映画『散り椿』  映画関係

[映画紹介]

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葉室麟の時代小説を木村大作監督が映画化。
木村大作は、カメラマンとして既に頂点を究めているが、
監督としては、「劒岳 点の記」(2009年)、
「春を背負って」(2014年)に続き3作目
いずれも撮影監督を兼務している。
これについて、木村監督は、
若い監督は自分を敬遠するので、
自分が監督をしないと映画が撮れない、
で、撮影を任す人がいないから、
自分が撮影を兼務しなければならない、
という話を、あるところでしている。
あまりにも巨匠すぎるが故の悩みであろうか。

扇野藩の元藩士・瓜生新兵衛は、
8年前に藩の不正を訴えたものの取り上げられず、
妻の坂下篠とともに藩を離れる。
京で貧しい隠遁生活を送る中、
妻の篠は病に倒れ、
いまわのきわに、新兵衛に願いを託して逝ってしまう。
篠の願いとは、
かつて新兵衛と盟友であった榊原采女を助けること、
毎年楽しみにしていた郷里の散り椿を代わりに見ることだった。

采女と新兵衛、篠原三右衛門、坂下源之進は
かつて平山道場で四天王と呼ばれた仲間だった。
また、采女と篠は縁組が噂されていた仲、
いわば、新兵衛と采女は恋仇であった。

8年前の不正疑惑は
城代家老の石田玄番と扇野和紙の専売している田中屋、
勘定方の采女の養父が関わっているとされ、
采女の父は謎の死を遂げ、勘定方だった坂下源之進は切腹した。
采女の養父を切ったのは、
その切り口から四天王の誰かではないかという疑いが残っていた。
篠原三右衛門は沈黙を守り、
采女は次期藩主の側用人候補でありながら、
石田玄蕃との間での権力闘争に巻き込まれ、
若殿・千賀谷政家の帰郷までは平穏を保っているように見えた。

8年ぶりに扇野藩に戻ってきた新兵衛は、
篠の実家坂下家に腰を落ち着かせ、
義弟の藤吾と義妹里美と一緒に暮らし始める。
しかし、新兵衛の存在は扇野藩の人々に波紋を広げ始めて・・・

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というわけで、8年前の政争や采女の養父の死、
源之進の切腹を巡る
物語を引っ張るのだが、
この部分がなかなか分かりにくい
関係者を多岐に広げすぎたせいだと思われ、
もう少し整理して、
分かりやすくする工夫が必要だったのではないか。
原作を読んだ脚本家には分かっている内容でも、
映画の観客に届かなければ何にもならない。
富司純子演ずる采女の養母・榊原滋野の下りなど全く不要。

ただ、木村大作の演出は、
さすが撮影の大家だけあって、
構図と美術は素晴らしい。
富山県を中心としたロケでは、
まだ日本にこんなところが残っていたのかと思わせる
息を飲む風景を現出する。
殺陣も従来のものとは一味違う。
主演をつとめる岡田准一が殺陣にも関わっている。

その岡田准一だが、
この人、時代劇の方が現代劇の数倍いい。

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ところどころ三船敏郎を彷彿とさせるところさえある。
(ちょっと誉め過ぎか)
妻の遺志を果たすために昔自分を追った敵地に赴く、
という微妙な心情がちゃんと描けている。
何より、所作と表情に哀愁がある。
西島秀俊や奥田瑛二や緒方直人などはやや微妙だが、
若殿を演ずる渡辺大は、
いかにも英明な主君という感じで存在感がある。

ただ、後半に至り、謎が解明され、
妻に託された願いが半分達成されると、
新兵衛の気持ちがよく伝わって来る。
監督は「美しい時代劇を作りたい」と述べたが、
確かに、美しいと感ずる。
そうした日本人の美意識に満ちた、
侍の生きざまを感じて、最後は感動した。

音楽は美しいが、同じメロディーの反復で、
最後はしつこく感じた。
チェロはともかく、ピアノは
時代劇の音楽としてはいかがなものか。

5段階評価の「4」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/3Joo5dC6Tp0

拡大上映中。

タグ: 映画



2018/10/7  17:50

投稿者:さすらい日乗

私は、小泉堯史の脚本がひどいと思いました。彼は、『雨、上がる』で、「余の自尊心が傷ついた」と言わせたバカ者ですが、ここでも独占販売、権力争い、緊張感など、享保時代にはありえない単語を使っていて驚きました。テーマ曲は『ゴッドファーザー』の『愛のテーマ』そっくりで、これは著作権の問題になるのではないかと心配しました。

「生きざま」とは嫌な言葉ですね、私は絶対に使いませんが。

http://sasurai.biz

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