音楽活劇「アンタッチャブル」、盛況のうちに昨日東京公演を終えることができました。
遠いところからわざわざお越しくださった皆様、本当にありがとうございました。舞台の成果としても、かなり良いものだったのではないでしょうか。ラブ・コメディと冠するだけあって、客席からは終始笑いが絶えませんでした。
私個人としても学ぶところの多い舞台になったと思います。
これまでミュージカルの多かった私としてはソロ歌を貰ったことはあっても、ここまで沢山の台詞を頂いたことはなかったように思います。
正直言って、初めてこのお話を頂いたとき、自分に果たして務まるかどうかとても不安でした。
何故なら、ここ数年、芝居に関してはかなり自信を失っていたからです。いつごろからでしょう、心が吹っ切れなくなったのは・・・
稽古場へ行くのがいやで、わざわざ各駅停車で(結局は着くのに)時間をかけて行ったり、悶々とした日々が続いておりました。
かつて自由奔放に演技し、客席を何度も沸かしたこともあったのに、ここ数年、本番で心を開放できたり、ましてや笑いを取るなど、とんとありませんでした。
自分は面白みのない役者だ、だからせめて普通の芝居が出来るようにと言葉を大切にし、芝居が並なら、せめて歌は上を目指そうと、レッスンに励んだのです。
でも、人生って面白いですねぇ・・・何がどこでどう転ぶか分からない・・・
「ベストキッド」って言う映画で、空手を学ぶ少年が師匠から塀のペンキ塗りを命じられましたよね。あの塗り方が巡り巡って空手の型に通じたように、私が一昨年、船橋研二先生に教え込まれた「治田、息を前に出せ!」って言う発声が今回、ジミーの台詞にものすごく貢献しているんです。
解剖学的にいうと私は生まれつき言葉を呑む声帯をしています。
弟も私もボソボソ喋りで、普段はとても聞き取りにくい声です。それを研ちゃん先生が強制的に響きを最前線へ送り込んだのです。
アメリカ海軍のヘリがパキスタンに急降下したような、それは手荒い攻撃発声でした。しかし、これがどうやら功を奏したようです。
それまで喉が詰まってジハード(自爆)していたのが、ウソのようなピンポイントで前へ出るから、まるでジャスミン革命のような無血の心の高まりが湧き出るではありませんか!
(なんやそれ!?)
早い話、喉が詰まれへんから、力まんでもさらーっとテンション上がるいうことですわ。(そう言えや!)
これは大きかったですね・・・
芝居の極意は1にも2にもリラックスです。
力む役者には必ず観客は目を背けます。
ジハード芝居がようやく、ほんのちょっとジャスミン芝居になれた気がします。
「アンタッチャブル」、残すところ名古屋、大阪、再び東京と、後九回・・・昨日の千秋楽で台本に二つノートしました。次の名古屋で試してみるつもりです。
うんと、うんと力を抜いて、ますますジミーをジャスミン化していくつもりです。
奇しくも「アンタッチャブル」、キーワードは「新生」です。
生まれ変わろうしているカポネのように、「ビフォーアフター」しようとしているジミー、ぜひ、観にきてくださいませ!
http://unt.2ten1.co.jp/


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