■時載りリンネ!1 はじまりの本/作:清野静/絵:古夏からす/角川スニーカー文庫
いや、おもしろいですね。
冒険というか、そんなに旅立ってはないんですがね、、、
怒涛の展開というか、わくわく感というか。
ある「読めない本」を手にしてしまったことから、いろんなおもしろいことや危ないことやどきどきすることや、いろんな出会いがはじまったんですね。
というか、その本および持ち主から、出会うべくして託された、ということですかね。
最初ごろに主人公りんねが自分で言っていた、「わくわくする冒険・・・」の言葉がそのとおりになります。
とにかく躍動感があって、時間も空間もいろいろ縦横無尽になってます。
読んでてたのしいです。
全体的に涼宮ハルヒっぽいですね。
特にりんねが。
りんねのセリフの言い回しとか、冒険の起こり方っていうか、自分が望むことに自分ペースで人を巻き込んでいくところとか。
会話部分がすばらしい。
読んでて、ほんとうにここにいてしゃべっているような、声が頭の中にリアルに聞こえてくる感じ。
その他は、説明的なところと、心の中のところとのバランスがとれていて、とてもスムースです。
まだまだ冒険というか、まあ冒険という表現はあてはまらなくって、本のルーツ探し(冒険なのか?)という内容なんですけどね。
それは序章が終わって、とりあえずその本がどんなものなのか、自分がなにもので自分のまわりでなにが起ころうとしているのか、とかがわかっただけです。
いまからが大変なんでしょうね。
幼なじみの久高くん、その妹の凪、いろいろああって友達になったルウといっしょに、探したり戦ったり。
久高くんは、りんねから相当信頼されているし、すごく好かれているようですが、本人はわかってないというか、考える気になっていないようです。
まあ、まだ12歳なので。
で、ポイントになるのが凪だったりします。
最後のバトルの大逆転とか、そこまでうすうす感じさせておいて、やっぱりそうなのね!?っていう展開はかっこよくてすっきりですね。
逆にちょっとあれだなあと思ったのは。
第1巻ということで、基本的な関係性とか物語の筋をまとめないといけなかったでしょうけど、急ぎ足になってて、凪とリンネとか、リンネの弟(ねはん)の存在意義とか、後半のルウの存在感がないとか。
もっとゆとりを持って各登場人物の交流というか、そういうのを描いてほしかったなと思います。
1か所、ルウが遊佐に声をかけるシーンがあったと思いますけど、それまでにこの2人が知りあいになってたようなところがなかった気がしたり、そういうのがちょっと残念です。
あとは、戦いが起こってしまったのが、ちょっと普通すぎるというか。
あーやっぱりそうなるのか、っていうか、戦うっていうのを入れないと物語作りにくいのかな。
いや、ハルヒはできてるし、「冒険」に戦い要素が入ってくるとあまりおもしろくなくなるんですよねえ。
リンネが「時砕き」(候補)っていうのは、途中で予想できるのですが、まあこれもどうかなあっていうのはありますね。
そうだとしても、もっと後になってから明らかにするほうがおもしろいとは思うのですが、まあ、1巻で書いとかないと難しいのかな。
ていうくらいですかね。
ただこれはら大筋にはあまり関係なく、ほんとに読んでて起伏があって、リンネのらしさがとってもよく出ていました。
主人公が思いっきり「主人公」している、疑いようのない主人公、っていうところもよいです。
文字だけで躍動感を表現できるのって、すごいと思いました。
(H21.7.23)

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