頭はウニって言うか、かに味噌って言うか、塩からって言うか、しょっつるって言うか、ナンプラーって言うか・・・
もう、ぐっちゃぐちゃに発酵した。うまくいってもヨーグルト、へたすりゃクサヤになりかねない、ここ数日の歌稽古。
五重唱ってのは聞いたことあるが、十二重唱って・・・
知ってた?
そう、十二人が違うメロディーを一斉に歌うのよ・・・
昔、「オペラ座の怪人」に出たとき、六重唱アカぺラってのがあって、ま、早い話が、六人がどばーって舞台に出て、違うメロディーを伴奏なしで一気に歌うのだ。とにかく音取れなくって・・・(しかも、私、四季に入り立てで、たった五日の稽古で出たのだ)
矢も盾もたまらず先輩に相談した。
「何を手がかりに音取るんですか!?」
すると、あっさり答は返ってきた。
「治田さん、勢いっすよ・・・!」
だよね・・・
リクツじゃないよ・・・
筋肉で覚えるっきゃない・・・
この12分以上の大ナンバー、偉大なるソンドハイム氏は歌ばかりじゃなく、台詞にも音楽を付け、それもただのBGMじゃなく、心理描写を完璧に計算しているから、この音のここで入ると厳密に決めている。
だから、役者は自分の台詞と相手の台詞を譜面通り1拍1音の狂いもなく覚えなきゃならない。しかも「嫌がらせ」の伴奏と戦いながら。
今や脳みそはチーズを通り過ぎ、青かびゴルゴンゾーラのぬか漬けだ!
で、このナンバーの題名が“Simple”
どこがじゃーっ!!!!!
でもねぇ、この「シンプル」・・・
カーネギーホールのコンサートライブ版を聞いたら、
・・・鳥肌が立った・・・素晴らしい・・・!!!!!!
あのカーネギーが割れんばかりの拍手、大歓声。
おれもCDに向かって叫んだ。
「ブ、ブラボオー!!!!」
51年前の作品だから・・・34才でこれ書いたの・・・!?
・・・天才だよ・・・あのひと・・・!
頑張ります!!
「覚えられんと・・・」


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