先日、大学の同窓会を赤坂の居酒屋でやりました。
同窓会と言っても、そんなに大仰なものではなく、仲の良かった四人の男子会です。
みんな立派なおじさんになっていました。
なにしろ、入学したのが・・・
「四十年前の今ごろだもんねぇ・・・!」
よよよ、よんじゅうねん・・・!!
「懲役二十五年より長いんだぜ!」
なんて、訳のわからんことを言っては昔話に花を咲かせていました。
一番うけたのは、私のホームレス話です。
7、8年前のことでしょうか。
「エリザベート」の稽古期間中、時間がまだ早かったし、お天気も良かったので四谷で降りて上智大学の土手で昼食にしたんです。
今にして思えば、確かに靴は汚かった・・・
でも、アシックスのベンチコートを着て、それなりに普通の格好だったと思います。
ベンチに座りスポーツ新聞を読みながらおにぎりをかじっておりますと、一人の若い男がつかつかとやってきてこう言いました。
「失礼ですが、路上生活者の方でしょうか?」
「・・・」
「よろしかったら、毛布や食べ物を用意してありますので・・・」
男は上智大学のイグナチオ教会を指しました。
きっとボランティアの神学生なのでしょう。
私は一瞬言葉に詰まりましたが・・・
「し、しっけいな!わしゃ、ここの卒業生じゃ!」
と、怒りの反論。
男はほうほうのていで立ち去りました。
この話を稽古場ですると、みんな腹を抱えて笑ったのです。
数日後、私は靴を買い換えました。
おじさん三人も大笑い。
ひとの不幸は楽しいもんです。
でも、楽しめないこともあります。
私は思い切って、Sくんに聞きました。
「大丈夫だった、実家は?」
彼は宮城県石巻の出身です。
3.11では大きな被害を受けたところです。
何度か彼の家へ遊びに行ったことがあったもので、とても心配していました。
「ああ、うちのすぐそばまで水は来たんだけど、なんとか無事だったよ」
家族や親戚も大丈夫だったそうです。
良かった・・・
こんなこと言っては被災された方に申し訳ないですが、私は安堵の気持ちでいっぱいでした。
「こうやってさ、みんなと集まって、酒飲んで、バカ話して、屋根のある家に住めて・・・生きているって、本当にすごいよね・・・!」
私は言いました。
みんなも大きくうなづきました。
チノの抜歯手術が終わりました。
結構ひどい状態だったらしく、ズルズルなんと10本も抜けたのです。
相当痛かったんだと思います。
こんな状態で、よくご飯を食べてくれてたものです。
チノの名前は「乳飲み子」のチノです。
海老名の駅前原っぱに、まだ目も開いてないときに捨てられていました。
多分、母猫の栄養状態も良くなかったんじゃないかな。
テレサの姫ちゃんが代わりに母乳を上げてくれたんですけど、その時もお乳をうまく飲めなくて、本当に小っちゃかった・・・
でも、チノは頑張り屋です。
手術が終わったばかりで、きついだろうに、まぐろをちょっと食べてくれました。
あんな小さな体で、一生懸命生きようとしています。
ちゃんと薬も飲んでくれました。
すごいよね、生きてるって!!
「がんばるっちーの!」
四年前のチノ。
今は3キロもあるんですよ。
おれもチノに負けないよう、生き抜いて、頑張ります!!

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