8/28 11:16(晴れ)
赤石川左岸の柱状節理にへばりついている。本当なら赤石川を遡り、美ヶ原より黒岳石室へ向かう予定だったのだが、フォールの精神的痛手は大きく、身体は無傷なのに気持ちは完全に折れてしまった。
フォールした壁のテラスに腰掛けて電話をする。
「いま何処〜?」
「えっ、まだ家?」
「壁から墜落した〜!」
「若葉さんと一緒にロープウェイで登る!」
「何時に着く〜?」
「じゃ、ロープウェイの駐車場で!」
今晩はblog仲間と「黒岳石室」で一杯やる事になっていたのだ。
沢から攻めて、黒岳合流予定が、壁に打ちのめされて撤退です。
“おかげで、ゆる〜い登山に変更”
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8/28
壁から降りてきて、何となく身繕いをする。
なんてったって、これからロープウェイとリフトを乗り継いで、黒岳の夏道登山道を歩くのだ。

・ヘルメット? いらない。
・スパッツ? いらない。
・ネオプレーンソックス? 脚臭くなるしょ!
・穴の開いた服? もちろん着替え。
・靴は沢靴しかね〜!
・
・
・
でもどこから見ても、普通の登山者には見えない。
なんせ私達は、この銀座通りともいうべき、黒岳の夏道登山道など、ほとんど歩いた事がないし、最近雑誌なんかで見る「山ガール」などへの対応だってきっと出来ない。
正統派の山ヤを自認してはいるが、今風の登山愛好家ではない事だけは確かなのだ。

グッドタイミングで、若葉さんと合流し、ロープウェイとリフトを乗り継いで登山道に入るが“けっこう恥ずかしい”
でもこんな事を滅多にしないメンバーは、遠足気分でテンションが高い。
まったくドラマの無い登山道は暑く、整備された階段状の登山道は歩きづらい。
私は沢を歩いていても、水がなくなり登山道に出たとたんに“ガックリ”スピードが落ちて、歩くのがいやになる傾向がある。でもここは、最初から最後まで水のない夏道です。
そして、いました! 「山ガール!」 山ガールファッションってスカートなのかと思ったら、ワンピースってのもあるみたい。
「こんにちは!」っていう挨拶をするにも照れてしまう。顔をあわすのが照れるのだ!
それにしても、若葉さんのザックは重そうでした。20Kg以上25Kg未満と言っているが、これは男子が1週間山旅の出来る重さなのだ。
「好きじゃなきゃ出来ねぇなぁ」と思いつつ、遅れてくる若葉さんを途中で待っていたのだが彼女は休まないで歩き出す。先を歩くonちゃんに追いつくまで休まないで歩くんだって!
荷は軽いけれど、沢の涼になれた私の身体からは滝の様な汗が流れる。
「わー!」「きゃー!」onちゃんと合流したらしい若葉さんの声が山腹を越えて聞こえてきた。彼女の声はよく通るのだ。
私達も合流してonちゃんと挨拶をすませたあとは、走るように山頂へ!
muraさんは「ビール、ビール」と呪文を唱え、mononofuは「すげ〜体力だ!」といいつつmuraさんを追う。私とmocoはゆっくりペース。

登山道の上から「marboさ〜ん!」って聞いた事のある声が聞こえてきた。「誰だ? えっちゃん?」降りてきたのはHYMLの知った人たちです。私の会の会員まで混じっているじゃない。
「なんでここにいるの?」「予定は違ったしょ!」「山ちゃんは?」「まだ上」とか暫く立ち話です。
はたまた、mononofuが「今朝、ロープウェイの駐車場で上司に会ったんですよねぇ」と話しながら歩いていたらすかさず「俺だ!」ってその上司が上から降りてきた。
ここは知った人によくあう山のようだ。
最後に山ちゃんとすれ違い、またまた立ち話。すでに柱状節理からの墜落の話は耳に入っていて「強運の持ち主」と私をからかう。私本人としては、恥ずかしい出来事なのにね。

途中、雲の中を歩いていた登山道は雲の上に出て、青空です。
黒岳頂上に着くと、muraさんが石の上で寝っころがっていました。私の顔をみるなり「いいよねぇ、ここで一本開けたって!」「開けよう、開けよう」
「プッシュ!」頂上ビールは気持ちいい!
「やっぱ、山はいいねぇ!」「大雪もたまにはいいじゃん!」
目の前には、尾根嫌いな私達でさえも、歩きたくなるような大きな山が広がっていました。ビールを飲みながら、ごろごろしていると、若葉さんとonちゃんも追いついて、一緒に石室まで。
石室で宿泊費を確認していると、若葉さんの横槍がはいる。
「marboさんが、石室泊なんかしちゃダメ!」「イメージ崩れる〜」
どんなイメージかはわからないが、若葉さんは私をバリバリの沢屋だと思っている。沢屋は石室になど泊まらないのだと思っているのだろうか?
「わかった、わかった、ツェルト泊にします。」 ちゃんとツェルトは二張り持ってきているのだ。
綺麗なテントの立ち並ぶテン場に女子用のテントを二張り張って、mononofuの近代的なツェルトを張る。そして、私の35年もののツェルトを出すとみんなの目が釘付けとなる。
このツェルト、私が中学2年のときに買ったテントの底を割って、現在はツェルトとして使用している。だがある日、丸めて物置に突っ込んでおいたら、ネズミに齧られてしまって、大量の穴があいてしまったのだった。この穴を丹念にリペアしたのだが、リペアシートは大、中、小と星型に切り分けて星座模様に貼ってある。
片面は、オリオン座とプレアデス星団と月がレイアウトされている。これは台湾の伝説でプレアデスの七星のうちの一星が月に恋をして月を追いかけるってのと、ギリシャ神話でオリオンがプレアデスを追い回したってのを表していて、もう片面はこぐま座の北極星を中心に、カシオペア座がレイアウトされている。星の配列があるので、ネズミに齧られた場所以外にもリペアシートが貼ってあるわけ。
若葉さんに「何か字が書いてある」って“北”と書いてある星を指差されたが、その時は「北極星だよ」って説明できなかった。なんとなく恥ずかしかったのだ。説明すればポイント高かったかなぁ?
テント設営後は宴会です。
mocoの具沢山コンソメスープと若葉さんのキムチ鍋をメインに、「乾杯〜!」
みんなで食べるのは楽しいし、美味しい。ましてや山の上で山仲間との食事なんだから美味しくないわけが無い!
あっちの鍋、こっちの鍋と二種類の鍋を楽しむ。
ここで集まった人たちを紹介しよう。
・
空に向かって ひとりごと・・・の若葉マークさん
・
onのお部屋のonちゃん
・
北のごはん ときどき 山歩きのemaさん
・
雄大な道東の山々からの山ちゃりさん
・
自分だけの時を刻め。のmyordinarydaysさん

わがチーム
・
I toast a blue sky.のmuraさん
・marbo塾の一番弟子のmoco
・marbo塾の二番弟子のmohohofu
・そして、大好き!Mt.Onneのmarbo
いい調子で盛り上がっていたら、小屋番のユピーさんが、「BAR石室」へ招待してくれた。
ここから止まらない。呑む、呑む、騒ぐ、騒ぐ! 石室で寝ている人には聞こえないのだろうか?と心配になるほどのHiテンションです。「自分だけの時を刻め。」のmyordinarydaysさんは今日が誕生日だって言うし、急遽ケーキにローソク(キャンドルとはいわない)をたてて、Happy birthday♪となってしまう。

若葉さんたちはテントに戻り、3次会となって、周りから怒られたらしいが、わがチームはダラダラと「BAR石室」で呑み続け何時にツェルトに戻ったのかは不明。
8/29
翌朝、ガサゴソと周りの音が聞こえるが、起きるつもりは無い。今日は山を降りるだけなのだ。

山だというのに6時過ぎに起床して飯を食う。のんびりしすぎか? 若葉さんたちは、桂月に日の出を見に行って、すでに飯も終わっている。
「でもいいのだ!」
こんなゆったりした時間を山で過ごすことなんて、きっともう10年は無いだろう。
無駄で、勿体無く、ダラダラと山の休日を使うのだ。これを贅沢というのか?

若葉さんたちは、お鉢廻りをするということで、彼女らとはこれでお別れだ!
「気をつけてねぇ〜!」「またね〜!」
お鉢廻りに行く彼女らを見送り、残った面々で、またお湯を沸かし、お茶を飲む。
どんだけ、のんびりしたら気が済むのか? 私の知らないmixi仲間らしき人がmononofuに声をかけてきたりする。

09:00 重い腰をあげて、お鉢廻りに行かなかったonちゃんらに見送られ、下山することにした。この時間ともなると気温も上がってきて、ぽかぽかだ!
汗をだらだらと流し、沢靴で滑らないギリギリのスピードで走るように登山道を降る。

すでに、赤石川左岸柱状節理の登攀で山行を終わらせているわれらは、下山と言っても、リフト、ロープウェイを乗り継いでの下山だ。
わかってはいたが、昨日乗ったときよりも、下山でリフトに乗っているのはカッコ悪い。登りのリフトには軽装の観光客や、ハイカーが乗っており、すれ違う私達は山中泊のザックを横に置き、午後の早いうちの下山なのだ。
moco達は、yuukoさんに知られたら怒られると言いながら乗っている。私だって、首を傾げてしまう様な下山姿なのだったから。
乗り物に乗って、早々と下山後は、温泉に入って、お昼にはラーメンを食べていた。お手軽な登山だった。自分の山とはかけ離れた“達成感というものの全くない”ゆる〜い登山。
なのに楽しかったのは何故だ!
人か? 人と人と山との繋がりの確認?
一緒に山に登った事のない岳友で、HP
「あの風にあいたくて」の松尾さんは「山は人」と言っている。これは色々な場面で、いろんな解釈ができる。
「山は人ね!」「う〜ん、山は人」
そうだよね、若葉さん!「山は人」が道標だよね!
***山を降りて***
下山後、いろいろな人がBlog上で、今回の山行記を書いている。見ていると楽しい。
私も、いまこれを書きながら「夏尾根登山で書く事などあるか?」と思って書き始めたが、けっこう書く事ができるのだ。それは、いつもと違う時間をすごしたからかもしれない。
marboさんに似合わないって言葉や、イメ〜ジ崩れる〜!という言葉がでてきていたが、どんなイメージを持って私を見ていたんだろう。mocoですら、最初に思い描いたイメージは「ゴッツイ山男!」って想像していたみたいだからね。
イメージは崩すときに崩しておかないと、新たな手枷、足枷が増えてしまう。他人のイメージに縛られ高度計とGPSの使用が出来ない身となっているが、テントも使っちゃいけないって足枷がかかるのは非常に困る!
それだけは勘弁してくれ!テントは使うぞ〜!
そして、ゆるい山行には金がかかる。ロープウェイ代、リフト代、テン場代。今までほとんど山では支払った事のないお金だ。
やっぱり、銀座で遊ぶのは金がかかる。 やっぱ私は有楽町のガード下あたりの焼き鳥屋で、ちびちびやるのがお似合いだなぁ〜。
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