黒字黒字  

今日で平成17年度は終わり。
まだ多少動きはありますが、暫定決算は大黒字
予測できてはいましたが、
やはり現実になると、嬉しいものです。
生活衛生同業組合の方も、保険業務が意外や前年度より良好で、
予想の4割増の黒字。
数年前の節約、節約が嘘みたいで、
これ以上利益を繰り越してもしかたないから、
どんどん組合員のために使おう、
だなんて、贅沢ですね。

というわけで、
事務局長は、今日一日、
決算のための整理仕訳をしておりました。
事務所を出たのは9時40分。
明日の花見が楽しみですが、まだ寒いですね。

本日、乙川優三郎「五年の梅」(新潮社)を読了。

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6年ほど前出た短編集で、
なぜか今まで目に触れなかった本。
これが、すごくいい。

たとえば、最初の短編「後瀬 (のちせ) の花」は、
小料理屋の女に入れ込んだ手代が、
店の金を盗んで女と逃げる途中の
やるせない心のゆらぎを描いたもの。
自分の人生を駄目にしてしまったと女を次第にうとましく思い、
おたがいになすりつけあいながら人生を省みる旅。
その二人の旅が実は・・・という意外な展開に息を飲んだ。
そして最後にやって来る許しと癒し。
深い、あまりに深い小説だ。

「行き道」は、
自分が労咳になった時に邪険に扱った亭主が
中風で倒れて、
冷たく扱って復讐する小間物屋の女主人の心の地獄を描く。

「小田原鰹」は、
世の中をすねて生きている駄目男が
息子に見捨てられ、妻にも逃げられたあげく、
孤独に責め苛まれながら
最後に行き着いた救いを描く。
始めは女房の方から描き始め、
途中から男の方に移っていく視点の変化がいい。
無価値な男の人生が、苦しみの中から再生していく終わりの方、
私は電車の中て涙があふれてならなかった。

「蟹」は、
二度の離縁を経て、
結婚に何の希望もなくなった女が、
最後に嫁いだ先で
初めて濃密な暮らしの匂いに出会う。
放棄された人生の再生を描いて美しい。

最後の表題作「五年の梅」は、
蛮勇をふるって主君をいさめた結果、
周囲の人間をみんな不幸にしてしまった男の
悔恨の人生を描く。

どの作品も
一度は踏みつけられた芽が
試練の冬を経て再び芽吹く姿を描いて奥深い。

人の人生が蘇る姿は感動的だ。
乙川さんの作品は
どれを読んでも外れがなく、
小説の背後に何か静謐な「響き」が聞こえて来る。


世間では山本一力が藤沢周平さんの後継者のように言われているようだが、
乙川さんと山本一力では
描こうとする世界の格が違う。
乙川さんこそ真の時代小説の構築者として期待している。



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