ロバート・A・ハインライン(訳:矢野 徹)『宇宙の戦士』
タイトルだけを見たら、読む気にはならなかった。いくらハイライン作だと言われても、スターウォーズ的な、連続ものの何かでしょ??くらいに思って忘れてしまったかもしれない。
ヒューゴー賞を取得したと聞いても、実際人からの勧めがなければ読まなかっただろう。
これは、
戦争小説だ。
舞台が宇宙というだけの、戦争小説。
戦うのは生身の人間と生身の“宇宙人”である。
これは・・・
すごい!!!!!!!
ここまで生々しく兵士の行動・生活を描けるなんて、純粋にすごい!!!としか思えない。
どうも内容が内容だもんで、当時(1960年代)はハイラインのファシズム的な精神性が、随分な酷評を受けていたらしい。
だけど、2010年にわたしが読んだところでは、そこまで偏った政治的意見はさほど重要に受け取れなかった。
単純に、すごい!!!
おもしろいんです。
やはりSFファンの多くは、作品に哲学性を求めるみたいですが、
わたしとしては自分の哲学に深みを持たせる刺激としては、十分な読み物であると思う。
「こういう世界もあり得ますけど、いかがです??」という紹介のような。
『夏への扉』の感想にも書いたけど、ハイラインの作品は、確かに哲学性が薄い。
だが、ハイラインが生まれ育ったアメリカのお国柄というか、日本人としてのわたしとの根本的な価値観の相違が作品の節々から垣間見えるところが、とてもおもしろい。
読み物として、やっぱり上質であると思う。
そして、これを読んで「戦争がどうの・・・」と論議をかますのは、違うように思う。
これは、戦争小説ではあるが、あくまで、SFなのだ。
まぁ、わたしの端的な感想を言ってしまうと、確かに矛盾していると思う。
感想は、
兵隊って、すげぇ!!!!!
だけど、この作品は、SFとしてとても上質でおもしろい作品だ。
いやぁ、それにしても、長い闘いの日々だった・・・

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