何気にテレビを見ていたら、クレヨンしんちゃんがものすごい切実な声で叫んでた。
「おら、みんなのこと、忘れるまで忘れないぞ!」
・・・もう、どんだけ笑ったろう・・・
これ、名台詞だよね!
メソッド演技を確立した演出家;リー・ストラスバーグが著書「メソードへの道」でこんなエピソードを紹介している。
演技学校の先生が教室の前に椅子を二つ置き、俳優の卵二人にただ喋らせた。
他の生徒たちはそれを観ている。
ひとしきりして、二人の会話を止め、先生は言った。
「みなさん、これが芝居です」
“相手の話を聞いて返す”
そういう意味では確かに芝居だ。
ただ、その内容が「台詞」かというと、それは違う。
二人が交わした言葉はただの「会話」なのだ。
故三木のり平さんが著書「パーッといきましょう」の中でこんなことをおっしゃってる。
『「せりふ」っていうのは「競り符」じゃないかと思う。そう、競り合う。役者と役者が舞台の上で丁々発止と渡り合う「言葉」。つまり、競る符牒(ふちょう)だ・・・』
研ぎ澄まして、研ぎ澄まして無駄な言葉を一切なくし、ある言葉が後々観客の心に強く響く伏線となり、状況の説明ではなく、比喩を多用したり、遠まわしな言い方で観客に「想像する楽しみ」を与える言葉・・・
それが「台詞」なのだ。
例えばある探偵もののドラマの中でこんなやりとりがあった。
助手から調査結果の電話が入り、それに出るなり、探偵はこう言う。
探偵 「彗星が地球に急接近して、殺人犯がこの近くに潜んでいて、夕食のローストチキンを焼きすぎた?」
助手 「は!!??」
探偵 「いや、悪い知らせに備えようと思って・・・」
なんてお洒落・・・!
また、映画「ホワイトハウス・ダウン」では、こんな台詞が。
ホワイトハウスがテロリストに襲われ、ボディーガードが大統領を車に乗せて逃げようとする。
切羽詰まった状況なのに大統領は後部座席に座る。
ボディーガード 「なんで、そっちに座るの?」
大統領 「あ・・・いつもの癖で・・・」
もう、どんだけ笑ったろう・・・!!
ああ・・・
「おらもいつか、こんなお洒落な本、書きたいぞぉ・・・」


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