■インサイドワールド/作:周防ツカサ/絵:十森倉円/電撃文庫
ははあ、ちょっとくすぐったい。
冷たいナイフから、いつのまにかひだまりへ、みたいな。
いや、いいですよ。
表紙絵の目、がちょっと大きすぎますけど、でも表情をしています。
ショートストーリー3本立てなんですが、登場人物たちは全部つながっています。
表紙の女の子(春名希優:ハルナマヒロ)が主人公かな、と思うのですが。
でも真の主人公としては最後に出てくる鎮也(シズヤ)さんでしょうね。
各話の冒頭に、プロローグ的なモノローグ的な文章があるのですけど、これは鎮也さんの子どもの頃のことだったみたいです。
このイメージを全体のつながりとしていて、各話別々にぶらさがっています。
1話ですが、まあ、とにかく希優の壊れっぷりがすごいです。
なんだこいつはって、思うんですけど。
希優には当然彼女なりの事情があって、それがなんとも言えなくて。
また、ロケットを一人で作っているっていうのが、ちょっと想像できなくて妙な違和感があって興味がわいてきます。
なんか、話がすごいんです。
それと1話で登場した少年と希優が色恋で発展しそうにないのがよいです。
2話は、一見なんも関係ない感じですけど、希優の妹が出てきて、その妹から見た姉(希優)がちょっと出てきます。
んで3話まで読むと、人間関係とか時系列とかわかって、はあーん、みたいな。
現実的なところと、非現実的(ちょっと未来?)なところのバランス、希優の壊れっぷりと微妙な更生具合がすばらしい物語でした。
(H22.4.29)

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