昨夕、シアターコクーンにてとある作品を見てまいりました。
「走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!」
野田マップの作品、そして私にとっては30年前に東大の教室で観た、そして
25年前に出演した作品です。
私の芝居の原点と言ってもよいかもしれません。
ああ・・・この場面で、このセリフのこの時、こんなことがあって・・・
観客としてもいたのですが、半分「出演者」として思い出の舞台に立っていました。
「どうだ、懐かしいだろう?」
終演後、楽屋で会った野田は開口一番にこう言いました。
あれから30年・・・
「ああ、どのセリフも聞き覚えがあったよ・・・」
舞台セットこそ立派になったけど、本も演出もほとんど変わっていません。
そして、野田自身の演技も・・・
ああ、こんなこと教わったっけ・・・
彼から学んだことを私はゆっくりと反芻していました。
帰り道、次回の作品で演る役に私はあの天才演劇者から学んだ演技プランを当てはめて
いました。
もう一度あの野生演技をはめこんでいたのです。
幸い(?)次の役にはソロ歌はない・・・ちょっとぐらい声つぶしたって・・・
・・・あいつから学んだ技をとことん使ってみよう・・・あのセリフはこう吐いて・・・
あの場面はこう出て・・・あの間はこう潰して・・・
山道を歩く私は、まぎれもない30年前の私と出会っていたのでした。

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