通し稽古も三回目、いよいよ今日はオケ合わせです。
楽器はバイオリンとチェロとピアノの小編成。しかし、フルオーケストラにはない素敵な編成です。
曲も佳曲ばかり、オッフェンバッハの甘いメロディーが心とろけさせます。
私のお気に入りは冒頭マックスが歌う「ウィーンで」、アニーと私たちウェイターの「オイスターワルツ」、最後に全員で歌う「ゲーム・オブ・ラブ」、それから、主人公アナトールが歌う「恋に恋して」の四つです。
どのメロディーも本当に美しく、いかにもヨーロッパという感じの、甘くロマンチックな三拍子です。
この作品はかなりの部分を芝居が占め、ここぞというタイミングで魅力のナンバーが入ります。
豪華なセットも、ど派手な衣装もないですが、大作には決してない魅力に満ちています。
初め台本だけ読んだ時にはどうなるかと思いましたが、この音楽と勝田さんのテンポある演出で、ホントにいい具合に仕上がってきています。
課題があるとしたら一つだけ、出演者がセリフを覚えるということだけでしょう(笑)。
勝田さんの演出で感心するのは、登場人物ひとりひとりの感情の襞(ひだ)を細かく分析理解し、それを役者に(ここが大事なのですが)‘具体的に’指示できるという点です。
「ここは長い間を取り、それをいかすためにここでは一切間を取らず、ここの悲しい感情を生かすためには、その前はぐっとこらえて笑顔を作れ・・・」
等などです。
また、ご自身が翻訳、訳詞されてるというのもあるでしょうが、あるとき、「ここのセリフはこんな感じで…」と、台本を見ずにベラベラ演じ始めたのにはびっくりしました。
役者がまだ覚えていないのに、演出家が台詞を諳んじているのです。
「キャバレー」のトニー・スティーブンス、「スクルージ」のチューダー・デイビスなど、外人の演出家はひとりで作品の中の(男女の区別なく)子供から老人に至るまで演じ分けました。
勝田さんもこの作品をひとりて演じられるのではないでしょうか…!
間違いなくあの方は全役のアンダースタディーなのだと思います。
ただ、まぁ、19才の少女役はちょっと・・・(笑)
さあ、あと数日で本番です。
くどいようですが、大作にはない魅力に溢れています。
制作側としてはこれを演鑑(演劇鑑賞会)で回したいようです。実現できるといいですね。
きっと日本中の劇場に、お洒落でコミカルでロマンチックなひとときをもたらすでしょう。
「応援、よろしくお願いします。ウギー!!」


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