■ゼロの使い魔(2〜3巻)/作:ヤマグチノボル/絵:兎塚エイジ/MF文庫
ゼロの使い魔2 風のアルビオン
ゼロの使い魔3 始祖の祈祷書
これでだいたいTVの第1期が終了したとこらへんですね。
2巻は結構、読み物としておもしろかったです。
起伏というか、起承転結というか、そのへんは1巻と比較にならないくらいよいです。
3巻もまあまあです。
3巻の最後、ルイズが虚無に目覚めるところ〜一番最後はいいですね。
ギャグとシリアスのバランスも良く、ヤマグチならではのくだけた内面描写がうまくはまってきているのではないでしょうか。
謎と、それを解き明かす鍵も出してきたことで、過去からつながるひとつの鎖が見えてきたところもよいです。
ただ、ワルドの求婚にためらうシーンがちょっと、急ぎすぎかなあと思いました。
何年も会ってないわけだから、いきなり結婚と言われても困る、純粋にそれだけでよかったんじゃないかな。
まあワルドから見たら「ルイズの心の中に誰か(自分以外の男性が)住み始めている」と思うのは、おかしくないんですけど。
ルイズの心の中には、まだこの時点ではサイトは入れないほうが自然な感じがします。
それまでの流れでは、まだサイトを意識するようなところはないので。
このあたりの作りかたは、TVのほうが(当然ですが)うまいと思いますね。
で、TVとそこそこ違ってきました。
というか、TVのほうが、いいエピソードをとってくっつけたみたいで、少し前後したり、姫さまの性格とかちょっと変えてたり。
まあ、第1期でいいものを作っておかないといけないから、許容範囲だと思いますけど。
で、虚無の魔法のとき、TVではルイズがトランスになっていきなり詠唱をはじめたような、、、たしか。
ちゃんと本に書いてあったんですねえ。
虚無の担い手だけに読めるような魔法が施されている本。
始祖プリミルっていう人(初代の虚無の担い手?あるいは発見者?)が、いろんなことのキーになっているようです。
やっと、TVでは見えないドラマが見えてきた感じです。
エクスプロージョンが、初歩の初歩の初歩ということですから、ほかにもいろんな虚無の魔法があるんでしょう、ちょっと楽しみです。
ん、初代ガンダールヴって何者だったんでしょうね。
少なくとも剣を持てる生き物だったんでしょうけど、単純に考えると人間だったのかなあ、と。
武器ならなんでも扱えるわけだから、別に剣にこだわることはないんだけど、初代が好んで使っていたということかもしれません。
なので、虚無の使い魔は人間(あるいは相応の知能と剣を持つことができる体)である必要があるということになるのかな。
なぜハルケギニア人でなく地球人なのかは、だんだん明らかにされていくんでしょうけど。
ということで、2〜3巻は、サイトが来たことで学園、貴族、平民、王室、隣国との関係などがいろいろと変化します。
階級とか、戦争とか魔法とかなんにも関係ない世界からやってきたことで、かなりぶちこわしてますね。
普通なら押さえ込まれるところですが、ルイズが結構な身分であることと、ガンダールヴの力があることのために、まわりのみんなも手が出せないというか。
いろんな意味で新鮮だったのでしょう。
舞台が学校というのも幸いしていると思います。
子どもたちはいったん打ち解けたらすぐ友達になるし、先生、特に研究者というのは変人が多いので興味を持ってしまう。
(特にコルベール先生は研究マニアということを何回も強調してありましたね。)
過去とのギャップを描くためでもあるんでしょうけど。
あとは、ギーシュとかキュルケ、タバサにもうすこし出番を上げてほしいなあと思います。
ああ、そういえば1巻の感想で書いた、サイトが召還されたことについて補足しておきますと。
ほんとに
よくある設定だと思うんです。
多くのWeb上でもそのように書かれていました。
ただ、「使い魔」として、自分が使われる側として召還されることが、唯一なのでは?と思っています。
多くの場合、力を与える側として、最初から助けてあげるために召還されるんですね。
でもサイトは、使われるんです。
そりゃもう、こき使われちゃうじゃないですか。
とはいえ、結局、ガンダールヴとして力を使っちゃうんだけど、それも実は主人を助けるためだけの力です。
世界を救うのは、虚無の担い手であるルイズです。
というところ、使い魔であり、さらに平民扱いでもあるため、なかなかルイズたちと同列には扱われないというところも含めて、特殊な設定だと思います。
(H20.11.8)

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