映画『永い言い訳』  映画関係

[映画紹介]

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衣笠幸夫は、テレビのバラエティ番組にも出演する
津村啓というペンネームの人気作家。
高名な野球選手と文字は違うが読み方が同じため、
いろいろな不都合を子供の時から味わってた。

妻は美容師で、二人の間は
既に熱いものは感じない倦怠期に入り、
目を盗んでは編集者と浮気もしている。

その妻が、
友人と出かけたバス旅行の事故でこの世を去ってしまう。
丁度その時、幸夫は他の女性とベッドを共にしており、
その罪悪感から妻の死を正面から捉えられない。
遺品のスマホが一瞬復活したその時、
「愛していない。ひとかけらも」という
妻の言葉を目にしたことも一因になっている。

編集者からは
「奥さんのことで心から泣いたことがないでしょう」
などと指摘される。
世間の目は、
人気者の奥さんの事故死にドラマチックなものを感じ、
幸夫を悲劇の主人公にしようとするが、
幸夫の方は、それとの違和感にさいなまれている。

そんな時、一緒に妻と死んだ友人の夫・大宮陽一と知り合う。
陽一は幸夫と対極にいる人間で、
妻の死を正面から悲しみ、
携帯電話への最後の伝言を一人聞いては涙を流したりしている。

やがて、幸夫はトラック運転手をしている陽一に代わり、
幼い兄妹の面倒を見るようになっていくが・・・

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西川美和監督が、
直木賞候補となった自らの小説を映画化。
小説で描ききれなかった男の内面を
幸夫を演ずる本木雅弘の演技で肉付けする。

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この本木雅弘の演技がみもので、
大人に成りきれない、人気先行の作家が
愛する人の死という極限状況を
自らの犯した過ちゆえに受け止められない、
心のゆらぎを巧みに演ずる。
宴会で狂ったように歌ったり、
編集者になじられて牙を剥き、
その後、公園の池で一人スワンを運転する孤独な姿。
妻の死の悲しみに耐えるのを演ずることへの反発から
テレビカメラの前で
亡き妻に毒づいたりしてしまう。

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本木の奥さんが原作を読んで、
「あなたにそっくり」
と言ったというから、
はまり役に出会ったのだろう。

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一方、陽一を演ずる竹原ピストルは、
一本気男を自然に体現化する。

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自意識過剰のフクザツ男と
自意識皆無の直線男との取り合わせが面白い。
愛する人を失ったことへの対応が正反対で、
しかも、どちらも真実だと思わせる。

そして、陽一の子供を演ずる藤田健心
白鳥玉季という二人の子役のうまさ。

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よくこんな子役を見つけて、演技を引き出したものだ。

その他、深津絵里黒木華らも短い場面ながら
印象に残る演技をする。
特に冒頭、幸夫の髪を刈りながら交わす夫婦の会話が出色。

最後の方で、電車の中で吐露する幸夫の心情が胸を打つ。

題名も意味深で、
「長い」ではなく、「永い」というのがミソ。
永遠の苦悩、ということだろう。

一人の男の揺れる生き様を描いて
映画的な興奮を呼ぶ。
やはり西川美和はうまいな、と思う。

5段階評価の「4. 5」

予告編は↓をクリック。

https://youtu.be/Hqf3oXHtzYg

原作「永い言い訳」の書評ブログは、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20151125/archive





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