生命力を高める身体操作術

2006/2/11 | 投稿者: マルセタロー

世間では甲野善紀氏をはじめとして、古武術がちょっとしたブームになっているようである。この本の著者・河野智聖氏も、もともとは武術畑の人だが、それを整体と融合されて、今は「自由人ネットワーク」という武術や健康法を指導する団体を主宰しておられる。

河野氏が学ばれた整体は一般的には「野口整体」といわれるものだが(厳密には野口整体の創始者・野口晴哉氏の弟子にあたる岡島瑞徳氏から学ばれている)、この野口整体は知名度の割には、なかなかその内容がよく分からない。

よく分からないというと、自分が分からないだけなので語弊があるが、野口晴哉氏は一種の天才だった方だが、その残した体系はかなり膨大で、しかも気の感覚に踏み込んだ微妙なものが多く、話を聞いたり本を読むとそれなりに納得できるのだが、実際に体感できるか、となると一筋縄でいくようなものではないためである。

そんな中、本書では著者自身の研究を取り入れつつ、主に腰椎とよばれる5つの椎骨に焦点を絞って解説がされている。私自身、この腰椎の考え方はかなり感覚と合致しており、自分の体調や動きの観察に重宝しているところがある。簡単にまとめると以下のようになる(L1は腰椎1番を表す。Lは腰椎=lumbalesの略称)

L1 上下運動を支配。頭の働きや頸の動きに関係する。
   神経系
L2 左右運動を支配。感情と関係する。消化器系
L3 捻れ運動を支配。闘争心と関係する。泌尿器系
L4 骨盤の開閉運動を支配。直感や本能と関係する。
   生殖器系
L5 前後運動を支配。走る・リズム感などと関係する。
   呼吸器系

これらの分類は他の野口整体の本の見方とほぼ一致している。この本の面白いところは、この5つの腰椎のどこに焦点を当てるかによって、国や民族の特徴を捉えるのに使っているところである。これは必ずあてはまるとはいえないが、大枠としては当たっているのではないかと思う。

L1 アングロサクソン系
L2 フランス人、中国人
L3 韓国人やラテン系
L4 日本人
L5 黒人

腰椎の得意分野を類型することによって、何に焦点をあてて物事を捉えるか、また得意とする動きやスポーツがある程度分類できてくる。例えば、L1ならバレーボールやバスケットボール、または高跳などのジャンプ系の能力を発揮するのに役立つし、L2に焦点がある中国やフランスは、共に食文化が豊かで、情緒面においても豊かな面を持つ、という具合である。

日本人はというと動きの中心はL4となり、これは民族衣装やアイテムにも影響を及ぼす。例えば、ヘソ下に帯を巻くことや、草履や足袋、着物なども腰椎4番に意識が集中するように構成されているとのこと。L4に意識を置くと跳ね上がったり、足を高く上げる動作がやりにくくなり、足は自然とすり足になってくる。運動にみる典型的な例としては、バレエのようにつま先立ちで足を跳ね上げる動作ではなく、日舞や歌舞伎のように腰を落として、身体の意識を地に向ける舞が発達することに表われてくる。

現代は非常にボーダーレスとなってきているし、日本人の中でも様々なタイプがいるので、必ずしもあてはまらないかも知れないが、その民族固有の文化については、なかなかよく表現できている体系だと思う。

また本書の後半では、仙椎に関する解説や、何種類かの生理現象と感受性についてもまとめられている。心身一如とよく言われるが、ただの印象論や根性論だけではなく、ある程度客観的に自分の感情と身体のつながりを知る手がかりとなる一冊である。





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