『メーター検針員テゲテゲ日記』  書籍関係

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三五館シンシャの「○○員○○日記」シリーズの一冊。
今度の題材は電気メーターの検針員
月に一回家を訪ねて、電気メーターの数字を確認していく人。
一件40円で一日250軒程度をこなす。
暑い日、寒い日など、
見るからに大変そうな仕事だが、
仕事そのもの以上の悲哀が沢山ある。
その悲哀を綴ったのがこの本。

著者は,外資系企業に勤めるサラリーマンだったが、
小説家になりたくて、40半ばで退職。
姉のいる鹿児島に引っ込み、
アルバイト的な仕事を経た後、
50歳の時、検針員を始めた。
10年勤めてクビになり、
介護職などをつとめて、現在70歳

新人賞などに応募し、落ち続け、
小説家の道は成し遂げられなかったが、
この一冊で「本を出す」という夢は果たせた。

検針員の一日は次のとおり。
ハンディという記録装置を持って、その日の担当地域を回る。
バイクや徒歩で。
電気メーターを探し、その指示数をハンディに入力し、
「お知らせ票」をプリントして、郵便受けに投函する。
入力したデータは夕方までに電力会社に持ち込み、
検針したデータをホストコンピューターに引き渡すと同時に、
翌日分の検針データをハンディに入れてもらう。
その後、検針会社に出向いて業務終了の報告書を提出する。

と書けば、簡単なようだが、
マンションのように廊下のメーターを読むのならいいが、
戸建ての住宅地は苦労する。
電気メーターに辿り着くには、庭を通らなければならない。
理解ある客ならいいが、一つ間違えば、クレームになる。
犬がいたり、蛇がいたり、蜂の巣があったりする。
また、メーターは検針しやすいところにあるとは限らない。
その場合、鏡や双眼鏡やライトを使う。
しかし、メーターの数字は小さい。
計器番号はもっと見づらい。
検針員のことを考えて設計したわけではないのだ。
誤検針をくり返すとクビになる。
その恐怖との闘いがある。

検針員を雇用するのは、電力会社ではない。
その下請け会社だ。
契約は一年契約。
個別事業者だから、雇用保険もないし、
事故や怪我の保証もない。

理不尽な客もいる。
「今忙しいから、後にしてくれ」と言う。
そこにメーターがあるのに。
勝手に庭に入ったと叱られる。
マンションに立ち入ったといって報告される。

クレームの電話がいくと、「指導」を受ける。
個別の事情など聞いてもらえない。
電力会社は下請けの検針会社に対して怒鳴り、
検針会社は検針員を怒鳴りつける。
下請け会社の社長は電力会社からの天下りで、
2年で交代するから、問題なく終わらせるのが職務。
検針員の待遇改善など、誰も考えてくれない。

何か問題が生ずると、全体の連帯責任にされる。
個別事業者のはずなのに。
ある時、ハンディが盗難を受けた。
途端に、ハンディの持ち帰りは禁止となり、
その日ごとにハンディをまず取りに行かなければならない。
遠方の検針員には負担となる。

そのことを訴えた時の課長との会話。

「考えてみてください。
私の自宅は伊集院町ですよ。
会社まで30キロちょっとあります。
検針地区は吉野町や郡山町があるんですよ。
その日、いったい何キロ走らないといけないと思いますか。
自宅の遠い人は免除してもらえませんか?」
鹿島課長はこう言った。
「だれも、あなたに伊集院町に住んでくださいとは頼んでいません」


こういう回答しか出来ない人を、私は軽蔑する。

家庭用メーターだけではない。
茶畑の防霜メーターや看板の照明、
自動販売機やコイン精米来器、
地震計や墓地の照明まである。
これらは、
「お知らせ票」をどこの誰に渡していいか分からない。
なのに、「お知らせ票の持ち帰りをするな」という指示が来る。
郵便受けがない、あっても名称が違う、などの問題もある。
客から「お知らせ票が届かない」というクレームが来ると、
電力会社は下請け検針会社を怒鳴る。
会社は検針員を怒鳴る。

40円でも250軒やれば1万円である。
20日やれば20万にはなる。
しかし、体がきつい。
著者は月に10日ほどの検針をし、
あとの20日を創作に向けるという生活を続けた。
姉の家に居候し、後で追い出される。

美人の奥さんや美人の娘さんがいる家の検針は
楽しみの一つとなる。
人との会話に飢えているお年寄りには、
お茶とお菓子の接待を受ける。
女性検針員の場合は、
80歳を超える老人に迫られたこともあるという。
毎月定期的に訪ねて来る若い女性に
独り住まいの男性が一方的な好意を抱いてしまうのだ。
話をしてみたい、そばによってみたい、触ってみたい、
特にお年寄りは人恋しさもあるから、エスカレートしてしまう。
その場合は、配置変え。

検針員仲間が病気になった時のお見舞金についての悲哀。

お見舞いをいくらにしようかと考えたとき、
悲しいかな検針の件数の計算をしてしまったのだった。
1万円、250件分。
僻地だとバイクで一日走り回っても稼げない。
つらいものがある、などと計算し半日分、
5000円にしたのだった。


これは、パート勤めの方も同じで、
ついつい金額を「パート何時間分」と計算してしまうのだという。

しかし、この業界にも大きな変化が訪れている。
スマートメーターだ。
電気使用量を電波で送るシステム。
これが普及すれば、検針員の仕事はなくなる。

いつのまにか公衆電話がなくなり、
いつのまにか駅の改札から駅員がいなくなったように、
いつのまにか検針員もいなくなるのである。


著者の場合は、
検針員と会社の会合などで、
いろいろ改善案などを提示して「うるさい奴がいる」と睨まれ、
契約更改時に、契約延長されなかった。
スマートメーターが普及する前の話だ。

そういう末端の仕事の話。
それでも、こう書く。

低賃金で過酷で、法律すら守ってくれない仕事が
どこにでも存在しつづけ、
そこで働く人たちも存在しつづける。
ただ、そうした仕事をしている人たちも、
自分の生活を築きながら、
社会の役に立ち、
そして生きていることを楽しみたいと思っているのである。
過酷な仕事の中にも、
ささやかな楽しみを見つけようとしているのである。
それが働くということであり、
生きるということではないだろうか。


題名の「テゲテゲ」とは、
鹿児島弁で「適当に」
「あまり一生懸命やらなくてもいいんじゃない」という意味。
このシリーズの他の本の紹介ブログは、↓をクリック。

「マンション管理員オロオロ日記」

「派遣添乗員ヘトヘト日記」

「交通誘導員ヨレヨレ日記」



小説『空白の家族』  書籍関係

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堂場瞬一による
警視庁犯罪被害者支援課シリーズの「7」。

犯罪被害者支援課とは、
文字通り、犯罪の被害者の精神的ケアをする部署。

その課員、村野は、
新任の課長のことなかれ主義と、
これも新任の若い川西の数字統計至上主義に
鬱憤が貯まっていた。

そんな時、誘拐事件が発生する。
さらわれたのは、人気子役の橘愛花。
まだ小学生だが、ドラマと映画で人気沸騰中だ。
その家族の精神的ケアのために支援課は働くことになるのだが、
村野には冷静に対処できない事情があった。
というのは、愛花の父親の仲岡が、
10年前、被害額10億に及ぶ未公開株詐欺事件の犯人の一人で、
当時、村野は仲岡と接触している。
仲岡は、進んで仲間を売り、
その結果、執行猶予判決を得たという「クズ男」だ。
執行猶予期間を過ぎ、
今は更生して、飲食店のチェーンを経営しているが、
犯罪の直後に離婚され、愛娘の愛花とは、
テレビの画面でしか会えない状態だ。

その仲岡が誘拐事件発生により、関わってこようとする。
家族は拒否するが、
5千万円の身代金を調達し、
その受け渡し役も買って出る・・・

一方、村野は、別な案件に関わっていた。
漏電による出火で、一人住まいの老女が焼死した。
しかし、夫に連絡しても「関係ない」の一言で、接触さえしない。
息子と連絡を取って、父親を説得し、
遺体を引き取らせ、葬儀を出すが、
その家族は「壊れた家族」だった。
次男が自殺したのを契機に、
母親が新興宗教に入り、
一家は断絶してしまったのだ。

愛花の家庭も、事件によって「壊れた家族」だった。

やがて、村野は、
二つの事件の共通項を見出し、
二つの線が一つに絡まってくる

面白い。
話の構成も巧み。
二つの事件の真相が見えて来るあたりはスリリング。
そして、誘拐犯逮捕の物的証拠の仕掛けがなかなかいい。

おそらく映画化されたら、
なかなかの作品になるだろう。

村野が被害者の家族から叱責されて反省を述べるセリフ。

「私は今まで、多くの被害者家族と向き合ってきました。
結果的に言えるのは、
やはり人の悲しみは理解できない、ということです。
自分が被害者にならない限り、分からないでしょう」



『反日種族主義との闘争』  書籍関係

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2019年に公刊された「反日種族主義」は、
慰安婦や徴用工や竹島、植民地の収奪と近代化を巡る
韓国で定説とされていた反日見解に
学問的見地から異議を唱える本で、
日韓でベストセラーになり、
衝撃を与えた。

当然、既存の学者たちから異論・反論・批判が殺到した。
それは罵倒に近いものだった。
本の内容は、韓国に深く根づいた「嘘」を暴くものだから、
反日教育で心の奥深くまで浸透した
捏造した歴史を明らかにされて、
うろたえているようにさえ見える。

強弁の一つを紹介しよう。
慰安婦の「強制連行」について、彼らはこう述べる。

日本軍慰安婦の“強制動員”は確かに存在した。
もちろん、軍人が前に出て人々を連れて行くような形態ではなかった。
その必要性がなかった。
日本軍は、公娼制と斡旋業(紹介業)を、
“強制動員”に利用した。
国際法で規定する“強制”とは、
「本人の意思に反すること」を指す。
日本軍は、慰安婦の募集において、
そのように制度化された“強制動員”の道を選択した。
慰安婦たちは、慰安所に監禁され、
人間として女性としての尊厳を侵害された
国家犯罪の被害者だった。


これを強弁と言わずして、何と言おう。
だったら、斡旋業をした朝鮮人たちの共犯性はどうするのか。
娘たちを売った親の責任は問わないのか。
そもそも、当時、売春は違法ではなかった。
今の物差しで過去を計るのは間違いである。

本書は、それらの雑多な批判に対して、
逆反論をするものだ。
前作同様、学問的見地から論破するもので、
「事実はどうだったか」という
著者たちの姿勢は一貫して貫かれている。

第1編 日本軍慰安婦
第2編 戦時動員(強制徴用)
第3編 独島(竹島)
第4編 土地・林野調査(収奪論)
第5編 植民地近代化


という目次にあるように、
5つのテーマを挙げ、
一つ一つを実証的に明らかにする。
歴史的資料に基づく、
実に誠実なものだ。

それに対して、批判は、
最終的に李教授らの主張が
「日本の主張を認めるものだ」に行き着く。
ここに、「反日種族主義」 の体質が露呈される。
つまり、彼らは、「反日」が前提にあり、
「事実がどうか」は問題でない
のだ。

それに対して、李教授らの論旨は、
歴史資料に基づく数字的裏付けを伴うものだ。

たとえば、日本による土地収奪説には、
日本統治下の国有地の増加の数字で、
そんなことはなかったことを裏付ける。
持主不明の土地に対しては、
縁故者を探し出して土地を与えたりしている。

また、日本統治下の国民の栄養改善を
行旅死亡人(最も下層民だから抽出)の
記録に残る体重と身長から
割り出したりしている。
また、教育が行き渡ったことにより、
熟練者が増え、朝鮮の生活が向上したことも明らかにしいる。

竹島の領有権についても
韓国の古い資料を紐解き、
干山島という架空の島の幻想と
鬱陵島の周辺の小島の竹島との混同を明らかにする。

更に、1965年の国交正常化の際、
両国の最高指導者の間で密約が結ばれていたことを明らかにする。
その密約とは、4項目からなり、
両国が主権を主張することを認め合い、
漁業水域では争わないこととし、
現在韓国が占拠している状況を維持するものの、
警備員を増強したり、新施設の建築や増築はしないことが定められている。
つまり、国交正常化の障害となる竹島問題については、
譲り合い、棚上げするものだが、
この密約は金泳三大統領によって破られ、
竹島には韓国の建造物が作られ、
軍事演習がなされている。

このように、韓国お得意の国際的な約束を破っているのだ。

1912年の日本の民法の導入によって、
「私権利」意識が進んだこと、
その民法をほとんどそのまま韓国の民法とした経過も明らかにする。

李氏は日本語版序文で
「前作で披瀝した我々の主張に深刻な誤謬を見つけることはできませんでした。
ただ、いくつかの主題に関してはより詳論する必要を感じ、
その結果、この本は前作に比べ、
竹島(韓国語で言う独島)紛争と、
いわゆる“強制動員”について、
より多くの紙面が割り当てられています」

と記しているが、
前作より内容は充実している。

徴用工訴訟判決についても、
当時の支払い調書などを精査して、
貯蓄分など、未払い給与の存在を認めるものの、
それらは給料の2月分程度だったことも論証する。
なにより、訴訟をした4人は徴用工でなく、
募集工であって、強制連行ではなく、
給料も支払われていた、
「一銭ももらっていない」という彼らの主張がであると断じている。

その嘘については、
李承晩の書いたものがあって、
その韓国人の嘘体質については、
建国の父・李承晩が1904年に執筆した文章の中で
嘆いていることが興味深い。

今日大韓と清国をここまで無茶苦茶にしている一番大きな原因は一体何かと言えば、
嘘をつくこと。
それがまず第一だと言うことができる。

上の者は下の者を騙し、
子供は親を騙すが、
他人を上手に騙す者を賢いとか聡明だとか言い、
騙せない者をできそこないだの間抜けなどと言う。

嘘で家庭を治め、
嘘で友人と付き合い、
嘘で国を治め、
嘘で世界と交渉する


なにしろ、「韓国の嘘つき文化は国際的に広く知れ渡っています…」
という書き出し(プロローグ)で前作は始まっているのだ。
徴用工裁判の原告など、
「騙して金をせしめる」ことが賢いと思っているのだろう。

彼らは、彼らの闘争を正当化するため、
「月給を貰ったことがない」
「会社に騙された」
「会社から虐待された」などといった
虚偽の記憶を創り出し、
彼ら自身を、彼らの家族を、
彼らの国家を、さらには国際社会を騙しました。


その嘘付き体質については、
「反日への最後通告」で引用されている
ヘンドリック・ハメルの「朝鮮幽囚記」に書かれている
17世紀の朝鮮そまままだ。

朝鮮人は盗みを働き、
嘘をついて人を騙す傾向があり、
信ずるに値しない人々だ。
人を欺いてもそれを恥だと思わず、
してやったりとほく笑んでいる。


徴用については、次の指摘はなるほどと思わせた。

徴用はそれ自体が強制であるにもかかわらず、
わざわざ「強制」という単語を付けています。
もし韓国で徴兵を「強制徴兵」と言えば、
人々は笑うことでしょう。
同じことです。
それでもなお敢えて「強制」という言葉を付けたがるのは、
徴用には「奴隷のように連れられて行った」という式の、
奴隷狩りのイメージを塗り付けるためです。


なお、「徴用」は戦時における国の方針であり、
当然日本人も徴用された。
違法でも何でもないのだ。

いずれにせよ、
この40年あまりの間、
韓国の反日はエスカレートした。
慰安婦に始まり、竹島の大統領上陸、
旭日旗問題、レーダー照射、徴用工問題と
官民あげて狂奔していると見える。
「日本を貶める」ことを目標にする
その精神構造は一体どこからきたのだろうか。
戦前の日本の咎をあげつらい、
70年以上も前のことを持ち出すその体質は、
ほとんどビョーキとも見える。
本書の中にも、

反日種族主義に囚われた反科学です。
我々が心を痛める病理現象でもあります。


と、「病理」という言葉が登場するが、
まさに宿痾(長い間治らない病気)と呼ぶにふさわしい。
その体質を嘆き、そこが変わらなければならない、
として李教授らのような人が
韓国内部から立ち上がったのも、
時のなせるわざであろうか。

最後に李教授が書く、印象的な文章を紹介しよう。

歴史家は裁判官ではありません。
日本軍の慰安婦募集を
一意的に略取と誘拐犯罪であると規定し、
それに対する日本の国家責任を問うのは、
その時代の社会、文科、法、制度を総体として叙述しなければならない
歴史学の職分を超えています。


何と謙虚で真摯な姿勢であろうか。

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「反日種族主義」

「反日への最後通告」


『交通誘導員ヨレヨレ日記』  書籍関係

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三五館シンシャの「〇〇員〇〇〇〇日記」のシリーズ

交通誘導員とは、道路での工事現場や
道路に隣接したビル工事などで、カラーコーンを並べ、
手に誘導灯を持って、
歩行者や自転車、更に車両を安全に誘導する役目の人のこと。
見るからに大変そうで、
「暑そうだな」「寒そうだな」
「排気ガスを浴びて大変だな」
「いろいろ、いやな思いをしてるんだろうな」
と心配してしまう。
まあ、仕事は何でも大変だが、
屋外で、しかも立ったままの仕事なので、
その大変さは際立つ。
その上、高齢者が多い
だから、一層同情してしまう。

という交通誘導員の日常を書いたのが、この本。
筆者の柏耕一さん↓は、当年73歳。

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正真正銘の高齢者である。
出版社勤務後、編集プロダクションを設立、編集やライター業で食べてきて、
今でもライターとの二足の草鞋、と主張する。

高齢者が多いわけは、
若者がやりたがらない仕事であることと、
高齢者でも採用してもらえるかららしい。
大手の会社では、
70歳以上の人は採用しない方針のところもあるらしいが、
慢性的に人材が不足していることと、
工事現場によっては、
何人の誘導員を揃えることが法律で義務付けられていることから、
採用条件は緩い。
日本語が話せて、立っていられる人なら、
何の資格もいらない。
(工事の種類によっては、1級又は2級資格の人を一人置く必要がある)
従って、社会的地位は低い、
と本人が言う。
                                        
警備会社からの派遣がほとんどで、
警備員の範疇だが、
全国で55万人強いる警備員の主流(約40%)だという。
交通誘導警備員の不足は深刻で、
そのため工事の中止や遅れさえ起きているという。

以下、この本を読んで得た知識。

警備業法というのがあって、
その第2条2号に、交通誘導警備とは
「人若しくは車両の雑踏する場所における
負傷等の事故の発生を警戒し、
防止する業務」
と定められているので、
交通誘導以外の業務を強制すると
(たとえば、道路の清掃とか、トイレ掃除とか)
警備業法違反に問われる。
もっとも、現場で警備業法を盾に拒否したりすると、
翌日、現場から外されるが。

また、交通整理をする権限はない。
道路使用許可を取った場所での
交通誘導とお願いだけ。
研修テキストには、こう書いてある。
「工事現場等における人や車両の誘導は
あくまでも相手の任意的協力に基づく『交通誘導』であり、
警察官や交通巡視員の行う『交通整理』とは
まったく異なることに注意しなければならない」


だから、ドライバーの過度な要求には応えることが出来ないのだが、
ドライバーはそれを知らない。
だから、無茶な叱責をする。

大体日当は9000円前後。
交通費は出る会社と出ない会社がある。
70歳以上は日当が1000円安くなる会社もある。
夜勤はプラス1000円、
2級資格を持つ者はプラス1000円。
ただ、人材確保の競合で、日当1万円を募集広告に出す会社もある。
                                        
日払いもあり、家がなければ寮もあるので、
ホームレスやマンガ喫茶に寝泊まりする人のことを診て、
柏さんは「これほど苦しい生き方を余儀なくされるなら、
警備の世界に活路を見出せるのではないのか」
といぶかる。

日当9千円で、25日勤務すれば、額面22万円強の収入だが、
疲れるため、シフトを組んで、
大体19万円ほどの収入になる。
ただ、借金その他、事情を抱えている人が多く、
ギャンブルにはまっている人も多いから、
生活は厳しいらしい。

柏さんが勤務している警備会社は小さく、
70歳以上の高齢者が8割を占めているという。
最高齢では84歳の人もいる。

1日9時間の拘束時間中に1時間の休憩が認められているが、
人員が足りない場合は、食事の時間もトイレの時間さえないこともある。

長岡大花火大会の警備の時は、
人が足りず、日当を1万6000円もらかりりもする。
しかし、仕事がきついので、再度はしたくないという。
花火大会では、花火に見とれてしまい、
叱責される警備員もいる。
                                        
柏さんは、こう書く。

自分が言うのも変だが、
この日記(この本)には
人格者はほとんど登場しない。


人格者はいるのかもしれないが、
                                        
交通誘導員という仕事の性格上、
仲間は深い人間関係を築くことはまずない。
それに現場は日々違うところで、相方も変わる。
仕事を終えて連れだって飲みに行くこともない。
みな仕事が終れば「お疲れさま」と挨拶して
サッサと帰ってしまう。
要するに仲間に人格者かどうか知るまでに至らない。


そういう柏さんも、
妻を騙してお金を巻き上げ、
ギャンブルに投じるような人だから、
人格者ではないようだ。
(私は、ギャンブルをする人は、ダメだという決めつけがある)
奥さんからはたびたび
「あなたは大学を出ているのに警備員なんかして恥ずかしくないのか」とか
「70歳過ぎてやる仕事じゃない。みっともない」
叱責される。

そして、

逆に意地悪な人、こうるさい人、威張る人などは
たった1回の現場でも
強く印象に残る。
よってこの日記にはそんな人物がしばしば登場することになる。
私も警備の仕事をして
世間にはこんなに価値観や性格の違う人がいるのかと驚かされた。


というわけで、この日記は、遭遇した常識敗れの人々の描写に終始する。

警備員の喜びについての記述は面白い。

「警備員の喜びって何ですかね」。
すると紺野は眉ひとつ動かすこともなく
「そんなものはないよ」と答えた。
私は「そうかもしれませんが、
早上がりは嬉しいし、
ラクな現場はなんとなく楽しくないですか」と
いささか的外れ気味の質問を重ねてみた。
「柏さんはそれが警備員の喜びと言うわけ?
それは違うんじゃない。
この現場の監督や棟梁なら
家を一軒作り上げたときには、
無から有を生じたわけだから喜びを実感すると思うよ。
しかし、われわれには物を作り出す喜びはないからね。
警備員は1日働けば足だって棒のようになるし、
寒さ暑さに直撃されるし、
喜びより疲れだけが残る仕事だよ。
ボクは警備業は忍耐業だと思っているけど」


本人がそういう認識だから、「喜び」があるはずがない。

この本、派遣される現場での当たり外れが沢山書かれている。
総じての感想は、次のとおり。

さまざまな現場で仕事をしてきて思うのは
人柄のいい親方の下には粗暴な作業員はいないし、
乱暴な言動をする親方の下には
同じような作業員が多いことだ。

                         
見下した態度を取られることが一番傷つくが、
そういう態度でのぞむ作業員も多い。
一方、通行人の「ご苦労さま」「ありがとうございます」という言葉に
癒されることも多い。

この本を読んで、交通誘導員さんには、
優しくしましょう。

もくじは、↓。

まえがき─ 最底辺の職業の実態

第1章 交通誘導員の多難な日常
    トイレ掃除:警備業法違反を隊員に強いる隊長の弱味
    通行止:交通誘導警備員はお地蔵さまではない
    猛女:子連れ女性のたくましきパワー
    お金の話:警備員のリアルなフトコロ事情
    意気地なし:片交ができないと現場で尻込みする大男
    人は嘘をつく:妻に責められる私の、身勝手な弁解
    最高齢警備員:エロ爺さんは素敵な人格者

第2章 交通誘導員の喜びと悲しみ、時々怒り
    黄金譚:糞尿にまつわる滑稽きわまりない顛末
    大失敗:サイン拒否した親方の言い分
    花火大会:長岡大花火大会警備2 泊3 日道中記
    プライド:大学出て警備員」は恥ずかしいのか?
    陽気な異邦人:外国人労働者たちとの交流
    パチンコ屋警備:監視カメラもあって気が抜けない
    職場放棄:我慢の限界を超えたとき
    承認欲求:警備員の喜びってなんですか?
    夜勤明けの出来事:どん底での犯罪の誘惑

第3章 どうしても好きになれない人
    誘導ミス:交通誘導警備員が一番恐れること
    たかが挨拶:なぜ挨拶をしない人が嫌われるのか
    駐車場警備:ドライバーの思いもよらぬ抗議に泣かされる
    好きになれなかった人:「いじめ」か「愛のムチ」か
    警備員は歯が悪い?:歯医者へ行く時間がないか金がないか
    通報される人:こんな行動は警備員失格!

第4章 できる警備員、できない警備員
    首振り人形:2 秒間隔で首を左右に振り続ければ警備員合格?
    コミュニケーション能力:警備員に外国人が少ないのはなぜ?
    できない警備員:ここにも能力格差は存在する
    家宅捜索:税金未払いで税務署員に部屋を捜索される
    枝道地獄:警備能力を超えた現場

長いあとがき                     
                                        好評らしく、今度マンガ版も出た。
                                     
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『私が日本に住み続ける15の理由』  書籍関係

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1971年、
末日聖徒イエス・キリスト教会(いわゆるモルモン教)の
宣教師として初来日して、日本に魅了され、
1980年、
カリフォルニア州司法試験に合格して国際法律事務所に就職、
企業に関する法律コンサルタントとして再来日して以来、
40年にわたり、日本に住み続けている日本通の著者が、
あらためて日本に住み続ける15の理由をまとめたのが本書。

プロローグには、このように書く。

日本にいると、「日本のどんなところが好きですか?」
と聞かれることがよくあります。

あれこれ考えてみた結果、どうやら私は、
『日本人』が一番好きだという結論に達しました。
言い換えれば、日本人の国民性こそが、
日本の最大の魅力だと考えています。

日本人の国民性は世界に誇るべきなのです。

誰よりも日本を愛しているアメリカ人の私が断言します。
日本人の皆さん、日本は世界一の国です。
そして、あなたたちは世界一の民族です。


そのように言う根拠を、
次のように15の章を立てて書いている。
                                        
○日本人が不思議な親切心を持っているから
○将来的に世界の文化の中心になる国だから
○世界に誇る多様なエンタメがあるから
○アメリカが失った自由があるから
○間違いなく世界一の食があるから
○都会の近くに海と山の美しい自然があるから
○世界が憧れる歴史的な遺産があるから
○天皇を中心とした国体があるから
○日本人が世界一の道徳心をもっているから
○子供が一人で電車に乗れるほど治安が良いから
○貧富の差が極端に少ない社会だから
○アメリカが失った公の精神があるから
○宗教のしがらみがないから
○バライティに富む安心の住宅環境があるから
○外国人にもチャンスをくれる国だから

                                        
へえ、そんなことまで評価してくれるのか、
というのは日本人の感覚で、
日本人には当たり前でも、
外国人が見たら驚異、
ということがよくあり、
その日本の良さを外国人の視点で挙げてくれている。

いわば、日本と日本人へのラブレター
応援歌のようなもの。

日本人が世界に誇りうる国民性を持っている、
というのは、全く同感。
こんなに公徳心に富み、豊かな感性と
創意工夫に富んだ国民はいない。
もちろん、中には変なヤツもいるが、
総じて、日本人のレベルは高い。

韓国が日本を必死に貶めようとしているのは、
そういう日本人の徳の高さを
否定したいという嫉妬心から来ると思っている。
なにしろ、韓国人は
「世界一性格の悪い国民」なのだから。

細かいところは、本書を読んでもらうしかないが、
いくつか、ほう、とさせられることが書いてある。
たとえば、日本のノーベル賞受賞者が多いことに対する中国報道。

<日本がノーベル賞受賞者をこれだけ多く輩出でき、
日本企業が世界的に見ても高い技術力を持つのは、
教育を大切にし、
知識を尊重する日本の国民性や、
教育者や科学者、研究者が
社会的な尊敬を集める環境にあるからではないか>
この記事が面白いのは、
ノーベル賞受賞者を数多く輩出する理由は
日本の紙幣を見れば分かる、と語っている点です。
2019年現在、発行されている紙幣に描かれている肖像画は、
一万円札は福沢諭吉、五千円札は樋口一葉、
千円札は野口英世と、
政治家などではなく、
教育者や文学者、あるいは科学者です。
これについて<日本は学問を修めた人物が尊敬を集める社会であることがわかる>と
指摘します。


もっとも、少し前までは伊藤博文など、政治家も紙幣の肖像画として使われたが、
次第に文化人が使われる傾向は始まっているようだ。

次のような指摘も、ほう、と思わせる。

日本は世界一の老舗大国です。
2008年時点で
世界には、200年以上の歴史を持つ企業が5586社あり、
そのうち日本企業は3146社を占める。
これは世界全体の56%に当たります。
2位のドイツが837社なので、
ほかを圧倒していることが分かるでしょう。
ちなみにアメリカは、たったの14社です。


宣教師として来日していまだに日本に在住している友人と
「なんで私たちはまだ日本にいるのだろう」と話した時の結論。

「まだ自分には日本での役割がある」と考えているからです。
そして私の役割とは、
「日本人が気付いていないことを広める」ことです。
日本人でないからこそいえる、
あるいは、できることがあるはずなのです。
それからもう一つ。
日本の正しい情報を世界に発信したいのです。


日本人は世界一幸福な国民であるのに、
そのことを実感していない、
という説があるが、
そのことを外国人に教えてもらって、面はゆい。
しかし、もっと日本人は
自分の国について、自信と誇りを持ってほしいと思う。

それは、はからずも、
日本を貶める勢力、
反日のメンタリティを持つ一群の人々との
不思議な戦いになるのだが。





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