結婚後しばらく、上新庄付近に住んでいたころのことです
ある夜、たしか22時を越えていたでしょうか…
旦那と通った駅前の暗いシャッター通り商店街に、ぽつんと光る1軒の灯り…
小さなケーキやさんがありました
ちらりとのぞくと、背中の曲がったおじぃが一人、店の奥で静かに座っています…
ショーケースに並んでいるのは、
いちごのショートケーキ、
モンブラン、
チョコレートケーキ…
いたってスタンダードなラインナップです。
しかしこのケーキ、全部このおじぃ一人で作っているのか…
こんな時間まで店をあけていておじぃは眠くないのか…
おじぃ明日は何時に起きるつもりなのか…
いろんな意味で興味をひかれ、
ケーキを注文しました。
震える手でショーケースのケーキを手づかみで取りあげ、
ゆっくりゆっくり箱にケーキをつめてくれました

そして久しぶりの客(…かどうかは未確認ですが

)におじぃはテンションがあがったのか、
震える手で冷凍庫からアイスもなか(売り物)を取り出し、
「あんたらみたいな若い人にな、買ってもろたらうれしいからな、よかったらこれ食べてや」
とアイスもなかをつけてくれました




決して「流行っている」とは言えそうにもないおじぃのケーキやさん…
おじぃの安否が気になってはいたのですが、なかなか買いにはこれないままでした…
それから3年ほど経ったある日、
家族で上新庄付近を自転車で通った折り、
ふとおじぃケーキの話になり、
急遽遠回りでしたがおじぃケーキやさんの前を通ってみることに
おじぃの安否を確認しに行く目的で
おじぃ………
いた



やっぱり暗いシャッター通りにぽつんと1軒だけ明かりがあり、
店のショーケースの前にイスを二つ出して、
一つにおじぃ、
向かいのイスに見知らぬおばぁちゃんが座り、
二人でのんびり世間話をしている模様………
もちろん久々にケーキを買いに行きましたっ


我々が近づいていくと、我々に気づいたおばぁちゃんが立ち上がり、
「おとうさん、お客さんやで、ほんまにもぅ…」
とつぶやきながらどこかへ消え………
おじぃがゆっくりゆっくりショーケースの奥へ…
さっそく震える手でアイスもなかを一つ取り出し、
「お嬢ちゃん、あげよ」
とこすずに手渡してくれました






ケーキのラインナップもあの時と変わらず
いちごのショートケーキと
モンブランと
チョコレートケーキを一つずつ注文すると、
「チョコレートケーキ、これ日持ちするからな、もう一個つけとくわ、食べぃ」
とさらにおまけしてくれました



前よりさらに曲がったおじぃの背中の向こうに
某TV番組の「となりの人間国宝」というステッカーを見つけました



おじぃ、いつの間に


見たかったなぁ、おじぃと円さんの絡み

箱にゆっくりとぷるぷる、でもきれいにケーキをつめ、(もちろん手づかみ

)
箱のふたをぷるぷる閉め、
最後にふたをとめるシールはなぜか「おつとめ品」のおじぃケーキ…


また絶対買いに来るから、
元気で続けてほしい




上新庄ならおじぃケーキ





おじぃに勝手に親近感わいてるうえだでした




おじぃケーキをワクワクで開けるこすずさん

鼻の下の溝に生クリームをつけたまま満足げなピースサインのこすずさん


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