氷雪教程の季節に突入!
でもまだまだ極寒に中に身を置く気にはならない。何処に行こうかなぁ?って思いつつsaijyoさんにメールしたら函館周辺の「弥五兵衛山、貧乏山、台場山、蝦夷松山あたりは?」との返信があった。
「よ〜し、今週は道南の山だ!」
結局、地図がガイドチームと函館のsakagさんと一緒に「蝦夷松山〜雁皮山」をスパイク長靴で登ることにした。
※ 恥ずかしい事に、この山行をUPしないまま年を越してしまっていました。この山行は、私にとって2012年最後の山行です。

←人気blogランキングへ
12/2
砂原の道の駅で目が覚める。明るくなってみると砂原岳が立派に見える。
「この山もいい山だ!」
きっとこの街の人達は、私の故郷の人達が斜里岳を毎日仰いでいるように、この砂原岳を見ているのだろう。やっぱ、山の麓に住むのっていいなぁ〜、ってつくづく思うのだった。
ここから函館まで走り、sakagさんと待ち合わせて、蝦夷松山の登山口へ向かう。
知らなかったが、この山は夏道があって、夏山ガイドにも出ているって言うのだ。わたしの地形図には登山道表記がなく、夏道なんかないのだと思っていたものだから、ちょっとガッカリする。最新の地形図には蝦夷松山どころか、点名:岩被山までの登山道が描いてあるじゃない。
08:33 夏道の登山口から出発する。

登山口の東屋にはカタカナで「エゾマツ山→」って書いてあり、私だけは「エゾマツ山ってのも同じ方向にあるんだぁ?」ってトンチンカンな勘違いをしたままの出発です。何を考えていたかというと、私はこの山名を地形図で見た時に「蝦夷・松山」だと思い込んでいて、勝手に四国の松山に何らかの縁のある山だって思っていた。
まさか自分がこれから登る山が「エゾマツヤマ」だったとは?そして生えている木は「トドマツ」なのよ!
今日の山行は、北海道を代表する登山界の重鎮「sakagさん」がガイド役となり、歩きながら、この山にまつわる色々な話をしてくれる。
どう?贅沢でしょ!

登山道は、車の走ることのできる林道と平行して、八十八ヵ処巡りの石仏を見ながら登る参道とに分かれている。もちろん車など走れるわけではなく、日が差すとぬかるんでしまうだろう道は霜柱でサクサクと音をたてる。
歩き出して10分ほどで林道が交差し、私達は右に折れて異常に真っすぐな登山道を進む。

途中「神山霊場奥の院」に寄り道しながら登ったものだから、何度か蛇行はしたんだけど、寄り道をしなければ本当にまっすぐなの。sakagさん曰く「磯谷発電所からの送電線跡が登山道になっているんだよ!」って事だ。その後も、気にしながら見ていくと、昔の電柱が登山道の脇に転がっているのだった。送電線といえば立派なものを想像してしまうが、昔は送電線といえども木製の電柱だったのだ!

途中、立派な作業道が交差するが「登山道→」の標示はちゃんとあり、迷う事はない。
そしてその標識には、熊避けに鳴らす為の鍋がぶら下げてある。この鍋が有用な装備なのかどうかは疑問だが、私は小学校の頃の集団下校の事を思い出してしまった。
昭和40年代の近い過去の話だが、私の田舎は羆の生息密度の割と濃い地域だった。実際私は町の中に住んでいてやってはいないが、山の方に住んでいる級友は熊出没の時季に、一斗缶を叩きながら集団下校していたのだ。「marboさん、何年前の話ぃ?」って聞かれてしまったが、私の語れるくらい近い過去の話なんだから驚きだ!

登山道は蝦夷松山の南に延びる広い尾根上に繋がっており、尾根の真上に乗ったら、蝦夷松山まではもう近い。
登山道は、ピークに近づくにつれ岩岩してきて、今までのイメージとはかけ離れていく。mocoったら「3匹ヤギのガラガラドンが棲んでいそう!」とか訳のわかんないことを言っている。この話題についてこられるのは、今回のパーティで私くらいなもんでしょう。

10:20 蝦夷松山(667m)に到着した。
ここは、ピークらしいピークで、やたらと展望がいい。夜に登ったとしたら函館の裏夜景が楽しめそう。

ここで10分ほど休んで展望を楽しむ。700mに満たない標高ではあるが、何故か山奥にいる気にさせる山並みが見えている。「泣面山」「毛無山」「貧乏山」等々、へんてこな山名の密集するこの山域は、これから何回か遠征してくる事になるのだろう。
しかし、今回の目的は、このピークでは無い。ここから800mほど先にある点名:岩被山(743m)に行き、そこからまた800mほど北にある、・747という標高点まで行きたいと思っているのだ。さっそく北へ向けて歩き出す。

岩被山までの稜線は細く、岩で出来ている。トレイル上は雪が被り、岩の切れ目を覆い隠している可能性もあるため、歩みは慎重にとのsakagさんからの注意をされる。しかし慎重に歩いているのは最初だけで、どんどんと先を急いでしまう。何たって、・747にはsakagさんも行った事がないという未知のルートなものだから、どれほど時間がかかるのかも不明。とにかく道のあるところくらいは、ササッと終わらせたいのだ。

この稜線の東には、わりと平らな地形が広がっている。ここはカルデラ地形なのではないかと仮定して研究している人もいるという話だが、見ているとだんだんそう見えてくるから不思議だ。
私達が歩いているこの稜線も、カルデラ外輪山の一部の岩脈に沿って出来ていると思えば、この岩岩した登山道にもうなずける。そして証拠かどうかは分からないが、沢とは違う、妙な地割れ地形も出てくるのだった。
11:20 点名:岩被山(743m)に到着した。


ここで腹ごしらえをし、雪の中から三角点を掘り出して、標高743mまで来ていることを確認する。
普通はここを雁皮山の頂上としているらしい。「でも地形図をよ〜く見てみてよ!」雁皮山の表記は、ここの三角点に書いてあるわけじゃなく、三角点と・747の中間に表記されているのです。これは、この塊一帯を雁皮山と言い、三角点ピークを南峰、・747を北峰と考えるのが自然ではないのだろうか?
ここからが今日のメインイベント!
11:30 雪に埋もれた藪に突入した。
ここからは道が無く、なんとなく選んだ稜線上を進むと崖となってしまう。ここは北北西に弧を描くように延びる尾根を進むのが正解のようだ。軌道修正し尾根を降ろうとして見つけた看板には「根曲平」と書いてある。
「これは手強そうだ!」
ここの根曲り竹は非常に長い。雪のない時期ならば背丈を越えているのではないだろうか?

約800mの間で、50mほど尾根を降って、55mほど登り返しをする事になる。少ないとはいえ、微妙な量の雪に押し倒されている根曲り竹は、一歩踏み出し、雪を壊すたびに起き上がってきそうで歩きづらい。
でも意地になって先頭で藪を漕ぎ続ける。何と言ったって、・747まで行きたいと思っているのは、現実問題として私とsaijyoさんのみ。この2人が弱音を吐いたら、・747までは到達出来ないのだ。そうして後で知ったところによると、点名:岩被山で止めたい人もいたらしい。
「marboさんが藪を漕ぐから、行く事になってしまった!」とぼやきながら歩いていたらしいのだ。
そんな事はかまっていられない。私が行きたいと思ったら、行きたいのだ!
藪と雪のバランスの絶妙な場所を選びつつ進んでいるつもりでも、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、登ったり降ったりで、身体は消耗していく。

後続は「何でこんなルート取りなんだぁ?」って思っていたかもしれないが、一足ごとに雪の下から根曲り竹が勢いを増してきそうになるのを騙し騙し進むのは、けっこう大変な作業なのだ。なものだから、最後の登りをsaijyoさんに任せ、最後尾に付いた時には心底「ほっ!」とした。
12:45 ・747(仮称:雁皮山北峰)に立った。
「いや〜、良かった!」「これで雁皮山に登った!」
「ここまで来ないと、雁皮山を登ったことになんかならないなぁ〜!」って大意張りで言える。
ひねくれもの者の私は、こんなちっちゃい事で満足感をえられてしまうのだ。
ここまで、この山行記録を書きながら、わざわざ雁皮山(点名:岩被山)743mと書かずにいたのは、この北峰まで来なければ、雁皮山に登ったとは言えないと、暗に言っていた事に気付いたかな?!
13:00 あとは、下山するだけです。

何たって、私達にはやることがまだまだ沢山あるのだ。ラーメン食わなきゃならないし、温泉にも入りたいし、何と言っても札幌まで帰らなきゃなんないんだ!
心の中で「下山も、登りと同じくらいの時間がかかるだろう!」と思っていた北峰〜南峰は、思いのほか簡単に終わらせることができ、順調にラーメンに近づいていく。
14:25 蝦夷松山の手前から分岐する「花の道」へ入るのだが、少々ここで一休みする。

地形図を見ても、林道表記はないのだが、登りで何回か横切った林道の何処かに繋がっている道があるのだろう。
盛夏なら、草が覆い不明瞭なのだろうと想像されるが、この季節ともなれば道はくっきりとしていて道から外れる事はない。
「何処に繋がっているんだぁ?」

地形図から目を離してしまった私には、現在地が分からなくなっていて、お客さん状態で降っていく。
途中で大きな沢を渡り現在地を把握できた。登りで立ち寄った「奥の院」の、一本北を流れる沢を渡ったのだ。cnt.380mってところ。
ここからは、この渡渉した沢(笹流川)の右岸沿いに延びている、林業用の作業道(地形図の表記はない)をひたすら降りていく。

15:25 笹流川 cnt.180m に架かる橋を越える。もう山行を終わらせたい時間なのだが、なかなかそうはさせてくれない。
「あぁ、もう嫌だ!」
橋を渡ると、萎えた気持ちに追い打ちをかけるような登り返しが待っていた。それほどでもないと思っていたが、これがけっこう長い。いや、長く感じる。

15:40 今朝、歩き出した林道に合流したら、すぐに登山口に到着です。
「う〜ん、けっこう楽しかったなぁ?」
***山行を終えて***
これが私の2012年最後の山となったのですが、最後にいい山行をさせてもらいました。
歩き始めにsakagさんが「このメンバーで、夏道登山とは?」って言っていたけど、夏道を歩き、雪を踏み、藪を漕ぎ、新ピークをゲットし、未知のルートを探索しながらの山行は、山を楽しむ要素てんこ盛りの山行でした。
南峰〜北峰の間、花の道からの下山ルートは、地元のsakagさんも初めて歩くルートとのことで、「やっぱり夏道だけで終わるわけないよなぁ?」との一言が、今回のメンバー構成をよく言い表していました。
今回の北峰まで行かないまでも、この山を楽しむ時はぜひとも私達の歩いた下山ルートを歩いてもらいたいものです。
夏道としては、登りで使ったルートも有りだけれど、下山に使ったルートは、より登山を楽しんでいる気分にさせてくれます。
(GPSログはsakagさんのHPを参照して下さい。)
それと、ビールを呑みながら助手席に座っているだけの私を乗せて、往復の長距離を運転してくれたmocoありがとう! きっと2013年もそんな感じだろうけど、我慢してね!
***一緒に登った仲間***
・
「一人歩きの北海道山紀行」のsakagさん
・
「地図がガイドの山歩き」のsaijyoさん、チロロ2さん、チロロ3さん
・
「mocoの掲示板」のmoco
・そして私、marbo
■sakagさんの山行記へ
■saijyoさんの山行記へ
■mocoの山行記へ

←人気blogランキングへ