あっかんべェ一休

2008/4/13 | 投稿者: マルセタロー

故・坂口尚氏の「あっかんべェ一休」を全巻読み直す。改めて坂口さんは天才だったなぁと感慨深い。この漫画との出逢いは月刊アフタヌーン(今もヒストリエとヴィンランド・サガ読んでます)に連載されていた時だが、その画力と内容に当時ワクワクしながら読んだ記憶がある。

私は基本的に和モノの話が好きだが、特に禅宗には心惹かれるものを感じる。この作品で描かれる一休禅師は世間の基準で言えば破戒僧の最たるものだが、しかしそれでいてその悟境には、無機質以外の何ともいえない妙味を感じさせる。

  釈迦という
  いたずら者が世にいでて
  多くの人を迷わするかな

これなどはその気高く自由な精神性と、それでいて遊び心が包含された傑作の一文ではないか思う。特に修行などしなくても、生活の中であきらめに似た小悟は何度か経験することがある。しかしその境地を常に維持できるほど、現実の生活は甘くない。透徹した悟境とそれを維持できる現実生活を調えることの難しさを日々感じさせる。

この作品で初めて坂口氏のことを知ったが、他の作品を読みたいと思って調べてみると、既にお亡くなりになっていて大変驚いた。ネットで調べてみるとやはり天才と言われた方であったようで、もともとはアニメーターとしても活躍されていたそうである。

特に第3巻(アフタヌーンKCデラックス版)の遊女もみじとの一連のやりとりは、坂口氏の創作エピソードだと思うが、この儚さの表現の仕方はまさしく天才的で、その画力と相まって胸にせまるものがある。この作品が遺作になってしまい、氏の新しい作品が読めないかと思うと残念でならない。ご冥福をお祈りいたします。




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