2010/11/23
阿須々岐神社の御年貢(みねぐ)奉納言葉より 綾部の文化財
先般の綾部市総合文化祭に初めて参加して行った「綾部の文化財ミニ・シアター」の第5番目のビデオ「阿須々岐神社の芸能祭礼・御年貢(みねぐ)」の内容について知るために、ビデオ提供元の梅垣正一幹事のお宅に、お怪我のお見舞い方々、先日の文化財研修旅行で昼食を食べた「総本山智積院・一休庵売店」で買った手土産と「当日の報告ブログのコピー」を持って訪問した。
梅垣正一氏は阿須々岐神社(志賀郷地区金河内町)の直ぐ近くにお住まいで、少し怪我をされ、このご提供いただいたビデオの解説に来ていただけなかったが、お元気になっておられる様子で何よりであった。
お借りした「古典儀式祭礼 御年貢奉納言葉 阿須々岐神社」(加柴嘉雄氏編、B5版10ページコピー資料)から、その、さわりの一部を提供ビデオの画面記録とともに下記に記録する。なお筋書き的な文書はないとのことであった。
少子化により、京都府指定無形文化財:阿須々岐神社の芸能祭礼は、金河内町が当番をされる4年毎にしか行われず、しかも前回取材したときは、御年貢は行われず、子供の太刀振りだけであった。
それでこの子供狂言:御年貢の取材を当会では未だ出来ていない状態である。
ビデオの概要:90分(仕上リハーサル、本番、最後に餅まき風景まで)
出演者:有田ひろみ(3年生)、坂根啓太、有田光文君
大弓神事(金的)のあと、府道口から参道を経て神社まで境内での練り込み行列(途中で御年貢出演3名のお目見栄)、神殿内で3名の参拝後に神殿向かいの籠り屋(演場)に移り、御年貢(みねぐ)が始まる

殿 拙者義な今日た奏者の番に当って御座る。如何様の使者等もお執次な致すで御座る。先ず此の所に控えて居ましょう。

住 私津の国住吉の百姓、毎年の御年貢として、年の松を持って都禁中様へ伺候申す。当年は兎や角と仕る間に年改まって御座れ共、持って参ろうかと存じます。

片 やっとこ取ってはうんとこせ、罷出でましたる者は私津の国片山家の百姓、毎年の御年貢として年のユズリハを持って都禁中様へ伺候申す。当年は兎や角と仕る間に年改まって御座れ共、持って参ろうかと存じます。
ハレヤレ好き連が名ァア。此の先へは誰人やら見える呼バはって連れに致そう ホオイ ホオイ

住 してこっちの事か。
片 成程御自分の事 御自分何処人で御座る。
中略
片 して何処へお出でなさる。
片 私も都禁中様へ さて好い道連れに出会いました 急ぎましょう 急ぎましょう。
住 成程 成程。

片 してこなたの持たっしゃったは何で御座る。
中略
片 これか
住 如何にも
片 これ ゆずりは
住 ゆずりは どこへ
片 これも都禁中様へ
住 さて好い道連れに出会いました 急ぎましょう 急ぎましょう
片 成程 成程 してこなたは奏者を持たっしゃったか。 後略

住 成程 成程やあ急ぐに程なく禁中様の館に着きまして御座る 片山家殿ものも乞はっしゃれ。
片 いいや住吉乞はっしゃれ。
住 然らば乞いましょうか のもう のもう。
殿 ものも たそう。

住 私津の国住吉の百姓 毎年の御年貢として年の松を持って伺候つかまつりまして御座ります 差し上げましょう。
片 中略 差し上げましょう。
殿 やい
住・片 はぁあい
殿 松ゆずりはと言う者は師走の二十七日 早八日にはお祝いこめなさるる者 何として延引仕った其の仔細を申せ。
住・片 はぁあい
住 住吉と申しますは国も大国優長な国で御座りますれば五歳になれば烏帽子を着せ七歳になれば嫁を摂り 彼方の祝儀此方の祝儀と仕る間に年改まりまして御座ります。 後略

殿 それに待たれ 其の由申そう 津の国両所の百姓 松ゆずりは斯くの如し はぁい はぁい はぁぁい
殿 申し上げて有るが 松ゆずりはは延引の処上にもいかい御腹立じゃ 然しながら国も大国優長な国じゃと申し上げてあれば、又た反って御機嫌じゃ それにつき三十一字の歌を読めとある。
住・片 はぁい

住 五月のさんのぼにゃ春の鶯は(この歌は俗に苗取歌という)
片 ほぉい ほぉい ほぉい ほぉい(これは歌のハヤシなり)
殿 やぁい
住・片 はぁい
殿 それは田植歌ではないか。
住 成程田植歌で御座ります 住吉と申しますは何ぞう目出たい事には田植歌を謡います。
中略
殿 して片山家は
片 ふうだぁらくうふや 岸打つ浪は三熊野の那智の御山に響く滝津瀬。
殿 やぁい
片 はぁい
殿 それは巡礼歌ではないか。
片 成程 巡礼歌で御座ります 片山家と申しますは 何ぞう目出たい事には巡礼歌を謡います。
殿 いいや其儀ではない ゆずりはに付て三十一字の句に詰まったる歌を詠めとある。
片 はぁい 吟じて見ましょう。
殿 住吉出来たか。
住 こうも御座りましょうか。
殿 何と
住 住吉の角に雀が巣をくうて。
殿 巣をくうて。
住 さこそ雀が住みよかるらん。
殿 住みよかるらん ほほお 出来た出来た して片山家は。
片 こうも御座りましょう。
殿 何と
片 今年より蔵大宮の譲り得て。
殿 譲り得て。
片 殿も徳わか 我も福わか。

殿 我も福わか ほほお 出来た出来た それに待たれ 其の由申そう 津の国両所の百姓 連れたる歌斯くの如し はぁい はぁい はぁい やい。
住・片 はぁい
殿 申し上げてあるが歌が出来たとあって 上にもいかいご機嫌じゃそれに付 酒三献汲んで相舞に舞うて立てとある さあさあ住吉。

これより 謡い舞い。
ざざんざぁー 浜松の音はざざんざぁー 今年より蔵大官の譲り得て 殿も徳わか 我も福わか とつ盃。

片 やれやれ やれやれ 今日の御年貢も首尾ようすんで目出度い、目出度い。
住 首尾のよい内に急ぎましょう 急ぎましょう。
片 成程 成程

平成14(2002)年の祭礼では、子供の振物はなく、大人の二人による「真剣」の披露(はらり)が行われた
梅垣正一氏は阿須々岐神社(志賀郷地区金河内町)の直ぐ近くにお住まいで、少し怪我をされ、このご提供いただいたビデオの解説に来ていただけなかったが、お元気になっておられる様子で何よりであった。
お借りした「古典儀式祭礼 御年貢奉納言葉 阿須々岐神社」(加柴嘉雄氏編、B5版10ページコピー資料)から、その、さわりの一部を提供ビデオの画面記録とともに下記に記録する。なお筋書き的な文書はないとのことであった。
少子化により、京都府指定無形文化財:阿須々岐神社の芸能祭礼は、金河内町が当番をされる4年毎にしか行われず、しかも前回取材したときは、御年貢は行われず、子供の太刀振りだけであった。
それでこの子供狂言:御年貢の取材を当会では未だ出来ていない状態である。
ビデオの概要:90分(仕上リハーサル、本番、最後に餅まき風景まで)
出演者:有田ひろみ(3年生)、坂根啓太、有田光文君
大弓神事(金的)のあと、府道口から参道を経て神社まで境内での練り込み行列(途中で御年貢出演3名のお目見栄)、神殿内で3名の参拝後に神殿向かいの籠り屋(演場)に移り、御年貢(みねぐ)が始まる

殿 拙者義な今日た奏者の番に当って御座る。如何様の使者等もお執次な致すで御座る。先ず此の所に控えて居ましょう。

住 私津の国住吉の百姓、毎年の御年貢として、年の松を持って都禁中様へ伺候申す。当年は兎や角と仕る間に年改まって御座れ共、持って参ろうかと存じます。

片 やっとこ取ってはうんとこせ、罷出でましたる者は私津の国片山家の百姓、毎年の御年貢として年のユズリハを持って都禁中様へ伺候申す。当年は兎や角と仕る間に年改まって御座れ共、持って参ろうかと存じます。
ハレヤレ好き連が名ァア。此の先へは誰人やら見える呼バはって連れに致そう ホオイ ホオイ

住 してこっちの事か。
片 成程御自分の事 御自分何処人で御座る。
中略
片 して何処へお出でなさる。
片 私も都禁中様へ さて好い道連れに出会いました 急ぎましょう 急ぎましょう。
住 成程 成程。

片 してこなたの持たっしゃったは何で御座る。
中略
片 これか
住 如何にも
片 これ ゆずりは
住 ゆずりは どこへ
片 これも都禁中様へ
住 さて好い道連れに出会いました 急ぎましょう 急ぎましょう
片 成程 成程 してこなたは奏者を持たっしゃったか。 後略

住 成程 成程やあ急ぐに程なく禁中様の館に着きまして御座る 片山家殿ものも乞はっしゃれ。
片 いいや住吉乞はっしゃれ。
住 然らば乞いましょうか のもう のもう。
殿 ものも たそう。

住 私津の国住吉の百姓 毎年の御年貢として年の松を持って伺候つかまつりまして御座ります 差し上げましょう。
片 中略 差し上げましょう。
殿 やい
住・片 はぁあい
殿 松ゆずりはと言う者は師走の二十七日 早八日にはお祝いこめなさるる者 何として延引仕った其の仔細を申せ。
住・片 はぁあい
住 住吉と申しますは国も大国優長な国で御座りますれば五歳になれば烏帽子を着せ七歳になれば嫁を摂り 彼方の祝儀此方の祝儀と仕る間に年改まりまして御座ります。 後略

殿 それに待たれ 其の由申そう 津の国両所の百姓 松ゆずりは斯くの如し はぁい はぁい はぁぁい
殿 申し上げて有るが 松ゆずりはは延引の処上にもいかい御腹立じゃ 然しながら国も大国優長な国じゃと申し上げてあれば、又た反って御機嫌じゃ それにつき三十一字の歌を読めとある。
住・片 はぁい

住 五月のさんのぼにゃ春の鶯は(この歌は俗に苗取歌という)
片 ほぉい ほぉい ほぉい ほぉい(これは歌のハヤシなり)
殿 やぁい
住・片 はぁい
殿 それは田植歌ではないか。
住 成程田植歌で御座ります 住吉と申しますは何ぞう目出たい事には田植歌を謡います。
中略
殿 して片山家は
片 ふうだぁらくうふや 岸打つ浪は三熊野の那智の御山に響く滝津瀬。
殿 やぁい
片 はぁい
殿 それは巡礼歌ではないか。
片 成程 巡礼歌で御座ります 片山家と申しますは 何ぞう目出たい事には巡礼歌を謡います。
殿 いいや其儀ではない ゆずりはに付て三十一字の句に詰まったる歌を詠めとある。
片 はぁい 吟じて見ましょう。
殿 住吉出来たか。
住 こうも御座りましょうか。
殿 何と
住 住吉の角に雀が巣をくうて。
殿 巣をくうて。
住 さこそ雀が住みよかるらん。
殿 住みよかるらん ほほお 出来た出来た して片山家は。
片 こうも御座りましょう。
殿 何と
片 今年より蔵大宮の譲り得て。
殿 譲り得て。
片 殿も徳わか 我も福わか。

殿 我も福わか ほほお 出来た出来た それに待たれ 其の由申そう 津の国両所の百姓 連れたる歌斯くの如し はぁい はぁい はぁい やい。
住・片 はぁい
殿 申し上げてあるが歌が出来たとあって 上にもいかいご機嫌じゃそれに付 酒三献汲んで相舞に舞うて立てとある さあさあ住吉。

これより 謡い舞い。
ざざんざぁー 浜松の音はざざんざぁー 今年より蔵大官の譲り得て 殿も徳わか 我も福わか とつ盃。

片 やれやれ やれやれ 今日の御年貢も首尾ようすんで目出度い、目出度い。
住 首尾のよい内に急ぎましょう 急ぎましょう。
片 成程 成程

平成14(2002)年の祭礼では、子供の振物はなく、大人の二人による「真剣」の披露(はらり)が行われた
