2018/11/4

King Leopold's Ghost by Adam Hochschild  Books

ベルギーのレオポルド2世は19世紀末にコンゴを勝手に私領と定め、現地住民を奴隷化して象牙やゴムの採集を強制するとともに、公安軍(Force Publique)による数々の残虐行為を許してきた。最終的にはその目に余る行動を他国の人道主義者たちに非難され、レオポルドは私領としてきたコンゴ自由国をベルギー政府に譲る(売る)ことになるのだが、彼の統治下でコンゴの人口は半減したという。

ヨーロッパの小国ベルギーの王となったレオポルドは、イギリスやフランスといった大国のように自分も植民地を持ちたいと考える。しかし、アフリカの沿岸部はすでに他国の植民地になっていた。そこでレオポルドは、まだヨーロッパ人には知られていなかったコンゴ川沿岸の内陸部に目をつける。当時アフリカ内地を踏破していた有名な探検家、ヘンリー・モートン・スタンレーはレオポルドの要請を受けて再び奥地に入り、部族の首領たちと友好関係を築くが、レオポルドの統治下で現地住民は武力により奴隷化され、象牙とゴムの採集に強制的に駆り出された。男たちを働かせるために妻と子供たちは人質にとられ、ノルマ分の象牙やゴムを採集できなかった者たちは日常的にむち打ちや虐待を受け、殺されることもあったという。また徴兵された現地人には弾丸が支給されたが、その使途を明確にするために、殺害した現地人の手を切断して提示することが義務付けられていた。そのため、生きた人間の手だけを切断するという残虐行為が行われることもあった。ゴム栽培用の土地として農地を奪われた人々は食糧不足で飢餓状態に陥り、ヨーロッパ人が持ち込んだ未知の病気で命を落とすものも多く、意味のない非情な虐殺を加えると、レオポルドの統治下で死亡したコンゴ人の数は数百万人にのぼると言われている。

こうした悪行がアメリカやイギリスの人道主義者たちにより世界的に暴露されたことから、レオポルドはコンゴを手放さずにはいられなくなり、最終的にベルギー政府に領地を譲り、ベルギー領コンゴが生まれた。

ベルギーによるコンゴ統治は1960年にコンゴが独立するまで続くが、コンゴの独立運動を主導して民主化政府を発足させたルムンバ首相はベルギーとアメリカCIAの共謀により暗殺され、アメリカの後ろ盾を得たモブツ・セセ・ココが独裁政権を握る。著者はモブツとレオポルドの類似点を上げ、あれほど独立を望んでいた国家がレオポルド統治時代に逆戻りしたと述べ、ルムンバが暗殺されなかったら、コンゴは今どうなっていただろうかと問題を提起する。

この本を読んで、ジョセフ・コンラッドの「闇の奥」の背景がレオポルドのコンゴだったことを知った。「闇の奥」を初めて読んだ時に内容がよくわからなかったのは背景を知らなかったからなのかもしれない。そして、バーバラ・キングソルバーの「Poisonwood Bible」が1960年代のコンゴを舞台にしていたことを思い出し、前述のクーデターがこの小説の背景にあったことを知った。どちらも読み返してみる必要がありそうだ。


King Leopold's Ghost
Adam Hochschild

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2018/10/28

パイナップルの悲劇  Daily Life

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今年の母の日に息子と息子の彼女のSちゃんが鉢植えのパイナップルを贈ってくれました。

最初はパイナップルもまだ青くて、果実の上に数センチ程度の葉が幾つか出ている程度だったのに、窓辺に置いてきちんと水やりをしていたら、果実は大きくならないものの、葉がぐんぐん伸びてきました。そのうちパイナップルが黄色くなり始めて、「これはどうなるんだろう?上の葉っぱの上にまた茎が出てきて、新しいパイナップルが実ったりするのかなぁ」などと話していたのでした。

そんなことをしているうちに日本に行く日が来て、他の観葉植物と一緒にパイナップルも息子とSちゃんに面倒を見てもらうことになりました。

先日、息子とビデオ通話をしていた時に、Sちゃんが「Jさん、大変なことが起きちゃったんです」と言いました。私は家の中の何かが壊れたのかと思って、だから息子に家を任せるのは不安だったのよ…と心の中で思ったのですが、Sちゃんは「パイナップルが…折れちゃいました」と。なーんだ。ほっ。

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どうやらパイナップルが茎の上からぽろっと落ちてしまったらしく、Sちゃんは「Jさんが大事にしていたパイナップルが…」と慌てたようです。それで、パイナップルはどうしたの?と訊くと、「捨てちゃいました!」と。あはは。

横から息子が「すっごくいい匂いがしたんだよなぁ。でもムッシーだったから」と言います。

え?虫がいたの?と訊き返すと、「ちがう、Mushy」と。ああ、ブヨブヨしていたということ?紛らわしいなぁ。

でも、いい匂いがしたのなら、きっと完熟していたということで、腐っていたらそういう匂いがしたはずです。私だったら絶対に食べてみます(^^;)

ところで、上の写真に写っている大きな葉っぱのモンステラは、去年、娘のところから下葉2枚だけの状態でもらってきたものです。しばらく水に浸けておいたらたくさん根が出て来たので鉢に植えると、新しい葉っぱが次々と出てきてこんなに立派な観葉植物になりました。
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2018/10/20

家なき子  Daily Life

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長旅の果て、先週の木曜日に日本にやってきました。

出発地からの便が遅れて次の乗継便に間に合わないことが空港に着いた時点で判明し、航空会社の係の人が別の便を手配してくれたのだけれど、最短でも予定到着日に着く便はなく、最短の便は乗り継ぎが2度もあるというので、それならばその日は娘の家の近くの空港まで飛んで、翌日の直行便で日本に行くのがよいのでは…ということになりました。娘の家はヒジョーに便利な場所にあり、空港から市バスで10分足らずのうえ、バス料金はたったの$1.60(150円くらい)で、バスは娘の家(アパートメント)の前で停まります。

いつも思うのだけれど、日本への距離感というのは、実際の距離ではなく、空港までの距離に左右される気がします。娘の家の近くの空港は日本への直行便が出ているから、それに乗れば日本に着いちゃうんだなぁ…という気がしますが、その昔住んでいたコネチカット州の町は最寄りの空港(それも国内便しか飛ばない空港)まで車で2時間もかかる場所にあり、「日本は遠いなぁ」といつも思っていました。今まで住んでいた(今も住んでいる)場所は、最寄りの空港(国際空港ではないけれど)まで車で20分程度で行けるので、とにかくそこから飛行機に乗れば乗り継ぎを含めても十数時間後には日本に着きます。実際の距離は長いけれど、気分的にはそう遠くは感じません。

余談ですが、ちょっと前にアメリカで日本行き往復航空券の大安売りがあり、来年の夏の往復航空券を購入しました。今回のフライトは夫の職場から提供された片道航空券だったので、私はまだアメリカに戻る航空券を持っていないのに、来年のアメリカ→日本の往復航空券を買ってしまいました。迷っていたらすぐに無くなることは分かっていたし(過去に経験済み)、夏の航空券をこの値段で買えるのは奇跡に近かったから…。よいお買い物ができました。

さて、日本には着きましたが、なんだか日本にいる気がしません。

まだ住む家もないためホテル暮らしをしていますが、ひどい僻地にあるホテルで、周りに飲食店がほとんどなく、繁華街までは30分かけて歩くか、1時間に2本しかないバス、またはタクシーで出かけるしかありません。最終バスは午後7時。一応簡易キッチン付きのホテルなので、食料品を買い込んでホテルで自炊状態です。早く家をみつけてこのホテルを脱出したいところですが、不動産屋さんがなかなか動いてくれない!果たしてこれからどうなるのでしょうか。

秋晴れの清々しい日曜日。散歩がてら繁華街に出かけて、美味しいものをいただくことにします。この1週間、まだ白米を一度も食べていません。


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2018/9/21

今更ですが…  Tennis

US オープンの続きは一体どうなってしまったのでしょうか…(^^;)

あの日は午後から歯医者さんの予約が入っていて、途中まで書いたものを慌てて投稿して出かけたのでした。ところがその後、立て続けに仕事が入ってしまってなかなかブログを書く機会がなく、そうこうしているうちにUSオープンは波乱な終わりを迎え、ブログはそのままになってしまいました。

いやぁ、今更ですが、大坂なおみ選手が優勝しましたねぇ。感動的でした。4回戦ぐらいから彼女の試合はずっとテレビで観ていましたが、全戦で素晴らしい試合をしていました。準決勝でマディソン・キーズに勝った時点で優勝できるんじゃないかという気がしていました。というのも、セリーナ・ウィリアムスは準決勝でかなり疲れを見せていて、普段は滅多にしないネットプレーで手っ取り早く得点を稼ごうとしていたから。案の上、決勝戦は大坂なおみ選手に左右に振られてまったく走れない感じでした。この試合はセリーナと審判のイザコザがなかったとしても、大坂選手の圧倒的な勝利だったと思います。しかし、大坂なおみさん、インタビューではあんなに無邪気なのに、試合中のあの落ち着きぶりは20歳とは思えませんね。グランドスラムの決勝戦でも物怖じせずにあんなに堂々と戦えるなんて。これからの活躍が楽しみです。

今回のUSオープンはセリーナ事件のせいで他のいろいろなコトが霞んでしまった気がします。男子優勝のジョコビッチも今年は不調から復活してウィンブルドンに次ぐ2度目のグランドスラムタイトルだったのに、なんだか影が薄くなっちゃったし、ナダルの準決勝での棄権だって大ごとですよ。

でも、個人的には準々決勝のナダルvsティエムが今大会最高の試合でした。前回のブログ投稿日の夜にあった試合ですが、4時間49分の死闘の末、大接戦でナダルが準決勝に進みました。しかし、ティエム君(英語ではティームと発音していますが、日本語表記はティエムが主流のようです)、最初から「絶対に勝つ!」という意気込みがすごかった。まるで虎にかみつく猫のようでした。1セット目はナダルに1ゲームも取らせずに6-0。見事なショットの連続で、見ていて思わずため息が出ました。でも、ここで虎が黙っているはずはなく、最後までどちらが勝ってもおかしくないハラハラな試合でした。こんな試合をしたら、負けたほうはさぞかし悔しいでしょうが、二人は試合後にソーシャルメディアでお互いを称え合っていました。これは代々語られる試合になるはずです。

今回の大会は若手選手数人がナダルに果敢に挑んで、4時間越えの試合が何度もあったことから、ナダルは準決勝のデルポトロ戦で膝を故障して棄権せざるを得なくなりましたが、ここまで来て棄権というのも悔しいでしょうね。それならティエム君を進ませてあげたかったなぁ…と思ったりもしますが、彼はいずれグランドスラムで優勝するでしょう。

とまぁ、今年のUSオープンも幕を閉じました。(ずいぶん前に終わってますが ^^;)




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2018/9/5

US Open 2018  Tennis

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先週、ニューヨークで開催されているUSオープンに行ってきました。

今年は嬉しいサプライズがあって、2日連続で出かけました。
私が持っていたのは2回戦初日の水曜日のチケットでしたが、その日の試合予定だったドロー(対戦表)の上半分にはフェデラーも錦織くんもいなくてがっかりでした。

火曜日に娘がチャイナタウンに点心を食べに行くと言うので支度をしていたら、「今夜、フェデラーを観に行くよ」と言います。え?

本当はサプライズでフェデラーの試合に私を連れて行きたかったらしいのだけれど、バッグを持ってチャイナタウンに行こうとしている私を見て、「バッグを持って行っちゃダメ」と言ったら私が勘付いてしまうと思ってサプライズはなしにしたのだそうです。以前も書きましたが、USオープンのゲートには「バッグあり」と「バッグなし」の列があって、待ち時間が極端に違うのです。

チャイナタウンで遅めの昼食をとってから、しばらく街中をふらふらして、午後6時入場のアーサー・アッシュ・スタジアムのイブニング・セッションに向かいました。

試合開始は7時からで少し時間があったので、5番コートで試合をしていたモンフィス選手を観に行きました。こんなトップ選手の一人が数メートルしか離れていない場所でプレーしているなんて…。モンフィスは私が見たかった選手の一人だったので、ラッキーでした。

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そして、アーサー・アッシュ・スタジアム初体験。大きい!

コート右側の赤い蟻んこのような人がフェデラーです。(^^;)
肉眼だともう少し大きく見えたような気がしますが…。
しかし、まだ1回戦なのに、満場のお客さん。フェデラーの集客力は計り知れません。

1回戦でフェデラーと対戦したのは、日本の若手、西岡選手です。残念ながらストレート負けを喫してしまいましたが、アーサー・アッシュの大舞台で、それもほぼ90%以上の観客はフェデラーを応援している中で、マエストロ・フェデラーを相手に圧倒されずに堂々と戦っている姿は立派でした。スコアだけ見ればストレート負けですが、フェデラーのマッチポイントを3回ぐらいかわして、素晴らしいコーナーショット(ダウンザラインだったかも)を決めた時には観客も大喝采でした。西岡選手にとってもこの試合は素晴らしい経験になったことでしょう。

ちょうど同じ時間帯に錦織君の試合があったのだけれど、そちらは錦織君のストレート勝ちであっという間に終わってしまったようです。

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フェデラー戦のあとは、ニック・キリオスの試合の最後を少し見て、さぁ、帰ろうか…と言っていたら、次の試合のアナウンスがあって、マリア・シャラポアの名前が聞こえました。「シャラポワだって。Stay or go?」と子供たちに訊いたら、娘のボーイフレンドのH君が「Stay!」とすかさず答えたので、少し前の方に移動してしっかり見ました。長身で、四肢が長くて、サーブのフォームもきれいでした。「ア〜」という掛け声も生で聞けたし…。

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翌日は、私のお目当ての選手の前の試合がビクトリア・アザレンカでした。存在感がありますね〜。

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そして、私のお目当てはドミニク・ティエムくん。彼はイケメン君だし、片手バックハンドがフェデラーのようでかっこいいのです。試合の途中で対戦相手の選手が転んでケガをしてしまったら、駆け寄って声をかけていました。相手選手のメディカルタイムアウト中も、ネットから心配そうに様子を見ていて、いい人オーラを発散しまくり。彼は今夜の準々決勝でナダルと対戦しますが、私はひそかにティエム対錦織の決勝戦を夢見ているのでした。

(続く)

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