

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初めのうち、特ダネをものにすることだけを目的としていたジョーが
彼女の純粋無垢な姿に触れるうち、
利用していることに罪悪感を覚え、
事実が発覚した時のアン王女の心の傷を思って、
特ダネを放棄するに至る過程が無理なく描かれている。
カメラマンのアーヴィングを演ずる
エディ・アルバートもいい味を出している。

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アカデミー賞の助演男優賞にノミネート

二人の別れのシーンも哀切だ。
宮殿の近くまで車で届けたジョーとアンの会話。
「ここで降ります。
私はその先の角を曲がります。
あなたはこのまま帰って。
私の行き先を見ないと約束して。
決して振り返らないでね。
私もそうするわ。
お別れの挨拶も言えないわ」
そにに答えてジョーの答はひと言。
「言わなくていい」

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宮殿に帰ったアンが大使たちに詰問された際のアンのセリフ。
「義務の話なら、心配には及びません。
私が義務をわきまえていなかったら、
今晩帰って来なかったでしょう」
そして、寝る前のミルクを拒絶し、
大人になったことを見せるのだ。

最後の記者会見の場面も素晴らしい。
記者の列の中にジョーらの姿を発見したアンは
そうだったのか、と不安な表情をするが、
国家間の親善関係を問われた際、こう言う。
「永続を信じます。
人と人の間の友情を信じるように」
それに対してジョーは、こう答える。
「王女のご信念が裏切られぬことを信じます」
「それで安心しました」
アンとジョーと映画の観客だけに分かるセリフの見事なやり取り。

そして、「どこの都市が一番お気に召しましたか」
という記者の質問に、
当たり障りのない
「どこにもそれぞれ良い所があり、どことは申せません」
と言いかけて、はっと気付き、
「ローマです!
何といってもローマです。
私はこの町の思い出を
いつまでも懐かしむでしょう」
とジョーだけに分かる言葉を伝える。

会見の終わりに、
側近が驚くうちに記者に一人一人と握手し、
ジョーとの視線を交わす。

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その時、アーヴィングが撮影した写真を
「ローマご訪問の記念写真をお受け取り下さい」
と渡す。
その中には、秘密警察の頭を
ギターでぶん殴るシーンも含まれている。

アン王女は退出し、
記者も引き上げた後、
一人残ったジョーが感慨深げに
宮殿を後にする場面で終る。

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胸に迫る、見事な見事なラストシーン。
観客に幸福感を与えてくれるしめくくり。
こんな映画を撮ってくれてありがとう、
とワイラーに感謝したくなるような作品だ。

1953年のアカデミー賞は8部門にノミネートされたものの、
「地上より永遠に」8部門受賞の年で、
「ローマの休日」は3部門のみ。
しかし、主演女優賞をヘプバーンにもたらした。

ヘプバーンはその後も活躍を続け、
「麗しのサブリナ」「戦争と平和」「昼下りの情事」
「許されざる者」「シャレード」「マイ・フェア・レディ」
「おしゃれ泥棒」「いつも2 人で」「暗くなるまで待って」
と多くの名作に主演している。

なお、「神をも恐れぬ行為」として、
1987年には、テレビ映画「新・ローマの休日」が
キャサリン・オクセンバーグを主演にして放送され、
その後DVD化された。
もちろん、天地の差であることは論を待たない。

更に、1998年、ミュージカル「ローマの休日」が
大地真央と山口祐一郎の主演で上演された。
私は観たが、原作映画の味わいを損なった出来だった。
2016年には宝塚歌劇団雪組公演としても上演。
                                        2002年にアメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI)が
選出した「情熱的な映画ベスト100」において、
「ローマの休日」は第4位に。
1〜3位は「カサブランカ」「風とともに去りぬ」「ウエスト・サイド物語」だった。
また、同じAFI が2008年に行った
ロマンティック・コメディ映画の部門でも
第4位(トップは「街の灯」)に選出された。

私の中でも「宇宙旅行に持っていく10本のビデオ」の1本に選出。

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/HhknD6WNZn0

↓公開時のポスター。

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2018/12/26  9:02

投稿者:さすらい日乗

今は明らかにされていますが、脚本は赤狩りにあったダルトン・トランボです。
女王と新聞記者と言う「階級差」が底流にありますね。

http://sasurai.biz

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