サスペンションセッティングのすすめ
まず、最初に言いたいことは、
前回(2013/2/2)からこんなにも時間が空いてしまった理由を述べたい!!
それは…
すでに語り切ってしまっていたからなんです!!
第4回の内容で、実はほぼセッティングのすべてを語りきっているんです。
だから、つまり、
ネタ切れじゃねーか?おれ
だって、さして悩むところでもないしさー。
そもそも、足回りのほぼすべては車体姿勢と前後バランスにあるといっても
過言ではないので、エンジン特性整えて、ホイールベース縮めて、車高下げて
それに合わせりゃ十分なわけですよ。
そう、それで充分なんだ!!
で、悩んでしまったわけです。
そもそもセッティングってなんだっけ?
わからなくなって書けなくなってしまったんです。
そもそも最近サスセッティングなんてやらないし。
で、第一回に戻ってセッティングとは…
ライディングにバイクを微調整するもの
であり、
「セッティング」は「カスタム」と「調整(セッティング)」の両方を含みます。
と述べています。
第4回で述べた内容はセッティングの順番であり、
その際に影響範囲にあるセッティング項目の指針を述べています。
だから、この回では”どのように”を掘り下げることとなります。
すみません。長くなりましたが、ようやく主題にたどり着きました。
では、サスペンションセッティングに属する項目を述べていきます。
フォーク
プリロード(スプリング初期過重量)
伸減衰(低速伸減衰調整)
圧減衰(高・低速圧減衰調整)
突き出し量(車高変更)
スプリングレート
オイル油面(空気圧)
オイル粘度
圧側シム(高・低速減衰変更)
伸側シム(高・低速減衰変更)
シール変更(フリクション量)
ストローク量
リアサス
プリロード(スプリング初期過重量)
伸減衰(低速伸減衰調整)
圧減衰(高・低速圧減衰調整)
車高変更
スプリングレート
オイル粘度
圧側シム(高・低速減衰変更)
伸側シム(高・低速減衰変更)
シール変更(フリクション量)
ストローク量
前とかわっとらんので、詳細は省略させていただきます。
で、こいつらをどのように変更させるか…ですが、
例によって方向性を提示させてもらうと以下を想定するとよいと思います。
・Fスプリングは純正よりやや硬め
・Rスプリングは純正のままでよい
・FRの伸び減衰はバランスを取り、前後のスピードをある程度合わせること
また、基本的には弱めでよい
・圧減衰はジムカーナの場合かなり弱め。
ちなみに、サスペンションセッティングの90%はスプリングで決まります。
前後の減衰なんてものは胡椒です。塩です。
ないと困るけど、なくても食べられるんです。
現代は大航海時代ではないので、
黒胡椒にとんでもない価値を置く必要はないのです。
だから、わざわざ圧側ダンパーをいじりたいからって、フォーク換えちゃったり、
高・低圧調整がしたいからって、オーリンズにしちゃうのは
もったいないといえます。
(俺も昔はやってたけど、一体いくら無駄に使ったんだろう…涙)
もちろん、とことんこだわりたいというなら止めません。盆栽は大事です。
また、純正サスは精度が低いため、いじっても結果が出ない場合があるので、
そういう場合は上位のパーツに変える必要があります。
(トリプルRの純正サスはくそだ)
で、スプリングの選定方法ですが、基本的には回答なんてものは
人それぞれ違います。50KGの人と100KGの人は回答が違います。
また、50KGのバイクと200KGのバイクでも当然違います。
リンク式のRサスだったりするとさらにわかりません。
リンク比がメーカー・バイク・タイプなどによって異なるからです。
なので、前提は純正のレートとなります。
純正のレートの基準を調べるとよいです。
設定が70KGを基準としていたとして、自分の体重はいくつか?
その差分が方向性となるでしょう。
でも、ぶっちゃけ純正のレートはそんなに悪くないです。
大体、最初固めに振って、だんだん柔らかくしていくことになりますが、
多くの場合、純正+‐アルファとなります
(オフ車ベースの場合は純正が柔らかすぎるので例外ですが)。
大きく純正をはずすことはないはずです。
ただし、ここで覚えておきたいのが、
・サスペンションを動かさないとバイクは曲がらない
・しかし、動かせばよいというものではない
ということです。
適切な量をうごかし、それ以上動かさない。
また、路面状況やコースなどにより旋回の理想態勢を
つねに、瞬時に、築けるようにする必要があります。
ちなみに切り返しやすい姿勢についてはすでに述べています。
・前後が均等にストロークされ、かつ、中間域くらいまで
ストロークした状態です。
じゃあ、旋回は?
・上記状態よりさらにストロークした状態です。
ただし、フルボトムはだめです。
フルボトム=それ以上サスペンションが仕事できない
つまり、何か起きればすぐ吹っ飛びます。
一応、タイヤ自体にもダンピング性能はありますが、
サスペンションフルボトムするくらいだったら、
とっくにタイヤのほうは使い切ってます。
なので、使い切らず、少し余裕が残った状態としてください。
だから、べつにサスペンションを使い切る必要はなく、
使い切ることに着眼すると迷走します。
で、どのようにレートを決めるか…ですが、
先述のようにバイクごとにレートが違う以上、
レートの基準は出せません。
そんな時は1G'(=サグ=リバウンドストローク)で考えると良いです。
ジムカーナの場合、目安で下記くらいが標準となります。
1G' FR3.0〜4.0CM
(ストロークの大きい場合は35%程度)
ちなみに、上記状態を維持することで、”初期柔らかい”といった特性と、
ギャップ等に乗った際に”ねばる”といった特性が得られます。
””ないの表現は感性的な表現にしています。
(人によって表現方法が違うので、””内はイメージでお考えください)
ただし、上記特性だけではジムカーナとしては足りず、
奥で”ふんばる”特性が必要となります。
で、どのようにそれを図るかというと、
フルボトムするかどうかを確認することでそれがわかります。
サスペンションにタイラップやゴムなどでストロークを測定できるようにし、
一度ジャックナイフを実施したり、Fロックさせたりして
(危険なので、自己判断でやってね)
物理的フルストローク位置を一度確認します。
その後、コース走行を実施し、実際の走行時のフルストローク位置を
確認します。ただ、ゴールは気を付けてください。
あまりタイムを気にしすぎて、フルブレーキ+ジャックナイフしてしまうと、
まったく意味ないです。
よくフルボトムしてるからバネ換えるんだ!!と言ってRが動かない病にかかる人が
多いですが、大体上記を考えてないからですね。
あと、Rの場合、ハブとストロークセンサーがぶつかっているからフルボトムしてると
勘違いする方が多いですが、ストロークするとハブゴムは縮むので、
あまりそこにこだわっても仕方ないです。
ハブは気にしないほうがいいです。
Rの場合はシャフトにグリスを塗っておいて、
走行後にハブゴムを上げて確認すると良いですね。
ちなみに、走行時の最大ストローク位置をはかりたいだけなので、
てっとり早く高速コーナーを攻めるという手もあります。
まあ、やり方はいろいろありますが、俺は20メートルくらいのオフセットで試したりします。
(そして膝スリ(最近肘スリ)とフルバンク限界領域のテストに興じて吹っ飛ぶw)
ご参考まで。
で、最大ストローク位置がわかったら、それが低いか高いかを判断します。
低けりゃレートを上げ、高けりゃレートを下げます。
ちなみにここでプリをいじってもあまり効果がないです。
逆に少しだけ上げ・下げしたいならプリでも問題ないですが。
あくまでもレートに着目します。
なんでかっていうと、プリロードは動き出し位置の変更であって、
最大荷重値、および最大ストローク量は変わらないからです。
つまり、プリロードでごまかせる範囲ってやつは
最大荷重値・ストローク量に至らない範囲の動き出し位置でしかないです。
まあ、こんなこと書いてますが、ベストな測定方法は
ロガーを付けることです。確実にストローク量を測定できます。
ただし、高いのが難点です。
回転が決まった時など、その時の状態をロガーで確認できれば、
後はどのように実現するかを考えるだけなので、
セッティングの時間なんてあっという間になくせる気がしています。
高いと考えるか、安いと考えるかは人それぞれですが、
最近は安いんじゃないかと考えてきています。
また話がそれてしまった…。
で、たぶんなんですが、Fはわりとストロークを多く使えて
Rはあまりつかえていないという状況が出るのではないかと思います。
この理由は二つあると推測していて、
一つはR荷重があまりできていないという人間の技術の問題です。
もう一つは、純正セットではわざとFがベストバランスよりやや弱く作ってあると
推測されることです。
一つ目については
2つ目についてはなぜかというとSSのレースベース車と純正モデルを比べると
多くの場合Fのレートはレースベースのほうが高いからです。
Rはほぼ変わらない。
SSで上記状態なので、一般的なネイキッドモデルなどはさらにFが柔らかいように思えます。
個人的には、一般ライダー向けに設計すると
ブレーキ技術ないからFは使えない
とメーカーが考えているように邪推していますが、
たぶんそうなんじゃないかなーとは思っています。
特にホ○だ。あんまり考えていないのはカワ○キ。
なので、わりとサーキットよりだのしっかり操作しないとうまく走れない…
的な評価がカ○サキに多いですが、SBなんか見てみるとカワサ○が多い。
逆にホン○はすくないですよね。
一般の方を利用することを考え、ちゃんとカスタマイズしている…とも取れるし、
使えるわけないんだからという見下しも見える。
同時に、ちゃんと乗れるようになってほしいという祈りとも取れるし、
一般仕様なんて作るのめんどくさいシートも取れるw
真実は知らんですが、傾向はそんな感じです。
話がそれましたが、Fのレートをやや強める方向で安定することが多いです。
で、塩胡椒の量=伸圧減衰のスピードについては
文章では伝えられないので、
どの程度か知る指針として、上位ライダーのマシンを
またがらせてもらったり、手で押させてもらうと良いと思います。
その際に、@力強く一気にサスペンションを縮ませること・
Aゆっくりサスペンションを縮ませること。
その二通りの確認を実施し、伸びのスピードを見ましょう。
あくまで参考にしかなりませんが、
大体の感触はつかめると思います。
2話の内容で
基本整備をして良い状態のマシンを知ることは
セッティングという観点からもとても重要です。
なぜなら比較の対象の最初のひとつの姿がそれだからです。
セッティングにはとても大切なポイントとして
「比較対象を常に持つこと」というのがあり、
それは比較前後の自分のマシーンや走りがそれとなります。
と記載しておりますが、
とどのつまり、上位ライダーのマシンを参考にするということですね。
チャンスがあったら上位ライダーのマシンに乗れ!!
=他者・理想を明確化
というわけです。
ただ、借りて乗って壊したら…どうなるかはわかりません。
あくまでも自己判断でお願いします。
経験上、またがって、サスペンションの調子を見るくらいなら
ほとんどの方がOK出してくれるとは思います。
で、ジムカーナの場合、減衰圧の調整で高速側と低速側だと
2:8程度の割合で低速側がメインとなります。
伸びも圧も両方とも同様です。
上位ライダーになるとこの2割も着眼する必要がありますが、
B級上がるなら捨ててもらっても問題ないです。
8割にこだわりましょう。
で、これは押し方で言うと上記のAになります。
サスペンションを手で押して、減衰の調子を見るという感性を
磨きましょう。ちなみに、俺の中でこのサスペンションはすげーと
思っているのはA級ぶん田さん・吉野さん・朝野さんの三人になります。
この3人は2割も含めてパーフェクトに足回りが機能しています。
足回りセッティングといった意味では神の領域に達していると思います。
(下記はテスト後、編集予定)
我ながらおれはまだ2割の領域が極められていません。
というか、方向性は今年度の第1、2戦でデータはそろったのですが、
いかんせん、テストする時間がありません(現在インドだしー)。
帰国後、そこの改修・テストを実施します。
(ここまで)
ちなみに、減衰圧の設定といっても
調節できる範囲は限られています。
レートを純正から変えないならば、特にシムを変えなくてもよいですが、
レートを変えた場合、減衰の過多・過小が発生する可能性があります。
また、シムを変えることで調整できる範囲を変更することもできます。
残り2割の部分は特にシムに左右されると思ってください。
なぜなら、特に伸び減衰については高速側の調整ができる
サスペンションは俺の記憶では存在していない(市販されていない)からです。
どちらにしろ、レートを決め、それに適切な減衰圧を与えられるように
カスタムすること。これが・これだけがサスペンションセッティングといえます。
たったこれだけ。さして悩むところではない。
やれサスペンションが〜とか、やれ減衰圧が〜とか口にしちゃってる場合、
多くの場合それ以前の領域でミス・作業漏れが存在していると思います。
セッティングは順番を守ってね→
第4回
最後にサスペンションセッティングにおける油面について
言及して終わりにしたいと思います。
油面の高さ=空気量
ですが、ここあまりこだわっていない人が多いですが、
もう少し考えたほうがよいです。
たしかにRには関係ないセッティング項目であり、
かつ、それ以前にやるべきことが多いわけですが、
Fフォークの実行ストローク量を決めるのは油面
ということなんですよ。
Fが物理的にフルストロークした状態になることは
ほぼないと思ってください。
実際はオイルロックとなってそこからほんのちょっと入ったところで
止まります。そこはサスペンションが縮み、Fフォーク内部の空気が圧縮され、
圧縮されきったところになります。
余談ですが、空気量は熱量に応じて増減します。
何が言いたいかってーと
・しばらくは知らないと走りに慣れないんだよねー
とか
・走り出しと感触が違うんだよー
みたいな感じはみなさん感じたことあると思いますが、
その要因はの一つに
・フォーク空気圧
があるってことなんです。
自分がタイムアタックをする際に
どういった時に一番タイム出てます?
どういったときに一番鋭い旋回できてます?
フォークの温度によって…エアの膨張率によって
Fの高さが若干変わります。
ロガーを手に入れられればその辺把握できるという話は書きましたが、
不安定要因の一つになっているということです。
人間の体力もさることながら、バイクの状態に気を付けるべきです。
まして、ジムカーナの勝負は約2分間。
その2分にすべてをぶつけられる状態を作らなければいけません。
いきなりぱっと走ってタイムが出せる…つまり、
旋回時の姿勢を正しくする必要があります。
ちなみに俺の油面はかなり低めです。
具体的な数値は書きませんが、純正位置より70CC抜いています。
全オイル量が495CCの指定なので約1/7を減らしていることになります。
それだけ空気量を増やしており、ぎりぎりフルストロークで
ダンパーユニットが空気中に出ないようにしています。
オイルロックをできる限り起こさないよう、
バネレートに従って走行できるよう、
その辺を狙って油面を大幅に下げています。
サスペンションセッティングは
バネ・減衰・油面・調節器による小細工
この順番でセッティングしてあげてください。
車体同様、順番は守りましょう。
小細工で悩むことがセッティングではありません。
そこんところ間違えないように頑張りましょう。
ちっさいことなんか気にするんな!!
といわけで、次回はサスペンションを作る際に
どのようにサス屋を使うと良いのかを
紹介したいと思います。
アディオス!!
※下記読んどくと参考になります。わかりやすいです。
・ライテク実践講座・サスセッティングで走りはどう変わる?-バイクブロス
http://www.bikebros.co.jp/ridetech/index.php?e=44
・つがたくブログ
http://teamtraction.jp/?p=126

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