数年ぶりに声帯と再会した。
H耳鼻咽喉科は私らの業界では知られた名医、先生御自身、プロ並みのピアニストで、声楽にも造詣が深い。
だから、困ったときには「それなりの」処置をしてくれる。
唯一の難点が、ま、私が個人的に苦手なのだが、診察にあの喉カメラを使うってことだ。
私の場合、どうしても喉からは入れられないので、鼻から挿入するのだが、これが・・・
アメリカ軍がアルカイーダにやった拷問並みにきつい。
「話す!何でも話すからやめてくれーっ!」
って、今回も泣いて懇願してた。
画面に映る声帯はまさにエイリアンって感じだ。
ぐにゅぐにゅ動く筋肉は焼肉のギアラ(牛の第4胃袋)みたいで、なんともグロテスク。
しかし、二つの突起が目に見え、(鳥の軟骨みたいな)声帯を口に見立てると、なんだかイカにも見えてユーモラス。
グロモラスな焼肉って感じで、なんだか・・・
美味しそう。(あほか・・・)
「はい、裏声で『イー』って言って・・・次は地声で・・・」
先生の指示に従って、声帯はくっついたり離れたりする。
地声の時はピタッとくっつくが、裏声(ソトヴォーチェ)の時は薄く離れている。
4年前、この「薄く離れる」ってことができなかった・・・
あのギアラ筋を必死で鍛えて、なだめすかして、この微調整を覚えさせたのよねぇ。あのぐにゅぐにゅの中になんぼかスタップ細胞が生まれたのかもしれん。
進化したのよ、きっと、エイリアンDNAが。
そう思ったら、なんだか、イカがとっても愛おしかった。
今年はベランダの小梅ちゃんがとても元気。
実は去年、「縮葉病」にかかり(文字通り葉が縮んで芋虫みたいになる病気)、梅の実は大きくなりきれずポロポロ落ちてた。
原因が分からずじまいだったのだが、雨が続くと、いつも根元が水浸しになる。水はけが悪いのだ。鉢穴は空いてるはずなのに・・・
あ・・・
レンガを三か所に敷いて、鉢を浮かせてみた。すると・・・
じゃんじゃん水が流れ出てくるではないか。
ベランダのタイルが鉢穴を塞いでいたんだ!
今年は花もいっぱい咲いて、葉も生い茂り、実もいっぱいなっている。
余計なストレス、下手な考え、心配事は溜めちゃいけない。
どんどん流さなきゃ。
溜めていいのは・・・
進化イカだけだよ!


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