■僕らはどこにも開かない/作:御影瑛路/電撃文庫
むむむ、って感じです。
おもしろい。
どんどん入れ替わるというか、変わっていくというか。
たしかに人は、人に影響されます。
誰かにあこがれるとか、誰かのようになりたいとか、そんなことなんじゃないかと思います。
自覚しているときもあるかもしれないけど、基本的に誰かからあるいは何かから影響されて変わっていく(変わっている状態の)自分って、わかんないですよね。
それと、他人を理解している、ということの使い方がとてもうまいです。
とてもおもしろい視点だなあ、と思いました。
主人公コウタの性格が変化していく様子、ちょっとずつちょっとずつ、でもあるときを境にしてばっさり変わってしまったり。
物語上でなにを表現したいのかがわかると、すごくおもしろくなって続きが読みたくなります。
絵が全くない、というのもよかったと思います。
場を想像する上では、挿絵は重要なんですけど、でもこの物語に限ってはなにも想像できないほうがよいと思います。
なにが起こるのか、なにが起こっているのか、、、っていうなんか得体のしれない感じがすごくおもしろくって。
ただ、種明かし編とそれまでの間がちょっと空き過ぎのような気はしましたけど、まあ問題ないですけど。
美紀さんの言う魔法とか、コウタをほっとけなくて近づいてきた感じとか、よくわります。
言い方や、行動への現れ方は人それぞれ違いますけど、結局そういうことなんだと思います。
まあ、コウタはある意味イタコ体質なのかもしれませんが。
ということで、表現しにくいですが、人の内面、人が人に対して思う気持ち、お互いに受けるあるいは与える影響というのがとてもおもしろく出ていたと思います。
(H22.4.10)

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