■熾天使たちの5分後/作:木ノ歌詠/絵:六羽田共/富士見ミステリー
全然別に選んだんですが、直前に読んだのと同じ作者さんだったです。
いや、びっくり。
この作者さんは、SFチックなのが好きなんですね。
こっちのほうは普通にとっつきやすくて、よくあるライトノベルっぽいんですけど、「5分後」というところがいいです。
最初はなんのことかわからないけど、だんだん解き明かされていくうちに、人間的に読み取るとすごく切ないことになってきます。
まあ、自信で成長していくロボットは、単体では人間と変わらないと思いますけどね。
冒頭の小さな頃と、本編の入り方が、つながりがわかる程度になっているのがいいです。
セラフィム、主に戦闘あるいは人間救助(防護?)用のロボット。
まあ、物語中でなぜ14歳頃の女子なのかということにふれてましたけど、ほんとはまあ、ラノベだから。
主人公、通夜、主人公と通夜、国産セラフィムにまつわること。
これらがとても丁寧に描かれているのがいいですね。
それぞれの背景が長い時間をかけてわかるようになっているので、うまく自分のなかで結びつくというような感じです。
この物語の核は、通夜とはなにか、自分にとっての通夜はどんな存在か、ってことでしょうか。
佳撫とのことは大きな事件でしたが、時を経て通夜といっしょに生活していくことで、自分の中で整理されてはっきりしていきますね。
まあ、「いい思い出」の真相がはっきりすることが必ずしもいいことだとは思いませんが、主人公の知路くんにとっては、過去に逃げ込んでいる自分を取り戻すことになったのでよかったと思いますね。
全体的には、物語のプロローグ的な雰囲気で終わってますね。
通夜の使命である「恋を知ること」とか全然。
まあそれはいいんですが、ピークが個人的な争いっていうのは、ちょっと盛り上がりに欠けるかなと思います。
フォルマント・ブルーよりかはだいぶん読みやすかったですけど。(インパクとはフォルマント・ブルーのほうがすごいですが)
まあ、こういう人間じゃないものたちとの人間的な交流がよいと思えるかどうかでしょう。
僕は好きですよ。
5分間ではなく、なぜ5分後なのか。
仕組み(仕掛け)のことではなく、佳撫と通夜の個人とその2人から感じルことを指したタイトルなんですね。
読み終えた後でわかりますが、叙情的?でとてもいいと思います。
まだまだ人間として未完の(というかやっと1歩目を踏み出した)通夜はとても魅力的ですねえ。
ひまがあったら続きを読むかも。
(H21.7.6)

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