戦いが繰り広げられていた…。
それは熱い稽古場で。
それは厚い台本の中で。
……
…………
………………
人は、思う。思考をする。
しかし世界にとってそれはなんの意味も成さない。
だから人間には喉があり、声帯がある。
だから人は思考を言葉にできる能力を持つ。
それはすなわち世界を変える力とも言い換えられるだろう。
かつてアダムが食した林檎は人に知恵を与えたと言われている。
その林檎を喉に詰めたと、喉仏はアダムの林檎と呼ばれていることを知っていただろうか?
世界を変える力をもつものをアダムの林檎と呼ぶ?
偶然?
偶然ではない。
神は恐れたのだ。
人間が手にした【知恵】とは、この世界を変える力である。
神は恐れたのだ、この力を。
世界を人は語ることができる!
あれも。それも。すべて!
そして語り尽くした人間は世界をも造り出せる。
想像と言葉で。
遥か昔のその時から、人は神に従う存在ではなくなった。
神に並ぶ創造者となったのだ。
長い時が経っただろう。
だから現代的に言葉を言い改めよう。
演劇とはその崇高な神への反乱なのである。
そう記しておく。
演じる人間が創造主ならば、脚本家、演出家、は神だ。
稽古場とは、【けいこば】ではない。
稽古場とは、【サンクチュアリ】である。
創造と創造がぶつかり合う、戦いの場であり、新世界の元となる聖域。
私は戦っている。
皆、戦っている。
吉田商店を創造する吉田裕美神。
的確なイメージ、技術方面においても鋭い覇気が飛んでくる。
正面からぶつかるのだ…。
そうだ。
まだ倒れる時ではない…。
行こう。吉田商店の新たな星。
新入星勇太くん。
力を合わせて3つの世界を造るんだ!
この世界は1つじゃない。
君は3つの世界に飛び込む勇気はあるか。

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