先週から千秋楽に至るまで水曜日は毎回休演日です。
本当はクリスマスローズの植え替えを計画していたのですが、とてもそんな元気はありません。
昨日は一日何もせず、ただ本だけ読んで、じっくり休みました。
またもやダン・ブラウンの「天使と悪魔」です。
「ダヴィンチ・コード」、「ロスト・シンボル」と同じく(映画ではトム・ハンクスが演った)ラングドン教授シリーズの第一作です。
相変わらず専門用語が飛び交いますが、文章的には他の二作よりは平易です。
この三作、主人公は一応ラングドン教授なのでしょうが、私の印象ではどうも悪役に魅力を感じてしまいます。
「ダヴィンチ・・・」の色素欠乏症男シラス、「ロスト・・・」では全身刺青男マラーク、いずれも変質的な宗教観を持っており、残虐な手段で人を殺し、自らの肉体を痛めつけては神に近づこうとします。
ブラウンの秀逸なところは、この悪の主人公をただの変質者としてだけ扱うのではなく、その生い立ち、そこで得た価値観、やがて生まれてくる「動機」をしっかり描いていることです。
だから、その常軌を逸した残虐な行為に説得力を持たせるのです。
今読んでいる「天使と悪魔」にも同様の男が出てきますが、彼の動機は一体何なのでしょうか。
分厚い全三巻が少しも苦にならず、先が楽しみでなりません。
さて、芝居の役作りにもこの「動機」は外せません。
何故、この台詞を吐くのか?
例えば「はい」という返事一つをとっても、そのアプローチは無限にあります。
素直な返事なのか、いやいやながらか、思わず言ったのか、思わせぶりでわざと言ったのか・・・
この「サブテキスト」作りはとても楽しい作業です。
ただ、まあ、あまり考えすぎて、「意図」だけが見えたらウソになってしまいますがね。
この動機には事前に考えてきたものと、もう一つ、現場から生まれるものがあります。
「エリザベート」でグリュンネ伯爵が思わず「♪彼女(エリザベート)はきれい・・・」と言い、それに対して姑のゾフィーが「きれいな女なら他にもいます」と反論し、伯爵は我に返って「ははっ!」と返事をします。
この「ははっ!」なのですが、ダブルキャストの杜さんと寿さんとでは違ってきます。
杜さんの場合は理論で反論するので、私も理論で屈しますが、寿さんの場合は動物的に屈します。
何故なら、寿さんの場合は恫喝が加わるからです。
決して声を荒げず、氷のような目を一度も私から外すことなく、低く、冷たく言い放つものですから、私は蛇に睨まれた蛙と化してしまいます。それは・・・
恐いですよ・・・!
実はここ、私の一番好きなシーンなのでした。
さて、突然ですが、昨夜のメニューはモツ鍋でした。
動機は医食同源、胃腸の弱い私は腸を食べる・・・ではなく、ただのホルモン好きだからです。
一回公演のとき、劇場からの帰り、私は登戸の肉屋でいつも新鮮なモツを仕入れ、煮たり、焼いたり、炒めたりして食べています。
このメニューの肝心なのは下ごしらえです。
なにしろ・・・臭いですから・・・(笑)
モツは良く洗ったら、沸騰したお湯で少し茹で、水で冷ましてからおろしショーガと日本酒に漬けて臭みを取ります。
昨日の鍋は休日でしたから、ちょっと懲りました。
鶏がらでスープを取り、別鍋で鰹節と昆布で和風出汁を作り、最後に合わせると言う「必殺ダブルスープ」で挑んだのです。
あっさり醤油、みりんで味を調え、ニンニクをひとかけら、ニラ、キャベツ、豆腐、下ごしらえしたモツを入れ、善光寺の七味唐辛子をふりかけます。
一口含めば、おお・・・なんという美味さ!
鳥、鰹、モツのトリプルスープ、大成功です。
で、仕上げは・・・
普通、ちゃんぽん麺か雑炊ですが、我が家は違います。
あらかじめバターで30分ほど炒め狐色になった玉ねぎ、同じく炒めた荒引き挽肉を加え、カレーを作るのです。
カレーって醤油、鰹だしと相性がいいの知ってました?
これにモツスープが加われば無敵の美味さ、大満足でした!
凝った料理作りの動機?
休日は「ウイ・アルコールデイ」!
飲みながら作るからですよ!!
豆腐が残っていてもお構いなし。マーボカレー豆腐です。


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