昨日、2009年最後の歌レッスンを終えてきました。
6月11日に始めてから六回目、とても良い締めくくりになれたと思います。
来年、レビューで歌う「ミュージック・ザ・ザ・ナイト」、果たして先生はどう料理してくれるのでしょうか?
この2週間あまり、歌詞を覚えるのはもちろん、とにかく正しい発声、正しい音程を念頭に準備してきました。
この歌の“コンセプト”がどういうものかは知っていましたが、あえてそれは封印し、先ずはゼロから、「譜面通り」から出発したかったのです。
先ず、先生はテクニック面から指摘を初めました。
♪「静かに広がる闇・・・」
冒頭の静かな部分には息をいっぱい混ぜ、
♪「心のおもむくまま!」
最も張る部分はジラーレではなく、アペルト;ストレートに前へ出せと言います。
そして、この「技術点」分野が終わると、いよいよ先生は「芸術点」;ドラマの要求を始めました。
それも、かなりハイテンションなドラマです。
「同じメロディーの繰り返しだから、静と動を作って!」
譜面どおり素直に歌うのではなく、「行きたいけど行けない」、そんな‘揺れ’を作れと言うのです。
この歌、怪人とクリスティーヌの愛の歌です。
しかし、ただの愛ではありません。
「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」;「夜の調べ」…
美しいメロディーと歌詞のオブラートにくるまれてはいますが、実はかなりエロティックな内容、怪人の「欲望」が見え隠れする歌なのです。
えぐくやれば下品だし、上品にやれば淡白すぎます。
その兼ね合いがとても難しいのです。
変な言い方をすれば、「どろどろした上品さ」、そんな感じでしょうか。
この作品の演出家ハロルド・プリンスは怪人をやる役者に、ある映画の話をしました。
「ジョニーは戦場へ行った」
第一次世界大戦で両手足、目、耳、口を失った兵士の話です。
ジョニーはある看護婦と交流を持っていきます・・・
「ジョニーが女を抱きたいと思う気持ち」
それで歌えと、プリンスは要求したのです。
醜く焼けただれた顔、それを仮面で隠し、絶世の美女、クリスティーヌを抱こうとする。
その時、怪人はどんな気持ちなのか・・・
「静で歌おうが、動で歌おうが気持ちはいつもフォルテで!」
これが昨日出された先生からの要求です。
モノクロの譜面が瞬く間に極彩色に塗られていきます。
しかし、どぎつい原色の油絵をあたかも美しい水彩画に見せなくてはなりません。
何度も歌っていくうち、少しずつ、「歌う」ことから「演じる」方に変わっていきました。
レッスン終盤、たまたま、次の生徒が早めにやってきました。
高校生と付き添いのお母さんです。
二人は椅子に座りました。
「じゃあ、最後に歌って終わろうか」
先生が言います。
オケピのピアノが演奏を始めます。
私は二人の観客を前に演じ始めました。
「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」
どうやら、レッスンの最初と最後では全くの別物になれたようです・・・
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