昨日、ヨガマットを敷き、毎朝恒例のトレーニングをやっておりますと、猫たち恒例早朝運動会が始まりました。
先ずはチノが、続いてミクシィが意味もなく走り回ります。
目的がなんなのかさっぱり分かりませんが、とにかく、駆け抜けます。
そして、ひときわ速く私の前を通り過ぎた一匹の猫、それは我が家のリーダー、ニコラス・ためおくんでした。
「疾風のごとく」という比喩がありますが、それはまさにためおくんのための言葉です。
疾風は私の前を三度舞うと、あっという間にがぶり寄りでキャットタワーのてっぺんまでよじ登りました。
私は目を見張ります。
知ってはいますが、すごい・・・彼の脚力!
十年以上一緒に暮らして、一向に衰えを見せません。
人も含めて、うちの誰よりも速く走れるのです。
改めて私は感心いたしました。
何故なら、彼は3本脚だからです。
はじめて彼に会ったのは、豪徳寺のアイリス犬猫病院でした。
ケージの中にじっとうずくまる白黒の猫。
良く見ると、右目はやぶにらみで、尻尾と右脚がありません。
「交通事故でなくしたんですよ」
先生はおっしゃいました。
「この子は無理だと思っていたのに・・・ありがとうございます」
先生はニコリと笑いました。
可愛い子猫でも里親になる人は少ないのに、まして彼には絶対的な障害がありましたから。
正直言って、私も始まりは同情からでした。
しかし、それが間違いだと気付くのに大して時間はかかりませんでした。
はじめて我が家に彼を放ったとき、彼はまるで蛇のように床を這い、テーブルの下に隠れました。
事故から半年以上、病院の狭いケージの中で暮らしていましたからね、筋肉も衰えていたのでしょう。
ダンボール箱をあてがうと、そこへ引き籠り、食事はおろか水も飲みません。
身も心も傷ついていたのです。
彼の心を開いたのは故がんじろうです。
あの大らかさであっという間にためおを包み込みました。
そして、一週間後にはダンボールから出て、一か月後にはテーブルの上に飛び乗ったのです。
その時の感動は今でも忘れません。
恥ずかしながら、涙腺は大いに緩んだものです。
あれから11年、病気一つせず、元気に走り回っています。
歴代の猫で病院にかかったことのないのは彼ぐらいのものでしょう。
そして、がんじろう亡き後は、彼がリーダーとしてみんなを引っ張っています。
我が家一の重量猫ミクシィですら、ためおには一目置いているんですよ。
ためおの筋肉は粒々です。
普通、猫って抱くと柔らかいのに、ためおは犬のように固いです。
四本分を三本でまかなうからでしょう。
彼を見ていると、勇気が出ます。
さあ、リーダーを見習って、今日もトレーニング、がんばりましょう!!
「右ほほはいつも掻いてもらってるんです!」


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