Mr.サイレント2 自律世界の愛しい未来/早見裕司/唯月一/富士見ミステリー
Mr.サイレント3 夢現世界の熱い予感/早見裕司/唯月一/富士見ミステリー
なんだかやさしい感じのする物語ですよね。
相変わらずあってもなくてもよさそうな、のほほんとした事件を解決していきます。
真理香の心の中と、会話や説明文とのバランスがよいです。
2、3に進むにつれて、晋一郎くんが家の外に引っ張り出されていくのがいいです。
本人のスタンスというか気持ちは変わってないんでしょうけど、でも真理香から見たら以前とはだいぶ違うのではないでしょうか。
めんどうだ、と言いながら事件にかかわっていったり、HPに来た依頼とかを少し気にしたり。
まあ、別に引きこもりがいけないわけではなく、ネットがいけないわけでなく。
でも健康とか、見聞とかの意味でも自分で外に出ないのは、あまりよくないですからね。
で、真理香はいろいろあって、少しずつ手近ですまそうという意識が働いているのかもしれません。
悪く言ってるのではなく、合コンなんて或る程度数をこなせば、たぶん飽きるというか、同じサイクルに陥るのではないかと思うんですよね。
見えてくるようになる、と言ったほうがいいかも。
この2人のいいところは、なにも無理していなくて、他にいい男がいればそっちに行くし。(真理香)
生身の人間と付き合うのは疲れるので、距離を置いているし、でも障害者がうまく生活できるようにとかある一定の自分基準で家の外にも動くし。(晋一郎)
なんていうか、自分で自分を型にはめない、先に自分はこうだから、っていうのがないのがいいです。
そういう自然体ーな付き合いの中で、探偵業をしていくようになって(=いっしょにいる時間が長くなった)、お互いをより意識していくという過程がすごくゆっくりと描かれていますよね。
で、晋一郎くんはもともとかっこいいわけだし。
真理香のことをどう思ってるのかは、なかなか晋一郎くんは言ってくれませんけど、少なくとも大事に扱っているのは間違いないです。
それにお互い誰かにとられるのはいやだ的なことは、昔から知っている仲であれば誰でも起こるものだと思うんです。
という、なんだか微笑ましいことになっていってるのがよいです。
(H21.7.12)

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