近所のレンタルビデオ屋が旧作100円セールを始めたもので、以前から気になっていた「プリズンブレイク」を借りました。これがはまってしまったのです。
無実の罪で死刑を宣告された兄を救うため、建築家の弟がわざと罪を犯し、自分が設計した刑務所へ乗り込み脱獄させる、そんな話です。
4日ぐらいの間に2シリーズ、24本全部見てしまいました。
もう、首と肩が痛いのなんのって・・・(笑)
芝居の勉強という触れ込みですが、気がつけばすっかり夢中になってしまいました。
はらはらどきどきのスリルとサスペンス、これでもかっていうぐらい訪れる危機、そして、そんなアホなっていうぐらいの大脱出、片時も目が離せませんが、この作品のテーマ、実は「大事な人を守る」なのです。
脱獄した8人の囚人は(そして、それを追う刑事も)愛する妻、娘、息子、兄、弟、ひいては家族というものに強い執着があります。一度失くした絆をもう一度結び、そして守ろうと思うのです。時には自分の命をなげうってまでも実行しようとします。
放っておけないか弱さ、けなげさに何としても手を差し伸べたい、守ってあげたい・・・そんな切ない愛の話なのです。
さて、ずいぶんと前置きが長くなりました。
実は昨日、私もこの「守ってあげたい」を無性に思ってしまったのです。
チノ生後2日目 110g
とある夏の暑い日、かみさんは猫を拾いました。
生まれて間もない乳飲み子です。
チノ、ミゴー、ゴッチの三兄弟、彼らは里親猫からお乳をもらい、すくすく育っていきました。
しかし、一匹だけ落ちこぼれがいたのです。
三毛猫のチノです。
三匹はジェリクルハウスの姫ちゃんに育ててもらっていたのですが、チノはどうもそこから‘外れていた’ようなのです。
「時々、ひとり端っこにいたりしてたの」
ハウスのご主人、テレサが言います。
姫ちゃんの実子が4匹ですから、合計七匹でお乳をもらっていたわけです。
その争奪戦に加われなかったのでしょうか。
テレサも気をつけてはいてくれたのですが、なにしろここは総勢七十六匹ハウスです。病気の子も何匹かいるし、なかなか手が回らないのが実情です。
そうこうしているうちに、チノはカリシウィルスにかかりました。
病院に連れて行くと、喉の奥が赤く腫れており、どうやらこの痛さもあってお乳が飲めなかったようです。
これは放っておくわけにはいきません。
養子に出して一ヶ月以上が過ぎました。そろそろ、離乳食でも大丈夫です。
チノの介護はジェリクルハウスから我が家にバトンタッチしました。
「小っちゃーい!!!」
チノを見た私の第一声です。
乳飲み子三兄弟のうち、ミゴーが600グラム、ゴッチが700グラム、なのにチノは300グラムしかありません。
おまけに下痢をしていて、ウンチをしたら290グラムになってしまいました。
病院へ連れて行き、再検査すると、カリシウィルスはかなり治ったものの、他の細菌感染をしており、おまけに回虫がいました。こいつがチノの栄養を奪っていたのです。
早速、虫下しを処方しました。
それにしても小さい猫です。
頬はこけ、目と耳だけがやたら大きく見えます。
さわるとあばら骨が浮いています。
今まで色んな仔猫を見てきましたが、こんな小さい子は初めてです。
ぎんじろうの頭ぐらいしかありません。
でも、食欲は旺盛で、いたって元気です。
ミルクを小皿に入れてあげたのですが、いきなりそこに頭を突っ込みガブアグって飲んだものですからびっくりしました。
普通の猫には小皿でも、チノにとってはプールみたいな大きさです。慌てて量を減らし、少しずつ飲ませたほどです。
でも、なんて立派な猫でしょう!
小さな四肢を踏ん張り、ヨチヨチながらしっかり歩き、一度には無理ですが、処方食もちゃんと食べてくれます。
下痢しながらも、スーパーアイもミルクも飲みます。
大好きななまり節はアグアグ食らいつきます。
こんな小さな体でけなげに生きているのです。
夏の暑い日、生まれてすぐ草むらに捨てられ、病気になり、食いっぱぐれて、大きくなれなかったチノが必死で生きようとしています!
「守ってあげたい・・・そう思うわよね」
テレサが言いました。
「こんな子、よそには任せられない」
かみさんが言います。
チノを見たら誰もがそう思うでしょう。
「治田チノちゃんになるんだって?」
テレサがチノに聞いてます。
チノを見たら・・・
え?だれがそんなことを・・・?
かみさんが言ったのでしょうか。
彼女は知らん顔しています。
・・・
ま、私も知らん顔しときましょう。
治田チノ。
どうやら、我が家に7匹目が来たようです・・・
チノ、生後一ヵ月半
「三倍大きくなったよ!」・・・でも、290g。
ま、ぼちぼちね!


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