ちょっとお勉強したので話そう。
競走馬の購買時期を生産者の立場から考えて見た。
生まれた瞬間、または生まれる前に購買先が決まっているケースがある。いわゆる庭先取引きという奴だ。生産者にとってもっとも安心できる取引きかもしれない。金持ちの馬主が早い段階で良血馬を押さえてしまうという最もゴージャスな購買だ。
しかし生まれた瞬間、または生まれる前に購買が決まるというのはごく稀なケース。実際に購買が決まるのは当歳〜1歳の段階で牧場に訪れた、馬主、調教師、ホーストレーダー(馬の仲介人、馬商)などの直接交渉で決まるらしい。でもこの段階で購買が決まるケースも生産者としては安心だ。生産者はこの庭先取引で馬の購買先が決まることを切に願っているのだ。
庭先で購買先が決まらない馬は大抵1歳馬のセリに出される。とにかく売り先が決まらない事には安心できない。ここで購買先が決まればまだセーフ。何とか一安心だ。
私の研究によるとこの時点が天国と地獄の境目であると言えそうだ。
大変なのは1歳セリで主取りになってしまった場合だ。馬が良ければ半年先の2歳のトレーニングセールにかけるケースもあるだろう。それでも半年間、馬を育てるのにおよそ60万円かかってしまう。その半年間、馬のトレーニングを自分でやるのは大変だし、専門の業者に任せればさらに100万円の経費がかかってしまうそうだ。そこまでしてトレーニングセールにかけても、買い手がつかない場合も考えられる。最後のトレーニングセールにかけるというのは非常にリスクが高いと言えるのだ。
そこで1歳のセリで主取りになった場合、その時点で地方の馬主に転売するケースが増えているらしい。それを狙っているホーストレーダー(馬の仲介人、馬商)もいて、購買価格を相当叩いてくるらしい。主取りになった際の上場価格のおよそ半額程度で購買されるそうだ。生産者からすると希望価格の50%程度という価格は決して楽ではなく、「売れ残る事を考えればしかたない・・・」といった苦肉の取引となるのだ。
そしてそれでも売れない馬がいることを忘れてはならない。その馬の行く世はみんなの想像の通りだ。