連作短編集『金融探偵』  書籍関係

[書籍紹介]

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倒産した銀行の整理段階でリストラされた大原次郎。
ハローワークを巡り、金融機関の面接を受けながら、
ことごとく落ち、再就職がかなわない毎日。
しかし、元銀行員であった時の知識を活用し、
その名も「金融探偵」となって
様々な事件を解決していく。

「銀行はやめたけど」
次郎が金融探偵を始めるきっかけになった発端を示すのが本編。
大家の風呂屋の融資の窮状を救う。
探偵ものに助手は必須だが、
大家の娘の梨香が助手になる。

「プラスチックス」
次郎が雨の日、一人の女性をはねてしまう。
病院に収容された女性はショックで記憶障害があり、
指定された住まいのある住所に次郎が行ってみると、
一年前に引っ越していた。
ご主人の勤め先である証券会社の支社長も、
2年前に退職している。
どうやら最近のことは思い出せず、
ある時期から過去のことしか思い出せないようなのだ。
その女性が病院を勝手に退院し、行方知れずになる。
しかも、調べてみると、
ご主人共々一年前に火事で亡くなっていた。
では、その女性は一体誰なのか。
謎は謎を呼び、意外な結末を迎えるが、
あれ「金融は?」という感じで、
どんどん「金融探偵」からは離れていく。

「眼」
池井戸潤にしては珍しい、
超自然現象を扱った作品。
橘田(きった)有一は、
角膜移植を受けた後、
突然ある光景が視野に浮かぶようになる。
建物と女性の写真。
建築家の橘田は、施主との打ち合わせの後、
その光景と同じ景色に遭遇する。
橘田の妄想ではなく、現実にその場所は存在したのだ。
調査を依頼された次郎は、その現場に行き、
橘田が気づかなかったある看板をみつける・・・

「謎のノート?」「家計簿の謎」
この二つは一つの物語。
高名な洋画家・戸川洋二から遺産を相続した孫から
祖父の貸金庫を開ける手続きを依頼された次郎は、
成り行きから貸金庫を開ける時に立ち会うことになる。
金庫から出て来たのは3冊のノートで、
内容はパリ滞在時代の家計簿だった。
その家計簿を書いた人は誰なのか、
を次郎が解明していく。
それは、パリで戸川画伯と親交のあったある大文豪だった。
そして、更に話は、戸川画伯が描いたという、
ある超有名絵画の贋作へと発展していく。
なかなか着想、スケール共に壮大な話。
その文豪とは誰か、
贋作された絵画とは何か。
それは読んでのお楽しみ。

「人事を尽くして」
探偵事務所を訪ねて来た朔田(さくた)の依頼で、
次郎が殺人事件に巻き込まれる話。

「常連客」
脅迫されているという中古車ディーラーの
現金輸送車襲撃事件る巻き込まれる話。

想定したほど「金融探偵」にならず、
話もどんどん先細りして、
ついにシリーズ化には至らなかった連作短編、
という印象。
だが、「謎のノート?」「家計簿の謎」の
構想自体の面白さは買える。

                                    



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