<前回のつづきです>
奈良県に入るとここ数年のうちに改良されたらしい綺麗な舗装の割合が増える。登り勾配中心となり、道はおおむね斜面の南側にあるため、さほど陰鬱な感じは無い。法面はまだ新しいコンクリと金属ネットで覆われ落石を塞いでいる。施工が新しいあたり、ここ数年のうちに少なくとも一度崩れたんだな、と察する。だが、ネットの裾は早くも落石でパンパンに膨らんだ箇所も多い。そしてネットからこぼれた落石が路面に転がっている。落石を避けようとしても、谷側の路肩は崩れていたり陥没していたりと実に頼りない。道幅は相変わらずの1.0〜1.5車線で、対向車が現れないのは幸いか。
勾配を登りきると一際大きな切り通しが現れた。地形図では場所が曖昧だが、ここがr735の難所・
引牛越である
と推測される。

ダイナミックな切り通し ここが引牛越か
メジャー物件のR425はこのr735のひと山北側を同じく東西に走っており、同様に峠が存在し、その名を
牛廻越という。そちらはすぐ南にある牛廻山に由来すると思われるが、龍神村〜十津川村間の連絡路の双璧を成す両者ともに牛の名がついているのは興味深い。時間があればそれらの由来について、じっくり調べてみたいものである。
<ヒトリゴト>牛が目を回すほどの悪路だから牛廻越?それよりマシな道であり、まったり牛に引かれて越えられるから引牛越?< /ヒトリゴト>

とは言え険しすぎて同乗者もドン引き

切り通しのすぐ先にある看板
「
この区間
転落事故多発
気をつけて
通行して下さい」
なにそれこわい
この切り通し付近は2.0車線以上あり、ここで車を止めて休憩していると、大型バイクが二台ほど順方向に、初心者マークを貼ったセダンが逆方向に通過して行った。セダンのナンバープレートを見ると奈良ナンバーだったので、この先R168の交点まで抜け切れると推定できる。
しかし難所を越えたところで道路環境は劇的に改善される、という訳はあるまい。それよりも悪化している箇所も多い。小規模の土砂崩れが発生していたり、ガードレールが無く路肩も崩れかけた実質0.8車線の急カーブ急勾配という、酷成分濃厚で興奮しすぎて鼻血の出そうな悪路も登場する。これでは迷い込んできた他府県ナンバーのドライバーは卒倒しかねない。今し方の春シーズンもそうだが、来月迎えるGWには十津川村から龍神村へ、あるいはその逆の短絡路と見えて突っ込んでくる上記のドライバーが多そうだ。尤もそのような車はおそらく
国道425へ走らせるだろう。そして
最凶区間にて同様なドライバーの対向車が現れ進退極って途方に暮れる、という構図がありありと浮かんでくる。
つーかさっきのバイクとセダンはどこで対向したんやろう?
ウネウネクネクネ酷い道が続くが、寺垣内の集落を過ぎると路面の状況は劇的に変化する。道幅こそ変化が無いが、落石や木の枝などの落下物が激減する。そして驚いたのが、ここに来て
バス停が姿を現すのだった。つまり、少なくとも寺垣内の集落は今なお現役の、人の住む集落であることが判る。
ふとご丁寧に「お手洗」の文字が目に入ったので、少しばかりトイレ休憩をとる。単なる公衆便所なのに、この気の入れようが如何にも十津川村らしい(笑)。

観光協会公認の公衆便所

振り返る 今まで通ってきた道はこんな感じ
先の寺垣内の集落からは谷合いの集落をつなぐローカル路となり、対向車の数も一段と増える。対向した全車が地元の人の車であり、観光客の他府県ナンバー車や私のような
変態マニアの車は皆無だった。ところがここに来て、対向車としてなんと
路線バスが現れた。リエッセだか何だか車種こそ覚えていなかったが小型車だったのは確かだが、まさか乗合バスと対向するとは思ってもみなかった。幸いやや広い場所だったので容易に対向できた。しかしバスの運転士さん、毎日こんな狭隘路を走って大変だろう。バスは十津川村の運営だが業務は奈良交通が担っているらしい。そういえば奈良交通の運転士さんは狭隘路を運転するためアメリカのNASAで特殊訓練を受けている、というウワサを耳にしたことがある(笑)。特殊訓練自体はネタだろうが、恐ろしいほどの高いスキルは間違いないだろう。

谷底からはかなり高い

小学校発見!
猫の額ほどの平場に立派なコンクリ造りの小学校が建っている。地図には西川第二小学校と表記されており、おそらくは廃校を免れ現役なのだろう。

肝心のヘキサを忘れていたw
Ryujintotsukawa
sen
上湯川沿いにウネウネすること、龍神村のR371/R425分岐から二時間あまり、十津川村蕨尾近くで件のR425と合流し、そこから数百メートルでR168との交点に到着した。距離にして40kmほどの道のりであった。今回私は引牛越と公衆便所にて休憩を取ったが、休憩なしでも一時間半は掛かること間違いなし。
結論:龍神村〜十津川村の移動にr735を使ってはいけない。
>
r198経由でR311を使いましょう。
〜以下、オマケ〜
二時間近くも重い3ナンバーの車のハンドルを回し続けたので、腕がパンパンである(運動不足)。R168に出た後、少し五條側に走ると公衆浴場を見つけた。

南部老人憩の家「憩の湯」
老人〜と名がつくが村外の一般人も入浴可能である。去年入浴した湯泉地温泉に対し、こちらは「十津川温泉」という。源泉掛け流し宣言をしているだけあって、こちらも狭いながらお湯がオーバーフローされている。源泉が熱いので、浴槽をかき回さないと熱くて入れない(笑)。休日の昼頃であったが、終始たのしいかしきりであった。
温泉でリフレッシュしたのち、R168を南下する。
二津野ダム近くの休憩所にて…

吉野
(郡)の桜とともに
…そう、一年前と同じ構図なのでした。
今年は姉も一緒です(笑)
〜終〜
#本部サイトに昨年の
レポートを加筆しアップしました。
あわせてご覧ください。
今後も長編レポートを本部サイトにて随時アップします。