慰安婦問題日韓合意(?)  政治関係

日韓両国間の大きな懸案となってきた、
慰安婦問題をめぐる両政府の協議が本日合意に達し、
共同記者発表がされた。

岸田文雄外相と尹炳世韓国外相の共同記者発表の全文は次の通り。

尹氏 
本日、私は岸田外相と会談を開き、
日本軍慰安婦被害者問題をはじめとする
両国間の懸案および関心事について
深みのある協議を持った。
年末のお忙しい日程であるにもかかわらず、
岸田外相におかれては、
本日この会談のために訪韓してくださり感謝申し上げたい。

皆さまもご承知の通り、
韓国政府は韓日国交正常化50周年を迎え、
両国間において核心的な過去の歴史懸案である
日本軍慰安婦被害者問題の
早急な解決のために積極的に努力してきた。
特に11月2日の韓日首脳会談では、
朴槿恵大統領と安倍晋三首相において、
今年が韓日国交正常化50周年といった
転換点に当たる年という点を念頭に置いて、
なるべく早期に慰安婦被害者問題を妥結するための
協議を加速化しようという政治的決断を下し、
それ以降、局長レベル協議を中心として、
この問題に対する両国間の協議を加速化してきた。
昨日行った12回目の局長レベル協議を含め、
これまでの両国間の多様なチャンネルを通じた
協議の結果を土台に、
本日、岸田外相と全力を尽くして協議した結果、
両国が受け入れ得る内容の合意に達することができた。
本日、この場でその結果を皆さまに発表する。
まず日本政府を代表して、
岸田外相から、
本日の合意事項についての日本の立場をお話しいただき、
その次に、韓国政府の立場について私が話す。

岸田氏
まず、日韓国交正常化50周年の年の年末に
ソウルを訪問させていただき、
尹外相との間で大変重要な
日韓外相会談を開催できたことをうれしく思っている。
日韓間の慰安婦問題については、
これまで両国局長協議等において集中的に協議を行ってきた。
その結果に基づき、
日本政府として以下を申し述べる。

一、慰安婦問題は
当時の軍の関与の下に
多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、
かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。
安倍首相は日本国首相として、
改めて慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、
心身にわたり癒やしがたい傷を負われた全ての方々に対し、
心からおわびと反省の気持ちを表明する。

二、日本政府はこれまでも本問題に真摯に取り組んできたところ、
その経験に立って、
今般日本政府の予算により、
全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。
具体的には、韓国政府が
元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、
これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し、
日韓両政府が協力し、
全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、
心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

三、日本政府は以上を表明するとともに、
以上申し上げた措置を着実に実施するとの前提で、
今回の発表により
この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
併せて、日本政府は韓国政府と共に、
今後、国連等国際社会において、
本問題について互いに非難、批判することを控える。

なお、先ほど申し上げた予算措置については、
規模としておおむね10億円程度となった。
以上のことについては、
日韓両首脳の指示に基づいて行ってきた協議の結果であり、
これをもって日韓関係が新時代に入ることを確信している。

尹氏 
次は、本日の合意事項に対して
韓国政府の立場について私より発表する。
日本軍慰安婦被害者問題に対しては、
これまで両国局長級協議などを通じて集中的に協議してきた。
その結果に基づき、韓国政府として以下を表明する。

一、韓国政府は日本政府の表明と
このたびの発表に至るまでの取り組みを評価し、
日本政府が先に表明した措置を
着実に実施されるとの前提で、
このたびの発表を通じて、日本政府と共に
この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
韓国政府は日本政府が実施する措置に協力する。

二、韓国政府は、日本政府が
在韓国日本大使館前の少女像に対し、
空間の安寧、威厳の維持といった観点から
懸念しているという点を認知し、
韓国政府としても可能な対応方法に対し、
関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう努力する。

三、韓国政府はこのたびの日本政府が表明した措置が
着実に実施されるとの前提で、
日本政府と共に今後、国連など国際社会において
本問題に対する相互非難、批判を自制する。

以上をもって韓国政府の立場について申し上げた。
韓日国交正常化50周年である今年が過ぎ去る前に、
岸田外相と共にこれまで至難であった交渉にピリオドを打ち、
本日この場で交渉の妥結宣言ができることを大変うれしく思う。
今後、このたびの合意のフォローアップが着実に履行され、
厳しい忍耐の歳月を耐えてこられた
日本軍慰安婦被害者の方々の名誉と尊厳が回復され、
心の傷が癒やされることを心より祈念する。
同時に、韓日両国間で最も困難で厳しい過去の歴史、
懸案であった日本軍慰安婦被害者問題交渉が
仕上げられることをきっかけとして、
新年において韓日両国が新しい心でもって
新しい韓日関係を切り開いていけることを衷心より期待する。


この記者会見が少々異例なのは、
会談の正式な合意文書はなく
記者からの質問も受け付けない形式だったことだ。

日韓外交筋によると、
合意文書の作成は、
韓国国内の世論の動向を懸念する韓国側の要請で
最終的に見送られた。
これにより、外相2人の発言で会談の成果を確認することとなり、
両外相とも手元の紙を時折見つつ、
一言一句、慎重に発言していた。

午後、安倍晋三首相は記者会見に応じ、
日韓両政府が従軍慰安婦問題の最終的解決を確認したことについて、
「私たちの子や孫の世代に、
謝罪し続ける宿命を負わせるわけにはいかない。
その決意を実行に移すための合意だ」
と述べ、
日本の将来世代に責任を残さないための日韓合意だとの考えを示した。
首相は「最終的、不可逆的な解決を
(戦後)70年目の節目にすることができた」
と合意の意義を強調。
今後の日韓関係に関しては、
「両国が力を合わせて、
新しい時代を切り開いていくきっかけにしたい」
と述べ、
本格的な関係改善に取り組む意向を表明した。 


また、夕方、
安倍晋三首相と韓国の朴槿恵大統領は
約15分間にわたり電話で協議し、
慰安婦問題をめぐる日韓外相会談の合意をそれぞれ歓迎した。

日本側の説明によると、
安倍氏は元慰安婦について
「あまたの苦痛を経験され、
心身にわたり癒やしがたい傷を負われたすべての方々に対し、
心からおわびと反省の気持ちを表明する」
と朴氏に直接伝えた。
その上で
「今回の合意により、慰安婦問題が
最終的かつ不可逆的に解決されることを歓迎したい」
とし、
「日韓関係が未来志向の新時代に入ることを確信している」
と関係改善に期待を示した。

これに対し、朴氏は
今年が日韓国交正常化50年であることに触れて、
「今年中に合意できたことに大きな意義がある」と指摘。
さらに「おわびと反省の気持ちを表明してくれたことは、
慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復し、
心の傷を癒やすことにつながる」
と語ったという。

また、国交正常化50年を迎えた
日韓関係の今後について、首相は
「未来志向の新時代に入ることを確信している」
と述べ、朴大統領の訪日を招請。
大統領は
「互いに信頼関係を強化し、
新しい韓日関係を築くべく、
互いに努力していきたい」
と語り、訪日を検討することを約束した。

焦点となっていた元慰安婦の請求権を含む法的問題について、
首相は電話会談で
「1965年の日韓請求権協定で
最終的かつ完全に解決済みとの
わが国の立場に変わりはない」
と伝えた。

一連の流れを整理すると、合意点は4つ。

@日本政府は同問題への旧日本軍の関与を認め、
 「責任を痛感」するとともに、
 安倍晋三首相が「心からおわびと反省の気持ち」を表明。

A元慰安婦支援のため、
 韓国政府が財団を設立し、
 日本政府の予算で10億円程度の資金を一括拠出する。

B合意に基づく解決策が「最終的かつ不可逆的」であることを確認。
 今後、国連など国際社会において
 この問題に対する相互非難、批判を自制する。

C在韓国日本大使館前の少女像に対し、
 韓国政府としても可能な対応方法に対し、
 関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう努力する。

@については、
軍による強制連行の事実がない以上、
「旧日本軍の関与」を認めたことは禍根を残すだろう。
しかし、「人道的見地」で「戦争の悲劇」と捕らえれば、
戦争を起した日本として「責任を痛感」したとも言える。
読む人によって解釈が異なる点で、
今後の評価が別れるところだ。
しかし、1965年の日韓請求権協定で
最終的かつ完全に解決済みとの
立場に変更かないことを伝えたのはよかった。

Aは、財団を設立し、
運営するのは韓国側であることが「アジア女性基金」との大きな違いだ。
日本は10億円を出すのみで、
韓国政府がどんなことをするのかが見どころだ。

Bの平たく言えば「今後蒸し返さない」と明言させたことは評価できるが、
政府はそうでも民間はそうはいかない。
今後、外国で慰安婦像が建てられても、
「民間団体のしたこと」と逃げられる恐れはある。

Cは、既に「民間団体がしたこと」と逃げているが、
公道での違法設置を国として撤去させることはできるはずだ。


日本の反応は、概ね評価の声が高いが、
自民党国際情報検討委員会の原田義昭委員長は、
慰安婦問題で日韓両政府が合意したことについて
「受け入れがたい。
この内容では国民も納得しないのではないか」
と批判した。
原田氏は
「関係修復というが、
関係悪化の原因をつくったのは韓国側だ。
それなのに日本側がわざわざ韓国に赴き、
妥協して合意する必要はなかった」
と述べた。
正論。


「国民全てが納得する内容」を目指す韓国は、やや深刻だ。

まず、元慰安婦の反応は割れた。
元慰安婦、柳喜男さんは
「満足していないが、政府の合意に従う」
と表明した。
これに対し、別の元慰安婦、李容洙さんは記者会見し、
「慰安婦被害者たちのために考えていないようだ。
法的な賠償が必要だ。
(会談結果を)すべて無視する」
と合意に強く反発した。

問題の「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」や
「ナヌムの家」など元慰安婦を支援する5団体は
連名で声明を発表し、
「最終解決と決め付けるのは政府の越権行為。
被害者と国民を裏切る外交的談合」
と激しく非難した。
今後も日本が法的責任を認めるよう努力すると表明している。

与党セヌリ党の李荘雨(イ・ジャンウ)報道官は
「日本政府の責任を明示した点で相当進展した合意案と判断される。
こじれた韓日関係をわずかながら和らげたことを幸いに思う」
と評価した。
これに対し、最大野党共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)代表は
記者団に対し、
「非常に不十分だ」として、
「慰安婦問題解決の核心は日本政府の法的責任の認定、
また法的責任に基づいた公式謝罪と賠償だが、
今回の合意はこの三つが回避された」
と指摘した。
その上で、
「最終的かつ不可逆的に解決されたという発表に同意しにくい。
また、(日本大使館前の)少女像撤去の余地を残したのは非常に残念」
と述べ、
「朴槿恵大統領はこれまで、
被害者が受け入れることができ、
国民が納得しなければならないという原則を掲げてきたが、
今回の合意は、この原則から大きく外れ、
後退している」
と批判。
国会で徹底的に追及していく構えを示している。

日本と合意した韓国政府は今後、
国内の説得という重い課題と向き合う。
元慰安婦の支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」は
「被害者と国民を裏切る外交的談合」と合意を強く非難したが、
韓国政府内では最近
「挺対協の意見にとらわれていては妥結できない」
と訴える声も出ていた。
「以前よりも挺対協の主張が世論に受け入れられなくなっている」
という指摘もある。
政府は、広く世論の理解を得つつ、
強硬な支援団体を説得していく考えとみられる。

しかし、1995年に日本の寄付で設立された
「アジア女性基金」を一旦受け入れながら、
挺対協などが反対し、
多くの元慰安婦からの拒絶に遭い
頓挫した前科がある。

朴大統領は本日夜、
国民向けメッセージを出し、
「元慰安婦の人々が高齢である点などを考え、
最善の努力を傾けて成し遂げた結果であり、
(元慰安婦の人々の)精神的苦痛が和らぐことを望む。
韓日関係改善と大局的見地から、
今回の合意について(元慰安婦の)被害者と
国民の皆さんが理解してくださるよう願う」
と訴えた。
国民にお願いしているのだ。

いろいろ考えると、
政治レベルでは合意に至ったものの、
前途多難で、
もし合意が覆されるようなことがあれば、
韓国の外交的信用は地に落ちることになるが、
そうなったらなったで、
「日本のせいだ」と言うだろう。
その点で、記者会見での尹外相の発言の中に、
「このたびの日本政府が表明した措置が
着実に実施されるとの前提で」
という言葉が2度も出て来ることが気になる。

そういう意味では、今回の合意は、
「恨の国」を相手にしているということを
肝に銘じなければならないだろう。

最後に、合意に対するネットの世論調査
現時点で88,077票の投票中、

大いに評価する     8,340票(9.5%
ある程度評価する   15,969票(18.1%
あまり評価できない  15,821票(18.0%
まったく評価できない 47,947票(54.4%

で、72.4%が「評価できない」

コメントも、
「日本をとことん侮辱され挙句金までまきあげられ、
これが外交なのおかしすぎて笑えない、
何回かすめとられたらわかるんだろうか、日本政府は?
この金も私達のだいじな税金からですよ!」
「10億円もむしりとられ、
日本は何とお人よしなのか。
東北の災害地に
苦しんでる方々に有効に使って下さい。
日本は無能お人よしそのもの」
「個人的に、今回の10億円の税金支出は
朝日新聞から国への寄付で埋めてもらいたい。
何十年も誤報を垂れ流し
現在の状況を招いた責任をとるべきと考える」
などの意見が多い中、
「たぶん、米国の慰安婦像などで
日系人が苦しんでいる現状の問題で妥結したと思う。
米国の意向もあるだろう。
内容には不満があるが、
これで米国が実質的に立ち会い、
評価することになったことは
国際社会での日本の立ち位置に良い影響がある。
韓国は3〜5年後に蒸し返してくるのは間違いないが、
日本国民も国際社会も解決済みという
共通スタンスができたわけであるから、
感情論的には憤懣があるが、
政治的には悪くはないという評価である」
という意見が最も冷静。




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