打合せや、ご来客、税務相談会、監査訪問などで、
確定申告業務は、まるで進みませんでした。
今週は、ほとんど駄目な予定です。
帰宅は、9時頃でしたが、夕食後は、
連載を任されている『古川商工会議所ニュース』のミニコラムの原稿を考えていました。
発行は3月10日なので、確定申告が終わっている頃です。
こんな感じで投稿しようかと思っています。先行掲載します。
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みなさんこんにちは。税理士の筒井です。
確定申告は無事終わりましたか。お疲れさまでした。
今月は、確定申告を振り返り、総合課税と分離課税の違いを解説します。
所得税には、10種類の所得区分があります。
これらの所得のうち、基本的には、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、動産の譲渡所得、一時所得、雑所得を合計して、総合所得と言います。
土地建物や株式の譲渡所得、退職所得や山林所得などは、総合所得とは別に税率をかけて税額を計算します。これを分離課税と言います。
所得税の税率は基本的には超過累進税率ですから、所得が高くなれば負担も大きくなります。
ですから、全ての所得を合計して税率を適用するよりも、いくつかの所得に分離して税率を適用した金額を合計した方が税金は安くなるのです。
また、所得の性格によって、税率を高くしたり低くしたりする調整をしやすくするためにも分離課税の方法が採られます。
短期所有の不動産の譲渡による所得は、投機的な目的を抑制するために分離課税で重課します。
山林所得は、植え付けから収穫までに長い年月がかかるので分離課税で軽課します。
汗水垂らして働いた結果の給与所得や事業所得と、ある意味では不労所得である不動産所得が、総合所得として合計されてしまう事には違和感も感じますが。
次に超過累進税率について次のような誤解をされることがあります。
例えば、総合所得が1,950,000円までは税率が5%ですが、それを超えると税率が10%になります。
この場合、超えた部分の金額だけが10%になるのであって、全ての所得について10%になる訳ではありません。
税負担は階段状に増加していくのであって、急激に税負担が増す訳ではないのです。
ですから税率の変わり目だからと言って、それほど意識して所得を抑えるような努力をする必要はないでしょう。
最後に、分離課税される退職所得を例にとって確定申告の必要性について考えてみましょう。
退職所得は、支給を受ける時に所得税と住民税が総合所得とは別途に計算されて源泉徴収されていますから、確定申告に織り込む必要はありません。
通常は確定申告で再計算をしても税額は変わらないのです。
ただし、もし、扶養控除や医療費控除などの所得控除の合計が、総合所得から引き切れずに打ち切りになっているような場合は、退職所得を確定申告で再計算することによって、打ち切りになっていた所得控除を退職所得からも控除することが出来ますから、税金は安くなります。
どちらが得かは、常に比較検討してみる必要があります。