仔猫がぴょんとレンジに飛び乗り、おヒゲがチリチリ焼け焦げた。
くるりんと縮んだその瞬間、「おヒゲのカール君!」
あっという間の命名だ。
死産の兄弟猫を尻目にお乳を独り占め。
スクスク育ち巨大重量猫となる。
カール君はハルタ家最初の猫フリオとアミの子だ。
我が家のふうちゃん、その大・大叔父(そんな呼び名ある?)にあたる。
母・アミの血をひいたやぶにらみの目と、美しいブルーのポイント・ヒマラヤン。
おばちゃんが住む青森の地へもらわれていき、そこで更にすくすく育つ。
近所の子供達に「おばちゃんちに、『猫みてえな犬』いるよ」と評判を取る。
田舎では長毛種は珍しく、ましてノシノシと散歩する姿を見て猫と思う人が
いなくても当然かも・・・
降り積もった雪をザクザクとかき分け庭に出る。梅の木から屋根に登るのは
得意技だ。カール君が屋根を歩くと、またもやノシノシその足音で家族の
誰もが天井を上目使い。
カール君永眠の知らせが来る。
「かわはぎ1枚、ささみ1本ぺろりと食べたのさ・・・」
おばちゃんが言うには、それが「巨大重量猫」最後の晩餐。
そのあとは3日間水を舐めるだけ、そして、
大きなくしゃみをしたあと逝ったそうだ。
「りっぱな最期だったよ」とおばちゃんは言った。
大猫カール君、20才、大往生。
今頃天国で両親と再会してるかな。

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