夏尾根のぼろ〜!ってucchiからのお誘い。
なんだか岩も、ダラダラと登っているような、登っていないようなで、消化不良ぎみだ。
「よ〜し!気分転換しよう。」
大雪山系で踏もうと思っていたのに、踏んでいない“北鎮岳”をルート途中において表大雪の縦走をすることにした。
予定ルートは、愛山渓温泉から永山岳、北鎮岳を通り、黒岳石室でテン泊した後、中岳温泉から当麻乗越経由で沼ノ平を歩くという計画。
天気予報では、曇り時々雨。そして二日目は曇り時々晴れとなっているが、一日天気が前にズレている感じがする。そのとおりならラッキーなのだ。
予定通り、深夜のドライブをして愛山渓温泉に向かった。
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6/14
07:00 寝た感じがしないが、時間的には2時間の仮眠をとった事になっている。簡単に朝飯を食べて山の方を見ると空は曇り。でも何となく晴れると信じて登山開始することにした。
山中泊の装備を担いでいるのに、軽く感じる。「GWに日高に行ったときより軽い。」「うん、GWの斜里の時より軽いわ!」
登攀装備が無かったり、冬用の装備じゃなかったりすると、ザックの重さは爆発的に軽く感じる。

ここの登山道は、普通のハイカーも多いからか、木道がいたるところ整備されていて道も広い。でも壊れた木道だったら無いほうがましだと思うのは私だけではないだろう。
沼ノ平と永山岳への分岐をすぎると、登山道は登山道らしく細くなってきて、日陰の斜面には固い残雪がへばりついていたりしていた。
1時間ほどで、昇天ノ滝がみえてきた。沢は所々雪渓となっている。立派な滝だがルートは滝の手前より右股に向かって行き、村雨ノ滝へと向かう。

ここは滝の左岸の急斜面をFIXロープを頼りに登るのだが、固まったザラメ雪が斜面に張り付いている。滑り落ちたら、滝の中にドボンだけではすまない。慎重にステップを切って登るが、残雪に関しては今が一番危険な季節だ。
08:25 永山岳に向かう渡渉点に着いてここで一休み。対岸は雪がついているが、登り易そうなところから登山道にあがる。
この先は一昨年秋に予想外のラッセルをしながら登ったルート。その時はツボ足で股下のラッセルだったのだ。今回は登山道を水が流れていて靴がドロドロになってしまう。
もしも天気が良ければ、沼ノ平が見えているだろう尾根道もガスで視界は20mくらいだろうか?
雨も降ってきて寒い。雨具を着込んで、ストックを用意する。
所々雪で埋まった登山道の先は、大きな雪田となっていて登山道を見失ってしまった。「なんてこった!」夏道だとバカにして地形図を見ていなかった。視界のない中、歩いてきた道の記憶をたぐりながらコンパス切って雪田を抜け岩だらけの登山道にでた。

10:10 P1709をすぎて、ハイマツの背も低くなってきたが、まったく視界がない。先が見えない登山道は長く感じて嫌になる。
ガスの先に大きな雪渓が見えてきた。薄っすらとベンチが見えてきたので、そこで一休み。永山岳方向を見ると、何となく山のようなものが見えるが、そんなにピークが近いわけもなく、雨、ガスでテンションのあがらない登山とはこんなにも面白くもなく、長く感じるものなのかと再認識させられる。
雪渓の右岸を歩いていくと“銀明水”の看板がでてきた。「まだこんなところか〜。」
ここから登山道は、山腹をジグを切りながら登っていく。「そうだ!こんな感じだった。」岩が折り重なるようなピークが見えてきた。頂上は近い。

11:47 雨のなか、永山岳(2040m)に到着した。ここでは写真を撮っただけで、次のピークへと向かう。
冷たい雨だな〜?って思っていた雨は、何だか白く感じる。そうです、雨じゃなく雪です。2000mを越えると、この季節でも雪がふるのです。
ここからは、ガレた尾根を歩くだけなのだが、尾根の左側は恐ろしいほどの傾斜が雲の中に消えていっている。そして雪庇の名残の雪が厚く残っていて、何mあるのか想像もつかないクレパスが何本も走っている。
天気がよければ、怖いのだろうな〜!

12:20 安足間岳(2194m)、前回来た時はここから当麻乗越方面へ向かったのだから、北鎮岳方向に行くのは初めて。そして向かう方向は厚い残雪が何処までも続いているように見える。
少し休んで、雪の尾根を歩き、比布岳に向かう。
「アイゼン着けるか?」粗目雪のナイフリッジの下10cmは凍っている。傾斜がなければ難なく歩けるが、急になったら歩ける自身はない。

いろんな本で見たことがある愛別岳の分岐、ガレた急斜面を降りていくあの場所だ。でも今は全く写真のような景色ではなく、降り口すらわからない。雪質からいうと12本アイゼンとピッケルを持っていたって、一旦滑ったら停める自信など私にはない。
目の前に続く、比布岳へのナイフリッジの急登を目の前にして、12:35 撤退する判断をした。
なんたって、私達は、6本爪の軽アイゼンとストックしか持っていなかったのだから。
帰路、安足間岳まで戻ると、若者3名が分岐の看板のところにいるじゃないか。聞くと愛別岳に行くという。
無理だと告げるが、行ってみるという若者の足回りは、スニーカーの奴までいるしまつ。「俺達の足跡まで行ってみて判断しな」って別れたが、きっと引き返してくるだろう。

帰りは速い!
永山岳をすぎ、銀明水の下のベンチまできたところで、少し視界が開けてきた。翌日は好天になるのだろう。雨具を脱ごうと思ったら、雨は強くなる。カミナリさんは、徹底的に私達に意地悪をするのだ。
ただ雲の流れは速く、ときおり沼ノ平が見える。明日はどうしよう。
14:50 沼ノ平⇔永山岳の分岐に着いた。縦走装備での降りは脚への負担が大きい。ただ下山するだけだと思っているから、他のことは何も考えずに、温泉につかる事だけしか頭にはない。そう思うと一度通った道なのに長く感じる。
15:30 愛山渓温泉に着いた。脹脛が痛い!肩が痛い!風呂に入りたい!
***山を降りて***
久しぶりに計画した、夏尾根の山中泊縦走は、あっけなく終わってしまった。もっと事前情報を集めてから望まないと、こんな事になってしまう。
夏尾根縦走を、ナメていたからこんな事になってしまったのだ。
安足間岳で合った若者は、私の感覚からすると、おおよそ登山のスタイルではなかった。でも若者は凄い。
雪田では私達の足跡を辿って、夏道をみつけて登ってきたらしいが、地図を持っていない。登山靴を履いていない。雨具を着ていない。
「おおっ!」と思った装備は、GPS付の携帯電話だ。彼らはGPS携帯の地図を見て山にきているのだ。まねをする気はないけれど、アナログ人間にとっては、ビックリな装備ではあった。
登山口で彼らの車をみたら、札幌ナンバーだった。我が会に入ってくれたら、読図から教えてあげるんだけれど、若者には、もっと楽しいことがたくさんあるのだろうな?
***メンバー***
リーダー:marbo
メンバー:ucchi
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